大規模修繕は建物を長期的に維持するために不可欠な工事ですが、同時に住民の日常生活にさまざまな影響を及ぼし、心身の負担となることも少なくありません。
どのように備えれば良いのかを事前に知っておくことで、工事期間中における精神的負担の軽減につながります。
今回の記事では、マンション大規模修繕工事中に住民が感じやすいストレスや体調不良の原因・対策について、詳しく解説します。
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目次
大規模修繕工事が住民にもたらす体調不良の主な症状
マンションにおける大規模修繕工事中の騒音や振動・ほこりなど、生活環境の変化がストレスを引き起こし、住民の体調に影響を及ぼすケースがあります。
大規模修繕で起こる体調不良の主な症状としては、以下のようなものが考えられます。
- 喉の痛み・咳
- 目のかゆみ・違和感
- 頭痛・倦怠感
- 吐き気
- アレルギー症状(鼻水・湿疹など)
- 喘息の発作
- 精神的なストレスによる不眠や疲労感
- 集中力や作業効率の低下
- 耳鳴り
- 不安感
これらの症状は、軽度なものから日常生活に支障をきたす深刻なものまでさまざまです。
体調不良の主要な原因
大規模修繕工事中の住民の体調不良には、複数の要因が挙げられます。
工事に伴う物理的な影響や、生活環境の変化による精神的な影響が主な原因です。
工事に伴う騒音と振動
マンションの大規模修繕工事において、もっとも多く寄せられる苦情のひとつが騒音と振動です。
工事期間中にはさまざまな作業が行われ、それぞれの工程で大きな音や揺れが発生します。
例えば、足場を組み立てたり解体したりする際には、金属同士がぶつかる大きな音や、ハンマーを使用する衝撃音が建物全体に響き渡ります。
また、足場を壁面に固定する「壁つなぎ」の設置では、ドリルを使ってコンクリートに穴を開けるため、かなりの騒音が発生するでしょう。
これらの騒音は窓を閉め切っていても聞こえることがあり、作業によっては振動が室内まで伝わってくることもあります。
そのため、音と揺れが重なることで不快感が強まり、在宅中の住民にとって大きなストレスにつながるケースも少なくありません。
とくに影響を受けやすいのが、日中自宅にいる高齢者や在宅勤務中の方です。
近年ではテレワークが普及し、自宅で仕事をする人が増加しているため、工事に伴う騒音や振動が日常生活や仕事に与える影響も大きくなっており、従来以上に配慮が求められるでしょう。
塗料や防水材から発生する臭気
修繕内容に防水工事や塗装工事が含まれている場合、防水剤や塗料の強いにおいに悩まされることがあります。
工事中は窓を開けられないため、密閉した室内にも臭気が入り込みやすく、においに敏感な方にとっては特につらい状況です。
外壁塗装に使用する有機溶剤のにおいは目や鼻・喉に刺激を与えるだけでなく、頭痛や吐き気の原因にもなります。
そのため呼吸器疾患がある場合、体調を崩してしまう恐れもあり、場合によっては化学物質過敏症の症状が現れることもあるでしょう。
塗装や防水作業が行われている間は、外気を取り込むタイプのエアコンの使用も制限されるため、空気環境の悪化に関する対策が必要です。
生活環境の変化と精神的ストレス
工事期間中は、住民の生活環境が大きく変わり、さまざまな制約が生じます。
これらの制約が積み重なることで、精神的なストレスや体調不良につながることも少なくありません。
まず大きな変化として挙げられるのが、ベランダの使用制限と洗濯物干しの制約です。
大規模修繕中は作業の妨げを避けるため、ベランダに置いている私物を片付けなければならず、ベランダそのものの使用が制限されます。
作業内容によって「干してよい日」と「干せない日」が設定されることもあり、粉塵の影響もあるため、洗濯物は乾燥機を使用するか、室内に干さざるを得ない状況が続きます。
特に家族の人数が多い場合、限られた空間での洗濯物干しが生活スペースを圧迫し、不便さを感じる場面も増えるでしょう。
また、作業員が足場を使って窓付近で作業する際に、室内や洗濯物が見えてしまうことに抵抗を感じる方も多いです。
こうしたプライバシーや安全面への不安が、工事期間中の住民の精神的な負担をさらに大きくします。
その他のストレス要因
体調不良の原因となるストレスは、物理的な影響や生活制限だけではありません。
大規模修繕工事に伴い、住民にはさまざまな負担が発生します。
そのなかでも特に大きな負担となるのが、私物の片付けや保管・修繕一時金の徴収・工事の長期化による影響です。
まず、ベランダやバルコニーに置かれた私物の片付けは、室内に一時的に収納する必要があり、多くの住民にとって大きな手間となります。
また、修繕工事にかかる費用が修繕積立金だけでは賄えない場合「修繕一時金」として住民から追加の費用を徴収するケースもあります。
