マンションを長く安全に保つためには、定期的な大規模修繕が欠かせません。
しかし、この大規模な工事期間中は普段とは環境が異なるため、思わぬセキュリティリスクが高まることをご存じでしょうか。
とくに空き巣被害が増加する傾向にある点は、多くの住民が注意すべき重要な課題です。
この記事では、なぜ大規模修繕中に空き巣リスクが高まるのか・住民や管理組合が取るべき具体的な防犯対策などについて、詳しく解説します。
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目次
そもそもマンションの大規模修繕とは?
マンションの大規模修繕は、建物の経年劣化に対応し、その安全性や快適性を維持するために行われる計画的な改修工事です。
10〜15年の周期を目安に行われるのが、一般的とされています。
大規模修繕の目的と主な工事内容
建物の寿命を延ばし資産価値を維持・向上させることが、大規模修繕の主な目的です。
また、雨漏りを防いだりひび割れを補修したりすることで、住環境の安全性・快適性を維持する役割も担います。
工事内容としては、以下のようなものがあります。
- 足場の設置…外作業を安全かつ効率的に行うために建物の周囲に足場を組む
- 外壁塗装・補修…劣化部分を補修・再塗装し防水性と美観を回復させる
- 屋上防水工事…防水層の改修や再施工を行い屋上からの雨水浸入を防ぐ
- 鉄部塗装…鉄製部分に塗装を施し錆の発生を防止する
- 給排水管の補修・更新…老朽化した配管を補修または交換する
- 共用部の改修…共用スペースの仕上げ材を補修・更新する
工事期間中に起こりうる生活上の変化
大規模修繕の工事期間中は、住民の日常生活にさまざまな影響が生じます。
騒音や振動・塗料の臭いといった物理的なストレスに加え、作業員の出入りによってプライバシーが気になったり、防犯面で不安を感じたりするケースもあるでしょう。
ここでは、実際にどのような変化が起こるのかを具体的に紹介します。
- 共用部分の使用制限…バルコニーや特定の出入り口が閉鎖される
- 騒音・振動の発生… ドリル音や打音などの騒音・振動が発生する
- 職人の出入り…多数の作業員が敷地内や共用部に頻繁に出入りする
- 日照・プライバシーの低下…足場や養生シートにより日差しやプライバシーの確保が難しくなる
これらの変化は住民にとって不便をもたらすだけでなく、後述するセキュリティリスクを高める要因にもなります。
なぜ大規模修繕中に空き巣被害が増えるのか? セキュリティが甘くなる理由
大規模修繕工事が始まると、足場の設置や共用部分の開放・作業員の出入りなど、通常の生活環境とは異なる状態になります。
これにより、建物全体のセキュリティ体制が一時的に弱まり、空き巣にとって狙いやすい環境が形成されてしまいます。
とくに外部からの侵入経路が増えるほか、住民や管理側も工事対応に気を取られがちで、異変に気づきにくくなるのも問題です。
では、具体的なセキュリティの盲点にはどのようなものがあるのでしょうか。
外部から侵入されやすい環境
大規模修繕中は、作業のために必要な足場を設置するのが一般的です。
この足場は外部からの侵入を容易にするため、大きなリスクを伴います。
作業員の動線として使われるだけでなく、足場自体が窓やバルコニーに近いため不法侵入の手段となってしまいがちです。
とくに、夜間や人の目が少ない時間帯には、足場を利用して高層階の窓やベランダにアクセスできるため簡単に侵入されてしまいます。
また、建物の外壁が剥がれたりバルコニーが取り外されたりなど、通常ではアクセスできない部分へ容易に侵入できる状態になります。
このような大規模修繕に伴う環境の変化が、不審者が容易に侵入できる環境を作り出してしまうのです。
工事関係者の出入りで監視の目が緩む
大規模修繕が進むと、多くの作業員や工事関係者が現場に出入りすることになります。
このような状況では、通常の住民の目による監視が弱まりがちです。
とくに、修繕工事の規模が大きくなるほど多くの関係者が頻繁に出入りするため、どの作業員がどの時間帯に現場にいるのかが不明確になり、セキュリティ上の隙間が生まれます。
また、作業員の身元確認や出入りの管理がおろそかになると、外部の不審者が紛れ込むリスクも高くなりやすいです。
