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マンション大規模修繕工事の費用が払えない!原因や対策を解説

マンションの快適な暮らしと資産価値を維持するために不可欠な大規模修繕工事ですが、いざ実施しようとした時に「修繕積立金が足りない」「費用が払えない」という問題に直面することも少なくありません。

これは多くのマンション住民や管理組合が直面する悩みでもあります。

本記事では、マンションの大規模修繕費用が不足する原因や支払えない場合に起こるリスク・対処方法・費用不足を防ぐための予防策について紹介します。

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大規模修繕とは?なぜ必要なのか?

マンションやビルなどの集合住宅において、建物の安全性と快適性を長期にわたって維持するために行われる大規模な修繕工事です。

具体的には、外壁のひび割れや塗装の剥がれ・屋上の防水工事・設備の劣化など、建物全体の劣化を防ぎ、修繕することを目的としています。

10〜20年ごとに計画されるのが一般的で、外観の美観を保つだけでなく、建物の構造や設備の性能を向上させるため、居住環境の維持だけではなく、マンションの資産価値を保つことにもつながります。

マンションにおける共有部分と専有部分の理解

マンションの大規模修繕を考えるうえで、共有部分と専有部分の違いを正しく理解しておくことは非常に重要です。

この区別を明確にすることで、修繕の対象範囲や費用分担がスムーズになります。

区分説明管理・修繕の責任者費用の負担先
共有部分エントランス・廊下・階段・屋上・外壁・駐車場など、住民全体で利用するスペース管理組合管理費・修繕積立金など
専有部分床・壁・天井・窓枠の内側・専用庭など、各住戸の室内各住民各住民が自己負担

マンションの大規模修繕では、主に共有部分が修繕対象となります。

一見専有部分と思われがちなバルコニーや窓枠は、基本的に共有部分とみなされるため、修繕計画を立てる際には規約の事前確認が必要です。

マンション大規模修繕の費用が払えないとどうなる?

マンションの大規模修繕費用や、それに充てるべき管理費・修繕積立金を支払えない場合、区分所有者の生活やマンション全体にはどのようなリスクがあるのでしょうか?

