建物を長期間維持するのに欠かせない大規模修繕工事では、工事内容や期間などで費用が異なります。
安全性を確保するために品質の高い工事は欠かせませんが、費用は大きくかかるため、抑えるための工夫や対応も必要です。
そこで今回は、大規模修繕費用を構成する要素をはじめ、費用見積もりの取得に有効なアプローチや助成金・補助金の活用方法を紹介します。
コスト削減のためのアイデアも掲載していますので、最後までぜひご覧ください。
目次
大規模修繕の基本知識
大規模修繕工事とは、マンションやアパート、一棟立ての賃貸住宅を含む建物で長期間にわたって蓄積された劣化や老朽化に対して行われる工事です。
またよくある質問には「大規模ってどの位のこと?」というもの。
大規模修繕の大規模とは一体どの程度の範囲を示すのかは国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」と「建築基準法 第2条14号および15号」を見るとわかります。
・大規模修繕は「マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するために行う修繕工事や、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図るために行う改修工事のうち、工事内容が「大規模」工事費が「高額」「工事期間が「長期間」にわたるもの等をいう。
・建築物の主要構造部 ( 壁、 柱 、床 、 はり、 屋根 、 階段 )の一種以上について行う過半の修繕、 模様 替え」と定義され、例えば6本の柱のうち4本を修繕 すれば、大規模修繕とされる。また、瓦葺の屋根を 全面金属板葺きに変更する行為は、大規模模様替 とされる。
そしてこの大規模修繕に該当しない日常的な修繕のことは「経常修繕」と言います。
経常修繕に該当するものは以下のとおりです。
- 建物の定期点検
- 建物の清掃
- 設備のメンテナンス
- 機器の修理や交換など
大規模修繕は1回の工事費用が高額となるので、頻繁に行うことはありません。
また、大規模修繕の費用を削減するために、経常修繕を定期的に行うこともコスト削減の1つです。
大規模修繕の意義
大規模修繕工事は、上で解説したとおり、長期間にわたって天候や太陽の日差し、使用などで蓄積された劣化や老朽化を改善して、建物の耐久性や安全性を確保することに意義があります。
さらにわかりやすく解説すると大規模修繕工事の意義は4つ挙げられるでしょう。
- 建物の耐久性を維持する
- 安全性を確保する
- 住居する方々に住み心地の良い環境を提供する
- 建物の劣化による修繕費用の削減
建物は建てられて使用されるようになってからすぐに劣化が始まっています。
目には見えなくてもさまざまな要因で劣化が進んだ状態を放置していると、最終的に建物が崩壊したり、建物に住む住居者などに危険を及ぼしたりするリスクも考えられるでしょう。
そこで、周期的に大規模修繕工事を行うことで、建物の耐久性維持や安全性、そして建物に住む住居者にとっても暮らしやすい環境を整えることができます。
また大規模修繕は建物の維持費を削減するためにも一役買ってくれる存在です。
その理由として、建物は劣化すればするほど、修繕にかかる費用が増えてしまいます。
例えば、国土交通省が令和3年度に調査した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、1戸あたりの工事金額は100万〜125万円が多い結果となっています。
では仮にマンションの戸数が30戸で、1戸に対して100万円かかると仮定して計算すると「100×30=3,000」で、修繕費用は3,000万円です。
では30戸よりもさらに戸数が多いマンションや賃貸住宅の場合、修繕費用は高額になります。
周期的に大規模修繕を行うことは、結果的に修繕費用を削減させる効果が期待できるのです。
大規模修繕の目標
大規模修繕の目標を一言にするならば「建物を建設した当初の水準まで戻すこと」でしょう。
もちろん、ここまでに解説した「意義」で記載した内容も、大規模修繕の目標として捉えられます。
ですが、大規模修繕の最終的な目標は「劣化を防ぐ」「食い止める」だけではなくて、建設当初の水準まで戻し、安全性や耐久性はもちろん、建物の資産価値を維持させるという目標もあるのです。
この目標を遂行するためには、早い段階で周期的に大規模修繕工事を行って、今以上の劣化を未然に防ぐことがポイントとなります。
大規模修繕のタイミング
