ウレタン防水とは、液状のウレタン塗料を使用し塗膜を形成する防水工法です。
ウレタン防水の特徴は、施工後に塗膜が一体化し、複雑な形状の部位にも対応できる点にあります。
特に屋上ウレタン防水やベランダ防水塗料ウレタンなど、屋外での使用に適しています。ウレタン防水材は、柔軟性と耐久性に優れており、ウレタン防水工事として防水工事ウレタンに広く利用されています。
今回はこのウレタン防水について特に多く使用される密着工法の特徴について解説します。
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目次
ウレタン防水密着工法の特徴
ウレタン防水(ゴム系塗膜防水)の密着工法には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、ウレタン防水密着工法の特徴について紹介します。
防水層を密着させる工法
ウレタン防水密着工法の最大の特徴は、防水層を下地に密着させることです。
液体のウレタン樹脂を塗布し、防水層を作ることによって建物に対する水の浸入を防ぎます。
下地に直接ウレタン防水材を塗ってから補強布を張り付け、さらに防水材を塗っていくこともあります。
複数回にわたって重ね塗りを行い、補強布を使用しているにもかかわらず、防水層は非常に軽く仕上がるのが特徴です。
美しい見た目
下地とウレタン防水材を密着させるウレタン防水密着工法は継ぎ目ができないため、見た目が美しいのも特徴です。
仕上がりの美しさから、屋上やベランダなどでの防水工事に選択されることが多くあります。
ウレタン防水材と補強布を重ねた上からトップコートで仕上げることで、より一層見栄えが良くなる施工方法です。
ウレタン防水密着工法の工程
ウレタン防水工事を行うにあたって密着工法を選択した際、具体的にどのような流れで進められていくのでしょうか。
あらかじめ施工の工程を知っておくと、工事の進み具合がわかるだけでなく、完成するまでの安心感にもつながります。
ここでは、ウレタン防水密着工法の具体的な流れについて、順を追って説明します。
- STEP
下地処理
ウレタン防水密着工法を行うにあたって、まず最初に実施するのが下地処理です。
下地がしっかりしていないと、ウレタン防水材がぴったりと密着しません。
主な下地処理は2つあり、1つ目が洗浄によって汚れをしっかり除去すること、2つ目はひび割れがあるかどうかの確認です。
汚れにはホコリやゴミのほか、コケやカビも含まれますので、高圧洗浄で隅々まできれいにします。
ひび割れがある場合はモルタルをはじめとする資材で補修を行い、目地にはシーリング処理を施すといった作業が必要です。
- STEP
プライマーの塗布
プライマーは、ウレタン防水の施工時に使用する防水材で、密着性に優れているのが特徴です。
その他にも下地の穴を防いだり、防水材の膨れを防いだりといった効果があります。
- STEP
ウレタン防水材の塗布
下地の準備が整ったら、いよいよウレタン防水材を塗布する作業にとりかかります。
この工程での重要なポイントは、均等に塗布することです。
こてやローラーを使用して、均一になるよう丁寧に塗っていきます。
次にウレタン防水材の上から補強布を張り、さらにウレタン防水材を2回~3回にわたって重ね塗りすることで、厚みのある防水層が出来上がります。
- STEP
トップコートの塗布
屋上やベランダに降り注ぐ紫外線は、防水層を劣化させる大きな要因です。
そのため、ウレタン防水材を塗布したら、最後にトップコートで表面をコーティングします。
トップコートは防水層を紫外線から守って長持ちさせるだけでなく、美しい見た目に仕上げるのが特徴です。
防水層の剥がれやひび割れを防ぐ効果もありますので、しっかりとトップコートを塗ることによって、防水層の耐用年数を長持ちさせられます。
- STEP
乾燥
ウレタン防水材の上に塗り重ねたトップコートが完全に乾燥したら、ウレタン防水密着工法の施工は完了です。
乾燥に要する時間は、気温が20℃の時で16時間以上72時間以内が目安とされています。
ただし、施工場所・範囲・使用するトップコートの種類によって、乾燥までに要する時間は異なります。
そのため、施工会社に仕上がり具合を念入りに確認してもらいましょう。
ウレタン防水密着工法の単価
項目 | 単価の目安 (円/m²) | 備考 |
---|---|---|
下地処理 | 500 ~ 1,000 | 下地調整、プライマー塗布など |
ウレタン防水層施工 | 3,000 ~ 4,500 | ウレタン樹脂の塗布(2回塗り) |
トップコート施工 | 1,500 ~ 2,500 | 保護塗料の塗布 |