共用部分の解放や一時的な施錠解除
工事を円滑に進めるために、エントランスや廊下・階段などの共用部分の施錠が一時的に解除されることがあります。
そのため、容易に侵入できる環境になっていることも少なくありません。
また、放置されている工事資材や設備が悪用されることもあります。
住民が普段出入りしない場所が無防備な状態だと、空き巣や盗難のターゲットとして狙われやすくなってしまうでしょう。
住民の不在・出入りが増える
大規模修繕が行われる期間中は、工事による騒音やにおいを避けるため、住民が外出することが増えます。
とくに大規模な修繕が行われるタイミングでは、家を留守にする時間帯が長くなる傾向にあるため、空き巣のターゲットになりやすいです。
また、住民の出入りが多くなることによって、不審者の侵入に気がつきにくい状況になることも、空き巣増加の要因として挙げられます。
住民の不在を防ぐためには、近隣とのコミュニケーションを強化したり、セキュリティ強化を図ることが重要です。
一時的なセキュリティ体制の弱化
工事期間中は機材の搬送に伴い監視カメラの配置が一時的に変更されたり、警備員の数が減少したりすることが考えられます。
そのため、セキュリティ体制が通常の状態よりも手薄になりがちです。
とくに、夜間や休日など工事が休止している時間帯は警備体制が弱まるため、侵入者にとって狙いやすくなります。
住民一人ひとりが実践すべき防犯対策
足場の設置や工事関係者の出入りなどによって、セキュリティが甘くなりやすい大規模修繕の期間を安全に過ごすためには、住民一人ひとりの高い防犯意識が不可欠です。
日常のちょっとした心がけや、自宅周辺への目配りが犯罪抑止につながります。
では、具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか。
住民が自ら実践できる、具体的な防犯対策について紹介します。
施錠を徹底する
最も基本的かつ重要な対策は、玄関ドアや窓の鍵を確実に閉めることです。
工事期間中は、普段は狙われにくい場所もターゲットになる可能性があります。
例えば、足場があることによって1階だけでなく2階以上の高層階の窓も狙われるリスクが高まります。
そのため、人が入れそうな全ての窓を確実に施錠することを心がけましょう。
また空き巣犯は、住民が在宅しているにも関わらず、気づかれないように侵入し犯行に及ぶケースもあります。
「家にいるから大丈夫」と考えるのは辞め、短時間の外出でも必ず全ての窓とドアに施錠することが重要です。
補助錠・補助ロックを活用する
空き巣対策として非常に効果的なのが、補助錠や補助ロックの活用です。
いわゆる「ワンドア・ツーロック」の状態をつくることで、侵入に手間がかかると思わせ、犯行を未然に防ぐ抑止力となります。
玄関ドアには、後付け可能な補助錠を取り付けるのがおすすめです。
最近では、ドアに穴を開ける必要がなく簡単に設置できるタイプも多く販売されています。
侵入者にとって「時間がかかる」と判断されるだけでも、ターゲットから外される可能性が高まるでしょう。
また、窓にも補助ロックを取り付けるとより安心できます。
とくに足場が組まれている工事期間中は、バルコニーからの侵入リスクが高まるため、窓の防犯対策が欠かせません。
外から見て補助ロックが取り付けられていることが分かると、それだけで防犯意識の高い住戸と認識されるため、空き巣の標的になりにくいでしょう。
視覚・聴覚に訴える防犯アイテムを導入する
音や光で侵入者を威嚇する防犯アイテムは、侵入を未然に防ぐために効果的です。
防犯ブザーやアラームは窓やドアが開けられると大きな音を発し、侵入者を驚かせるだけでなく、周囲に異常を知らせます。
とくにマンションなどでは、近隣住民に気づかれやすく、空き巣犯にとってはリスクが増します。
また人の動きを感知して点灯するセンサーライトは、侵入者を明るく照らせるため犯行を思いとどまらせる効果が期待できます。
さらに防犯フィルムを窓ガラスに貼ると、ガラスを破るのに時間がかかり空き巣が犯行を諦める要因になります。
これらを組み合わせることで、より強力な防犯効果を発揮するでしょう。
長期不在時の特別な対策