起こりうる事態について、紹介します。

住環境が悪化する

管理費や修繕積立金が滞納されると、マンション全体の清掃や日常のメンテナンスが行き届かなくなったり、計画していた修繕工事ができなくなったりします。

必要な修繕が遅れることで、雨漏り・外壁の剥落・設備の故障などが起こりやすくなり、住んでいる人々の快適性や安全性が損なわれてしまいます。

資産価値が低下する

マンションの管理費や修繕積立金は、日々の清掃や大規模修繕工事など、マンションの資産価値を維持し快適な住まいを守るために使われるものです。

修繕費の滞納や積立金不足で必要な修繕工事ができないと、建物や設備が劣化しマンション全体の魅力が失われ、結果として資産価値が低下します。

資産価値の低下は、将来マンションを売却したいと考えた際の売却価格にも影響するでしょう。

マンション大規模修繕の費用が不足する主な原因

「修繕積立金を積み立てていたはずなのに、いざ大規模修繕の時期になったら費用が足りない」という問題が起こる背景には、いくつかの原因が複雑に絡み合っています。

修繕積立金の設定額が低い

分譲当初から設定されていた修繕積立金が、実際の工事費用に対して著しく低いまま見直されていないケースです。

とくに新築マンションの場合、販売会社が物件を売りやすくするために、月々の負担額を少なく見せかける目的で、修繕積立金を低く設定することがあります。

一度低く設定された積立金を後から値上げしようとしても、住民の同意が得られにくく、スムーズに進まないのが現実です。

物価上昇や建築資材費の高騰

近年、建設業界では人件費や建築資材費が高騰しています。

そのため、過去の積算に基づいた長期修繕計画で設定された積立金では、現在の実際の工事費用を賄いきれない事態が増えています。

計画作成時よりも工事費用が大幅に上昇していることが、費用不足の一因となるのです。

長期修繕計画の見直しが行われていない

マンションの経年劣化の進行や物価変動などを考慮して、長期修繕計画を定期的に見直すことは非常に重要です。

しかし計画が作成されたまま放置されていると、実情との差が広がり、必要な予算を正確に読み違えてしまうことになりかねません。

多くのマンションでは、ある程度決まった雛形をもとに長期修繕計画が作成されているため、設備の多さや劣化具合などの詳細が十分に反映されていない傾向にあります。

管理費・修繕積立金の滞納者が多い

一定数の区分所有者が管理費や修繕積立金を滞納していると、当初計画していた集金額が減り、修繕計画の実行が困難になります。

とくに築年数の古いマンションでは高齢者の割合が高く、年金暮らしで修繕積立金の増額や支払いが難しくなるケースが見られます。

維持管理に費用がかかる設備の多さ

エレベーターや機械式駐車場など、維持管理費が高額になる設備を多く設置しているマンションは、管理費や修繕積立金の負担が大きくなります。

例えば、エレベーターや機械式駐車場などは、維持費・修繕費が高い傾向にあるため、積立金を上げる大きな要因になり得ます。

そのため、豪華な共有設備(ラウンジ・ジム・庭園など)が多い高級マンションやタワーマンションは、高い維持費がかかりやすいです。

入居者数が少ない(空室が多い)

マンション全体の管理費や修繕費は、マンションの戸数や共有設備に基づいて計算されます。

その総額を各住戸の専有面積に応じて割り振ることで、1戸あたりの負担額が決まります。したがって、マンションの戸数に比べて空室が多く入居者数が少ない場合、一人当たりの管理費と修繕費の負担額が大きくなるのです。

負担が大きくなるとその分滞納する入所者が増えやすいため、修繕積立金の不足につながります。

段階増額積立方式の採用

修繕積立金の徴収方法には、将来の修繕費を見積もり長期間一定額を徴収する「均等積立方式」と、新築時の積立金を安く設定し築年数が経つにつれて段階的に引き上げていく「段階増額積立方式」があります。