この一時金が高額になると家計への影響も大きく、生活の質が低下する可能性があるでしょう。
こうした負担やトラブルを避けるためには、計画段階からの丁寧な情報共有と、住民の声に配慮した対応が重要です。
工事期間を快適に過ごすための対策と予防策
大規模修繕工事中の体調不良やストレスを未然に防ぎ、工事期間をスムーズに乗り切るためには、さまざまな対策と工夫が必要です。
施工業者や管理組合の取り組みに加え、住民自身にもできることがあります。
工事に関する十分な情報提供
住民のストレスを軽減し、円滑に協力を得るためには、工事内容やスケジュールに関する丁寧な情報提供と、住民との良好なコミュニケーションが欠かせません。
そのためにはまず、工事開始前には事前説明会を開催して詳しく説明し、理解を求めることが重要です。
また、住民への協力依頼事項は事前にしっかり周知する必要があるため、洗濯物干しの制限・ベランダの私物の片付け・網戸の取り外しや取り付けなど、具体的な協力内容を明確に伝えましょう。
アンケート調査や個別の聞き取りなどを通じて、入居者の意見やニーズを把握し、それを可能な範囲で計画に反映すると、住民の納得感や協力意欲が高まります。
こうした丁寧な対応を積み重ねることで、住民との信頼関係が築かれ、修繕工事をよりスムーズに進めることが可能です。
騒音・振動への対策
騒音や振動は大規模修繕工事において避けられない問題ですが、施工側と住民側の両方が工夫することで、負担を軽減することができます。
それぞれの対策としては、以下のことが挙げられます。
施工側の対策
- 防音・吸音の工夫: 施工業者は、防音シートや吸音材を使用して、できるだけ音を抑える対策を行うことが大切です。また、仮囲いを設置することで騒音の漏れを防ぐ効果も期待できます
- 使用機器や工法の工夫: 低騒音型の機械や振動の少ないドリルなど、音や振動が出にくい機材を使用しましょう。足場の種類によっても騒音の程度が変わるため、必要に応じて足場の選定も見直します
- 作業時間帯の配慮: 騒音の出やすい作業は、住民の外出が多い平日の日中に行い、早朝や夜間の作業は避けるよう配慮します。法律で定められた騒音レベルに注意しながら、生活リズムに配慮したスケジュールを組むことが基本です
住民側の対策
- 防音グッズの活用: 耳栓や防音カーテンなどを活用することで、室内に入る騒音を和らげることができます。窓を閉めるだけでも一定の効果が期待できます
- 騒音時間帯に合わせた行動: 事前に工事スケジュールを確認し、騒音の激しい時間帯は外出を計画するのも有効です。近隣のカフェや図書館・レンタルスペースの利用もおすすめです
- 室内での過ごし方における工夫: 壁から離れた部屋で過ごす・座布団やクッションを使うといった工夫で振動の影響を減らす効果が期待できます。掃除や軽い運動など、身体を動かすことで気を紛らわせるのも方法の一つです
- テレワーク時の対応: リモート会議などがある日は一時的に会社に出社する、または静かな場所に移動するなどして、業務への支障を減らす工夫が必要です
このように、双方が協力して工夫を重ねることで、騒音や振動によるストレスを最小限に抑えることができます。
事前の情報共有と配慮が、安心して暮らせる環境づくりにつながります。
臭気への対策
塗料や防水材のにおいは、大規模修繕工事における代表的なストレス要因のひとつです。
そのため、施工業者と住民双方が事前に十分な対策を講じておくことが大切です。
施工側の対策
油性塗料やシーリング材には強いにおいがあるため、体調を崩す方も少なくありません。
施工側の対策として、においの少ない塗料を選定し、作業スケジュールを住民に丁寧に伝え、理解を得た上で進めることも大切です。
においがこもりにくい風通しの良い日を選んで作業を行えば、においの拡散が促され、室内への影響を減らすことができます。
住民側の対策
においが気になる場合は、作業のない時間帯に短時間の換気を行いましょう。
気分が悪くなった際は、作業箇所から遠い部屋に移動して窓を少し開けるか、外出して空気の良い場所で気分転換を図ることが有効です。
どうしても室内にとどまらなければならない場合は、マスクを着用するだけでもある程度の効果が期待できます。
また、においに敏感なペットがいる家庭では、影響の大きい期間だけペットホテルに預ける、あるいは信頼できる友人や家族に預かってもらうと安心です。
プライバシー保護とセキュリティ対策
プライバシーの侵害やセキュリティに対する不安は、大規模修繕工事中に住民が感じる大きな懸念のひとつです。
施工側の対策
プライバシーへの不安を軽減するためにも、施工側は作業員一人ひとりへの教育が不可欠です。
住民の生活空間がすぐそばにあることを理解し、作業中に意識的に室内をのぞき込むことのないよう徹底した指導を行います。
また、作業員の行動範囲を明確に制限し、共用スペースや住戸周辺への不要な立ち入りを避けることが基本です。