工事期間中に長期不在にする場合は、より入念な防犯対策が欠かせません。
まず、郵便物や新聞が溜まると不在が外部に知られやすいため、配達の停止や転送の手続きを行いましょう。
また夜間はタイマー照明を使い、在宅しているかのように見せることも有効です。
そして、長期不在時には貴重品を自宅に置かないようにすることも忘れてはいけません。
管理組合が主導すべき包括的な防犯対策
マンション全体のセキュリティレベルを高めるためには、住民だけでなく管理組合が中心となって対策を講じることが重要です。
防犯に対する基本方針の策定から、広報活動・不審者対応のルールづくりまで組織的に動くことで、マンション全体の安全をより強固なものにできるでしょう。
具体的な対策について紹介しますので、参考にしてみてください。
工事業者と綿密に連携・確認を行う
工事契約を結ぶ際、防犯体制について工事業者と十分に話し合うことが非常に重要です。
まず、契約時に業者がどのような防犯対策を講じるのかを確認し、契約書や覚書にその内容を明記してもらいましょう。
また、作業員の管理を徹底することも大切です。
作業員の身元確認方法や名札・ユニフォームの着用義務・敷地内での行動ルールを業者と共有し、部外者の立ち入りを厳しくチェックする体制を求めます。
これにより、不審者の侵入を防ぐことにつながります。
さらに、無防備になりやすい工事が行われない夜間や休日の現場管理や警備員の配置についても確認しておきましょう。
工事現場自体のセキュリティを強化する
足場や工事現場そのものに対するセキュリティ対策を強化することは、効果を得やすい防犯対策です。
まず、足場には「関係者以外立ち入り禁止」といった注意喚起表示を掲示し、周囲に対して立ち入り禁止を明確に伝えます。
これにより、無関係な人物の侵入を防ぎやすくなります。
また足場の階段部分や死角になりやすい場所には、センサーライトを設置することで、夜間の侵入を抑制できるでしょう。
さらに、足場周辺や侵入経路となりうる場所に監視カメラを設置し、継続的に録画・監視を行うことで死角を減らせます。
加えて、不審者が隠れたり資材を足場代わりに利用したりしないように、工事資材を置く場所は整理整頓することが重要です。
住民へに周知と情報共有を徹底する
住民一人ひとりの防犯意識を高めるための啓発活動は、管理組合の重要な役割です。
まず、多様な媒体を活用して周知活動を行うことが効果的です。
掲示板や回覧板・マンションのウェブサイト・SNSなどを利用し、大規模修繕期間中に空き巣リスクが高まることや、具体的な防犯対策について住民に周知します。
また工事の進捗に合わせて、住民が注意すべき点をタイムリーに共有することが大切です。
「今週はバルコニー工事を行いますので、立ち入りにご注意ください」といった形で、具体的な作業内容とその注意点を知らせます。
さらに、不審者を見かけた場合の連絡方法も明確にしておくことも忘れてはいけません。
管理員・理事長・警察など、どこにどのように連絡すべきかを住民全員に周知し、迅速な対応を促します。
より住民の危機意識を高めるためには、住民説明会にて工事期間中のセキュリティリスクについて説明するのが良いでしょう。
この時、質疑応答の時間を設けることで、意識を高めるだけではなく住民の不安や疑問を解消することにもつながります。
防犯効果を最大化する「見える防犯」と外部連携
外部から一目で分かる対策は、犯行を未然に防ぐための強力な抑止力となります。
そのため、ただ実施するだけでなく「見える防犯対策」を行うことが重要です。
防犯の意思を積極的に示すこと、そして外部とのつながりを持つことが、マンション全体の安全性を高める鍵となります。
またマンション内だけでなく、地域や警察との連携も空き巣対策には欠かせない要素です。
「防犯意識の高さ」を示す
空き巣犯は、犯行が成功しにくいマンションを避ける傾向があります。
そのため、マンション全体の防犯意識が高いことを視覚的にアピールするのは非常に有効です。
例えば、エントランスや各階の掲示板・足場や敷地の入口付近に「防犯カメラ作動中」「防犯パトロール実施中」などのポスターを掲示すると、犯行をためらわせる心理的な抑止力になります。