段階増額積立方式を採用しているマンションでは、築年数が経過し月々の積立金が高額になるにつれて支払いが困難になる住民も増えがちです。

適切な修繕計画が立てられていない

長期修繕計画を作成していない管理組合や、現実的な積立金額を設定していない管理組合が多いのも実情です。

計画が不十分なマンションでは、将来の工事に必要な積立金が不足しやすいため、突然の積立金値上げや一時金徴収という事態を招きます。

積立金が不足している時の対応策

大規模修繕工事の準備を進める段階で積立金不足が発覚した場合、速やかに状況を把握しなければなりません。

そして、区分所有者に正確な情報を提供して合意を得るための行動を起こす必要があります。

費用の精査と必要工事の優先順位付け

まずは、設計監理会社やコンサルタントといった第三者の専門家と連携し、工事の内訳や見積もり金額を詳細に精査します。

修繕箇所の劣化状況を診断してもらい「今すぐにやるべき工事」と「将来に回せる工事」を仕分けすることで、初期費用を抑える工夫ができる可能性があります。

ただし、工事を先延ばしにすることでかえって費用が高くなるケースもあるため、専門家と慎重に検討しましょう。

長期修繕計画の見直し

積立金不足の原因が、長期修繕計画の甘さや現実との乖離にある場合は、第三者の専門家を交えて計画を根本から見直すことが大切です。

建物の実際の劣化状況・最新の工事費用相場・将来の修繕項目や周期などを考慮して、現実的かつ実行可能な計画に立て直します。

この見直しに基づき、将来必要な積立金の額を再算出します。

修繕工事の分割実施

計画されている全体工事を一度に行うのではなく、数年に分けて段階的に実施する方法です。

これにより、一度の支出額を抑えられます。

例えば、初年度は外壁塗装とシーリング工事だけを行い、数年後に屋上防水や共有部分の改修を行う、といった形です。

ただし工事を分割すると、足場を組むなどの仮設費用がその都度発生するだけではなく、工事の重複が生じる可能性があります。

結果として、総費用が増加するケースもあるため注意が必要です。

また工事を分けて行う場合でも、後の工事のために将来の徴収額を見直して修繕費を確保しなければなりません。

総会での丁寧な説明と情報共有

現状と問題点について、区分所有者に対して丁寧に説明し、情報共有を行うことが最優先です。

なぜ積立金が不足しているのか、どのような原因が考えられるのか、そして管理組合としてどのような解決策を検討しているのかをオープンに話し合います。

積立金不足の原因や解決方法について、住民一人ひとりの理解と納得を得ることが、その後の資金調達や計画変更に向けた合意形成の基礎となります。

情報発信を定期的に行い、修繕の必要性や将来の負担見込みについて住民へ周知することで、理解と協力を得やすくなります。

一時金(臨時徴収)の実施

不足している費用を一時金として、一括または分割で徴収する方法で、借り入れのような金利負担がない点がメリットです。

そのため、多くのマンションで採用されています。

しかし一時金が高額になると、経済的な事情からすぐに支払えない、あるいは全く支払えない区分所有者が出てくる可能性があります。

そのため一時金を徴収する場合は、経済的に厳しい区分所有者への配慮や柔軟な対応が不可欠です。

大規模修繕のプロジェクトでは、契約時・着工時・竣工時などの節目で支払いが行われることが多いため、その間に分割で支払う計画を立てることで、住民の負担をある程度軽減できるでしょう。

マンション管理組合向けローンの活用

金融機関が提供するマンション管理組合向けの大規模修繕工事ローンを利用して、不足分を借り入れる方法です。

一時金の一括徴収と比較すると、ローン借り入れの方が総会での合意形成を得やすい傾向があるとされています。

なお、ローンの返済は将来の修繕積立金や一時金から行われることになるため、返済計画を慎重に検討し、将来的な積立金の引き上げも考慮に入れることが重要です。

複数の金融機関を比較し、最も有利な条件のローンを選択しましょう。

滞納者・支払困難者への配慮と対応

住民のなかには、一時金や積立金の引き上げ、あるいは月々の積立金の支払いに経済的な理由で応じられないという人が出てくる可能性があります。

そのような方々への配慮と適切な対応も、忘れてはいけません。

分割払いの提案

経済的に厳しい区分所有者に対しては、一方的に支払いを求めるのではなく、無理のない範囲で支払えるような分割での支払い計画を提案することが有効です。

個々の状況を聞き取り、実現可能な支払いスケジュールを一緒に検討することで、協力的な姿勢を引き出せます。

これにより、滞納の発生を防いだり、滞納額の解消を促したりすることが期待できます。

滞納管理と法的措置

支払い能力があるにも関わらず悪意を持って滞納を続ける区分所有者には、他の区分所有者との公平性を保つためにも、毅然とした対応が必要です。

管理会社と連携し、以下のようなステップで対応を進めましょう。

滞納者へ連絡を取り支払いをお願いする

支払いがない場合は督促状を送付する

それでも支払われなかったら、内容証明郵便で最終的な催告を行う

内容証明郵便にも応じない場合や話し合いでの解決が難しい場合は、少額訴訟など裁判所を介した法的措置を検討する

なお、裁判で勝訴したにも関わらず支払いがされない場合は、滞納者の財産(給与・預貯金・不動産など)の差し押さえを申し立てる手続きに進むこともあります。

悪質な滞納者への法的措置は、管理組合の正当な権利であり、他の善良な区分所有者の利益を守るために必要な手段です。

ただし手続きには専門知識が必要となるため、弁護士や管理会社と十分に連携して適切に進めることが重要です。

再発防止に向けてできること

大規模修繕費用の不足に直面した経験を教訓に、将来的な費用不足を防ぐための再発防止策を講じていく必要があります。

健全なマンション運営のためにも、計画的かつ継続的な取り組みを行いましょう。

修繕積立金の見直しと段階的引き上げ

現在回収している月々の修繕積立金が、長期修繕計画で算出された必要な金額と比較して低すぎる場合は、総会での合意形成を得たうえで、積立金を段階的に引き上げる制度設計を行います。