シーリング工事 | 500 ~ 1,000 | 接合部や端部のシーリング処理 |
合計 | 5,500 ~ 9,000 | - |
資材
ウレタン防水密着工法の費用相場は、1平方メートルあたり3,000円〜となっています。
ただし、使用するウレタン防水材によって価格は異なり、6,000円や8,000円と差が大きいのが実情です。
工事に多くの資材を必要とする場合は、費用が相場よりも大きく変動する可能性もあるでしょう。
下地が劣化している際は、ひび割れや欠損の補修に資材が使われます。
仕上げには「トップコート」と呼ばれる塗料も必要ですので、これらを含めて1平方メートルあたりの費用を比較するのがおすすめです。
下地処理
防水工事をやり直す際は、下地処理をしっかりと行わなければなりません。
汚れを落とすのに不可欠な高圧洗浄には、およそ30,000円の費用がかかるとされています。
屋上やベランダに鉄を使用している場合は「ケレン」と呼ばれる下地処理が必要で、こちらは100平方メートルあたりおよそ50,000円が相場です。
このようにウレタン防水密着工法の施工にあたっては、下地処理の費用相場を確認することも重要です。
諸経費
諸経費に含まれるのは、古い資材の処分と新たな資材の運搬費用です。
また、安全に工事を進めるため、現場を監督する人件費もかかります。
さらに工事に対しては消費税がかかりますので、諸経費も含めて全体の費用相場を調べておくとよいでしょう。
ウレタン防水密着工法を行うメリット・デメリット
仕上がりの美しさが際立つウレタン防水密着工法ですが、その他にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、ウレタン防水密着工法を検討するにあたって、デメリットも知っておきたいところです。
ここでは、ウレタン防水密着工法を行うメリット・デメリットを見ていきましょう。
ウレタン防水密着工法のメリット
ウレタン防水密着工法の工事に必要な主な資材は、ウレタン防水材とメッシュでできた補強布、仕上げに使用する「ウレタン系トップコート」と呼ばれる防水液です。
これらを塗り重ねていくことで防水層が形成されますので、工事にかかる費用を抑えられる工法となっています。
また、工事そのものもウレタン防水材およびトップコートの塗布・補強布の張り付けとシンプルなために工事期間が短く、比較的早く出来上がるのもメリットです。
ウレタン防水密着工法のデメリット
ウレタン防水密着工法のデメリットは、下地の影響を受けやすいことです。
下地に直接ウレタン防水材を塗っていくため、下地処理がきちんと行われていないと、防水層の仕上がりに影響を及ぼしてしまいます。
不十分な処理のままで工事を進めると、出来上がった防水層にひび割れや膨れが発生することも少なくありません。
すでに雨漏りがしていて水分を含んでいる場合は、密着工法によって水分が中に閉じ込められてしまいます。
太陽熱にさらされて逃げ場を失った水分が蒸気となって防水層を押し上げる「膨れ」が生じ、早く劣化してしまうのです。
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お客様満足度98% ★★★★☆
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ウレタン防水の密着工法を行う最適な場所
ベランダ
ウレタン防水の密着工法を行う最適な場所の1つが、ベランダです。
液状のウレタン防水材を塗るため、複雑な形状をしたベランダにも対応できます。
バルコニー
バルコニーは建物の屋外に設置されたスペースで、ベランダと違って屋根がありません。
そんなバルコニーも、ウレタン防水の密着工法に適しています。
ただし、水分が残っていると防水層が早く劣化するリスクがありますので、新築時の施工におすすめです。
陸屋根
ほとんど勾配がない、あるいは水平の屋根を「陸屋根」といいますが、こうした形状の屋根もウレタン防水の密着工法を行うのに最適な場所です。
密着方法で出来上がる防水層は非常に軽いため、屋根に大きな負担をかけずに防水効果を発揮できます。
屋上
マンションやビルの屋上といったスペースにも、ウレタン防水密着工法が適しています。
屋上に設置する防水層が重いと、建物全体に負担をかけかねません。
しかし、軽量の防水層が出来上がる密着工法なら、建物への負担を軽減できます。
ウレタン防水に関するQ&A
ここではウレタン防水についての疑問やよくある質問に回答したいと思います。それぞれウレタン防水工事に関して気になる疑問などチェックしてください。
Q
ウレタン防水工事では臭いが発生する?