加えて、作業員の身元確認を徹底し、社名入りの身分証や腕章の着用・入退場の管理を行うことで、不審者の侵入リスクを抑えることができます。
住民側の対策
住民側にもできる対策として、日中のプライバシー確保にはカーテンの活用が有効です。
遮光性の高いカーテンやミラーレースカーテンなど、外から見えにくい素材の製品を使うことで、室内が見られる心配を軽減できます。
また、防犯面では窓をしっかり施錠することに加え、補助錠や窓アラームなどの防犯グッズを取り入れると安心です。
工事期間中は見慣れない作業員が敷地内を出入りするため、万が一に備えて貴重品の管理も徹底する必要があり、外から見える場所に置かない・鍵のかかる場所に保管するといった工夫を取り入れましょう。
ベランダ利用制限と洗濯物干しへの対応
大規模修繕工事では、ベランダの使用制限や洗濯物干しの禁止が避けられないケースがありますが、配慮を徹底することでトラブルを未然に防ぐことができます。
施工側の対策
どの期間・どの住戸で制限があるのかを、掲示板や配布資料を通じてわかりやすく伝えることが重要です。
洗濯物が干せない日や、ベランダへの立ち入りが制限される期間については、具体的な日付を示して案内することで、住民が予定を立てやすくなります。
また室内干しの方法や、おすすめの乾燥機の使い方、近隣のコインランドリーの場所や営業時間などを案内すれば、住民の不便を最小限に抑えられるでしょう。
必要に応じて、管理組合と連携し一時的なランドリールームの確保なども検討すると、より安心して生活してもらえます。
住民側の対策
住民側でも、制限期間中の対応をあらかじめ準備しておくことが大切です。
事前に工事スケジュールを確認し、洗濯物干しができない期間を把握することで、洗濯のタイミングを調整したり、必要に応じて衣類を多めに用意しておいたりする工夫ができます。
また、乾燥機や室内干しの活用も現実的な対策です。
部屋のスペースが限られている場合は、省スペースで使える室内干しグッズを取り入れたり、除湿機を併用することで効率的に乾燥させることができるでしょう。
多少の不便は避けられませんが、前もって対策をとることで生活への影響を軽減することが可能です。
私物の片付けへの協力と保管場所の検討
ベランダの私物を片付けることは、大規模修繕工事において作業の安全性と効率性を確保するために欠かせません。
工事が始まる前には、バルコニー内の清掃や私物の撤去・網戸の取り外しなど、住民への協力を求める案内があらかじめ行われます。
これらはすべて作業を円滑に進めるための重要な準備であり、住民の理解と協力が必要です。
しかし、中には大きくて自力で動かすことが難しい物や、高齢者などで片付け作業そのものが困難なケースもあります。
そのような場合は無理をせず、工事を担当する現場代理人に相談することが大切です。
事前に相談することで、対応策を講じてもらえる可能性もあります。
相談窓口を開設する
大規模修繕工事に伴う体調不良の問題を未然に防ぎ、早期に対応するためには、専用の相談窓口を設けることも対策の一つです。
工事中に塗料や防水材のにおい・騒音・粉塵などで体調に異変を感じた際、住民が気軽に連絡できる窓口があると、問題の把握がスムーズになります。
窓口を通じて寄せられた声は速やかに工事業者に共有することで、安全データの確認や作業環境の改善・作業時間の調整など具体的な対策を検討・実施することが可能です。
また、体調不良が続く場合には医療機関の受診を促すなど、健康面でのサポートも充実させる仕組みを導入すると、住民の安心感を高め、トラブルの早期解決につなげることができます。
体調不良を感じた場合の対応
対策を講じていても、工事の影響で体調が優れなくなることは十分に考えられます。
そのような場合、住民側は無理をせず適切に対応することが大切です。
まずは管理会社に連絡し、工事による体調不良を伝えましょう。
管理会社を通じて、何らかの対策を講じてもらえる可能性があります。
また、体調不良が続く場合は医師やカウンセラーなど専門家に相談することもおすすめです。
原因が特定できれば、より効果的な対処が可能となります。
体調不良を管理組合に伝えることの重要性
もし工事中の影響で体調がすぐれず、症状が明確で生活に支障を感じるようであれば、遠慮せず管理組合に相談することを検討しましょう。
体調不良を伝えることで、管理組合は状況を把握し、適切な対応を検討するきっかけとなります。
特に、他の住民にも同様の声があれば、管理組合として工事業者と連携し、工事方法の見直しや騒音対策の強化・作業時間帯の再調整など、住民全体の負担を軽減するための対策が取られる可能性が高まります。
管理組合と施工業者が協力し、住民の状況を共有することで、問題解決に向けた具体的なアクションにつながることが期待できるでしょう。
住民から体調不良の申し出があった場合の管理組合の対応策は?