国土交通省のガイドラインを参照し、必要な積立金の目安額を把握しておくと安心です。

とくに中古マンションの場合は、ガイドライン以上の金額が必要になることもあるため、住民へのより丁寧な説明と合意形成の努力が不可欠です。

長期修繕計画の定期的な見直し

長期修繕計画は、一度作成したら終わりではありません。

定期的なタイミングで計画と実際の建物の劣化状況、そして最新の工事費用相場や物価変動などを照らし合わせ、計画を現実的なものに見直すことが大切です。

この見直しを通じて、必要な積立金と支出計画が実情から乖離しないように保つことが、将来的な費用不足を防ぐうえで最も重要な予防策と言えます。

情報を発信し住民に関心を持ってもらう

大規模修繕の必要性・工事の具体的な内容・将来必要となる費用の見込み・積立金の現状などについて、定期的に住民へ情報提供を行うことも重要です。

広報誌・掲示板・ウェブサイト・説明会などを活用し、積極的に情報を発信することで、住民の修繕に対する理解を深め、積立金引き上げや一時金徴収への協力を得やすくなります。

修繕は、マンション全体の資産価値と快適性を守るために必要な「自分ごと」であるという意識を持ってもらうことが大切です。

工事費用相場や目安の把握

大規模修繕工事を計画する際に、工事内容ごとの費用相場やマンション全体の費用目安を事前に把握しておくことも重要です。

施工業者に見積もりを依頼する前に、国土交通省のデータや管理会社が持つ類似物件の資料などを参考に費用感を掴んでおくことで、提示された見積もりの妥当性を判断しやすくなります。

節約できる出費の見直し

日々のマンション運営において、節約できる出費がないかを見直すことも、修繕積立金に回せる資金を増やすうえで有効です。

例えば、共有スペースの電気代・清掃費用・管理会社への委託費などが挙げられます。

契約内容を見直したり、複数の業者から見積もりを取ったりすることで、コスト削減が可能な場合があります。

また、大規模修繕工事の施工業者選定を管理会社に一任せず、管理組合が主体となって複数の施工業者から見積もりを取り比較検討することも、適正価格で工事を行うために重要です。

管理会社経由の場合、仲介手数料が発生することが多いため、直接選定することでコスト削減につながる可能性があります。

参考:国土交通省 修繕積立金に関するガイドライン

まとめ

マンション大規模修繕の費用が「払えない」「足りない」という問題は、多くのマンションが直面する現実的な課題です。

その原因は、当初の計画の甘さ・物価高騰・滞納者の増加・適切な計画の見直し不足など、多岐にわたります。

費用不足を放置したり必要な修繕を行わなかったりすることは、マンションの住環境悪化や資産価値の低下につながりかねないため、適切な対応を行いましょう。

大規模修繕の費用不足に直面した時、取るべき最も重要な行動は、まず現状を正確に把握し、その原因を分析することです。

同時に、その情報を隠すことなく区分所有者全員に対して丁寧に説明し、問題を共有することです。

住民との間の正確な情報共有と問題解決に向けた合意形成こそが、すべての対応策のスタート地点であり、マンションの将来を左右する鍵となります。

また資金不足を補うための現実的な選択肢として、一時金の徴収・修繕工事の分割実施・管理組合向けローンの活用・工事内容の見直しなどがあります。

それぞれのメリット・デメリットを十分に理解し、マンションの実情と住民の経済状況に合わせて最適な方法を選択することが大切です。

なお一時金徴収が必要な場合は、分割払いを提案するといった、経済的に支払いが困難な区分所有者への配慮を忘れてはいけません。

一方で悪質な滞納者に対しては、他の区分所有者の利益を守るため、管理会社と連携して法的措置も視野に入れた毅然とした対応が必要です。

そして、将来的な費用不足を防ぐためには、修繕積立金の定期的な見直しと必要に応じた引き上げ・長期修繕計画の継続的な見直し・修繕の必要性や費用負担に関する住民への定期的な情報発信を行うことが不可欠です。

適切な計画に基づき必要な積立金を確保しながら、日々の管理費についても節約できる部分がないか見直すことを意識しましょう。

積立金が足りないという事態に直面した時は、冷静かつ誠実に対応し、住民一人ひとりと協力しながら最善の方法を模索する姿勢が何よりも大切です。

適切な説明と情報共有・住民への配慮を心がけ、計画的なマンション運営を継続していくことが、マンションの資産価値を守り快適な居住環境を未来世代に引き継いでいくことにつながります。

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