また、各住戸が補助錠や防犯ブザー・センサーライトなどの防犯アイテムを設置している様子が外からも分かるようにすることも、防犯意識の高さをアピールする手段の一つです。
こうした取り組みを住民全体で共有・実践することで、建物全体の防犯レベルを引き上げられるでしょう。
地域との連携強化
マンションが地域と協力して防犯体制を築くことは、空き巣などのリスクを大きく下げる有効な手段です。
例えば、日常的に近隣住民と挨拶や会話を交わすことで、互いの異変に気づきやすくなります。
また、工事期間中に「不審な人物がうろついている」「見慣れない車が長時間停まっている」などの気づきを、管理組合や周辺住民とすぐに共有できる仕組みを整えておくと安心です。
さらに地域の自治会や防犯パトロール団体と連携し、工事期間中だけでもマンション周辺の巡回を強化してもらうことも、外部からの侵入抑止につながります。
警察への協力依頼
大規模修繕期間中は、足場の設置や人の出入りが増えることで、防犯上のリスクも高まります。
そこで、あらかじめ地域の警察署に工事の情報を提供しておくのも有効です。
例えば、工事の実施期間や足場設置の有無などを伝えることで、警察側も状況を把握しやすくなります。
また場合によっては、工事期間中にマンション周辺の重点的なパトロールを依頼することも可能です。
警察との連携は住民からの信頼を得られるだけではなく、管理組合やオーナーにとっても「防犯対策をさらに強化できている」といった安心材料になるでしょう。
万が一の事態に備えた保険の確認
いかに防犯対策を徹底していても、空き巣などの被害を完全に防ぐのは難しいものです。
そのため、万が一に備えて加入中の保険内容を事前に確認しておくことも大切です。
まず、管理組合はマンション全体で契約している火災保険や家財保険の内容を確認し、工事期間中の特約や変更が必要かを保険会社と相談することが求められます。
また万が一の際に迅速に対応できるように、保険の補償内容や手続き方法について住民に案内することも忘れてはいけません。
一方、住民自身も加入している火災保険や家財保険の契約内容を確認し、盗難や損害が補償対象となっているかを確認する必要があります。
とくに家財一式が「補償されるのか」「貴重品は対象外なのか」「別途特約が必要かどうか」を詳細に確認し、適切な補償を確保しておくことが重要です。
高価な家財品については、個別に補償を申請する必要がある場合もあるため、その点も十分に確認しましょう。
住民と管理組合が連携し、保険の内容を確認し共有することで、工事期間中のセキュリティリスクに対する備えが万全となります。
まとめ
マンションの大規模修繕は、約10〜15年の周期で行われる計画的な改修工事です。
これは建物の寿命を延ばし、資産価値を維持・向上させるうえで欠かせません。
しかし、大規模な工事期間中は普段とは環境が異なるため、空き巣被害が増加する傾向にあります。
その背景には、工事に必要な足場の設置による侵入経路の増加・工事関係者の出入りによる警戒心の緩み・共用部分の一時的な解放など、さまざまな要因があるとされています。
このリスクに対しては、住民一人ひとりの防犯意識の向上と具体的な対策、そして管理組合が主体となった工事業者との連携やマンション全体の防犯設備・体制の整備、さらには地域や警察との連携などの、多角的なアプローチが必要です。
とくに重要なのは「事前の準備と情報共有」「見える防犯を意識すること」です。
工事が始まる前にリスクを正しく理解し、住民間で情報を共有・防犯対策を外部に示すことで、心理的に犯行を抑制でき安全な工事期間を過ごせるでしょう。
また万が一の事態に備え、加入している保険内容を事前に確認しておくことも大切です。
管理組合はマンション全体の火災保険や家財保険について、工事期間中の特約や変更が必要か保険会社と相談し、住民に補償内容や手続き方法を案内する必要があります。
住民自身も、個人の火災保険や家財保険で盗難や損害が補償されるか、とくに高価な家財品や貴重品が対象か、別途特約が必要かなどを詳細に確認しておきましょう。
大規模修繕を単なる建物の改修だけでなく、住民全体の防犯意識を高めマンション全体のセキュリティレベルを恒常的に向上させるための機会として捉え、全員で対策に取り組んでいくことが求められます。