A
ウレタン防水工事では、施工中や乾燥中にシンナー特有の臭いが発生します。特に、ベランダやバルコニーなど室内に近い場所での工事の場合、いつもと違う刺激的な臭いを感じることがあります。十分な換気を行うことで臭いを最小限に抑えられますが、完全に取り除くことは難しいでしょう。臭いに敏感な方は、事前に施工業者に相談し、対策を検討することをおすすめします。最近では環境配慮型の溶剤もあるので、施工前に臭いの少ない溶剤を利用することも選択肢の1つです。
Q
ウレタン防水材が乾くまでにはどのくらいかかる?
A
ウレタン防水材の乾燥時間は、気温、湿度、塗布厚さ、使用する材料などの条件によって異なります。一般的に完全乾燥には48時間から72時間程度かかります。つまり3、4日前後はかかる計算になります。ただし、気温が低い場合や湿度が高い場合は、乾燥時間がさらに長くなる可能性があります。施工後は、防水層が完全に乾燥するまで水分や荷重をかけないよう注意が必要です。
Q
ウレタン防水を長持ちさせる方法は?
A
定期的な点検とメンテナンスが重要です。年に1〜2回程度、防水層などのクラック、膨れ、剥がれや損傷、劣化がないか確認し、早期に発見・補修することで耐用年数を延ばすことができます。またトップコートを塗布することで、紫外線や外的要因からウレタン防水を保護し、寿命を延ばすことも可能です。定期的なメンテナンスとして落ち葉や砂などのゴミを掃除することも詰まりによる水たまりなどを防ぎ長持ちさせる秘訣です。
まとめ
ウレタン防水工事の密着工法について、施工の流れやメリットについて解説してきました。
密着工法を選択するにあたって重要なポイントは、以下の通りです。
- ウレタン防水とは、液体状に生成されたウレタン樹脂を用いて行う防水加工である
- 3つの工法があり、密着工法は下地と防水層を密着させるのが特徴
- ウレタン防水密着工法にはメリットとデメリットがあり、それぞれの内容について知ったうえで比較することが重要
- ベランダ・バルコニー・陸屋根・屋上が密着工法が適している
- 施工の流れは下地の処理に始まり、トップコートの乾燥までおよそ5つの工程に分かれている
- 費用の相場は1平方メートルあたり3,000円からだが、その他の資材と下地処理、さらに諸経費が加わる
「3種類のウレタン防水工事のうち密着工法が気になっている」という方は、メリット・デメリットを比較したり費用の相場を具体的に調べたりと、さまざまな要素を検討することが求められます。
防水工事は建物の寿命に大きく影響しますので、納得したうえでウレタン防水の施工方法を決めたいものです。
費用相場は施工内容によって変動することから、まずは信頼のおける施工会社を探すところから始めてみましょう。
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