マンションの大規模修繕工事中に、住民から体調不良の訴えがあった場合、管理組合は迅速かつ誠実に対応することが求められます。
体調不良の申し出があった場合の具体的な対応策は、以下の通りです。
まずは誠意をもって「聞く姿勢」が大切
住民からの体調不良の申し出を受けたら、まずは真摯に話を聞くことが重要です。
体調不良は個人差があり、数値や目に見える形で現れにくいケースもあるため「気のせい」と片付けず、住民の声に耳を傾けましょう。
共感的な姿勢で対応することで、住民の精神的な負担を軽減し、信頼関係を維持することができます。
状況確認と記録を残す
申し出があったら、以下の点を具体的に聞き取り、詳細な記録を残しておくことが大切です。
- どの工事のタイミングで症状が出たか
- どのような症状か(例:頭痛、咳、倦怠感、においへの反応など)
- 居住階や位置(特定の場所での集中があるか)
これらの情報は、体調不良の原因を特定したり、他の住民からの同様の申し出と比較したりする際に役立ちます。
工事業者への情報共有と現場確認
大規模修繕工事において、住民の体調不良が工事に起因している疑いがある場合は、速やかに工事業者と情報を共有し、現場の状況を確認することが重要です。
具体的には、使用している塗料や薬剤の安全データシートなどをチェックし、その物質の危険性や安全な取り扱い方法を把握します。
また、現場で発生しているにおいや粉塵の程度、養生や換気対策が適切に行われているかもチェックすることが大切です。
もし問題が見つかれば、工事業者に低臭・低刺激性の材料への変更を依頼したり、騒音やにおいが発生しやすい作業時間の調整を検討してもらうことが必要があるでしょう。
まとめ
マンションの大規模修繕工事は建物の寿命を延ばし、住み心地を向上させるために必要不可欠なものです。
しかし、工事期間中は騒音・振動・臭気・粉塵といった物理的な影響に加え、ベランダの使用制限や洗濯物の制限・プライバシーへの懸念・費用負担など、さまざまな要因が住民の日常生活に影響を与え、精神的・身体的なストレスとなり体調不良を引き起こす可能性があります。
これらの体調不良やトラブルを防ぎ、工事期間をスムーズに乗り切るためには、事前の入念な計画と、住民に寄り添った対策が不可欠です。
そのため、施工業者による騒音・臭気対策の工夫、作業員の教育やプライバシー・セキュリティへの配慮、工事内容やスケジュールの十分な周知といった「施工側の取り組み」が求められます。
また同時に住民自身も、防音グッズの活用や騒音時間帯の外出・換気の工夫・カーテンの利用・貴重品の管理など、状況に応じた「住民側の対策」を講じることが有効です。
これらの対策を円滑に進めるためには管理組合が中心となり、住民からの意見や不安を把握し、施工業者と密に連携して対応する必要があるでしょう。
マンションの大規模修繕は、住民と管理組合、そして施工業者がそれぞれの立場で理解し、協力し合うことで、体調不良のリスクを最小限に抑えられます。
建物の価値を維持・向上させながら、安心して生活を続けられる環境を保ちましょう。