大規模修繕の周期は、法律的に定められているわけではありません。
1つの指標として大規模修繕のタイミングについて挙げるとすれば、国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」に記載されている「15年に1度」が最も知られているタイミングでしょう。
2021年9月28日に改正されたガイドラインでは、12年に1度から15年に1度へ変更されています。
しかし、これはあくまで1つの指標であって、建物によっては18年に1回を大規模修繕のタイミングとしている建物も増えているのです。
そのため、最終的に大規模修繕のタイミングをどうするかは、建物の種類や年数、気候条件などを踏まえて判断することとなります。
大規模修繕費用の構成要素
次は、大規模修繕費用についてどのような構成要素が含まれているのかを解説します。
- 企画費
- 実施費
- 運営費
- 付随費用
企画費
企画費とは、これから大規模修繕工事を計画するにあたって必要となる費用のことです。
例えば「建物の調査」「設計」「見積もりの作成」などにかかる費用が該当します。
その他にも、大規模修繕工事に必要となる書類の作成や手数料、そして大規模修繕工事に直接関係がある費用ではないものの、交通費などの諸経費が含まれる場合もあります。
実施費
実施費とは、これから大規模修繕工事を行うにあたって必要となる費用のことです。
例えば「修繕に必要となる建築材料の費用」や「工事現場の管理費用」が該当します。
建築材料の費用は素材によって異なるので、事前に使用する建築材料の費用相場をチェックして適正な価格で購入する必要があります。
また実施費以外にも、大規模修繕工事費用をトータルで見ると高額になる場合が多いので、事前の見積もりや予算計画をしっかりと立てておくことが大切です。
運営費
運営費とは、大規模修繕工事を計画・管理するにあたって必要となる費用のことです。
例えば「修繕計画や予算」などが該当します。
この他にも、大規模修繕工事を実施するための人件費や設備にかかる費用、進行状況を監督するための費用、そして大規模修繕工事に伴う事故などのトラブルに備える保険料も含まれます。
運営費は大規模修繕工事を行うにあたって必要不可欠な費用です。
またこの費用は、建物に住む入居者から毎月徴収する「修繕積立金」が利用されることもあります。
修繕積立金は、大規模修繕工事を行う際に充てられる費用で、建物診断などにも使用されます。
オーナーや管理会社によって徴収方法は異なる場合もありますが、基本的に家賃に含まれた状態で徴収されるケースが多いです。
そのため、入居者の中には「修繕積立金の存在は知っているけれど、毎月いくら徴収されているのかまではわからない」という方もいます。
徴収金額については、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を参考にすると、だいたい1㎡あたり200円の修繕積立金が目安とされています。
情報をもとに考えると、50㎡の部屋の場合は10,000円が修繕積立金と徴収される金額となります。
しかし、この金額とは別で考えなければならないのが「機械式駐車場がある場合」です。
マンションに機械式駐車場がある場合の加算額は以下のとおりです。
それぞれの住戸で負担する修繕積立金の割合は上で解説した専有部分の床面積による割合である場合が多いものの、機械式駐車場がある場合、1台あたりに月7,000円〜の加算が行われています。
ただし、明確な金額はマンションやアパートに住んでいる戸数によっても変動しますので一概には言えません。気になった方は直接管理会社や大家さんに質問してみると良いでしょう。
付随費用
付随費用とは、大規模修繕工事を行う際の工事費用以外で発生する費用のことです。
例えば「設計図の作成や打ち合わせを行う費用」「安全対策費用」などが該当します。
その他にも、大規模修繕工事に従事する作業員の交通費や、すでに劣化して撤去された古い設備や建築材料を処分する際に発生する費用も含まれます。
付随費用は高確率で発生する費用なので、事前におおよその費用を把握しておくことが重要です。また見積もり依頼を出す際は、付随費用が含まれた見積もりであるかもチェックしましょう。
費用見積もりのアプローチ
大規模修繕工事の費用を見積もる際、有効なアプローチ方法は以下3つです。
- 積立金利用
- 一括見積もり
- 部位別見積もり
ここではそれぞれのアプローチ方法について解説していきます。
積立金利用
費用見積もりのアプローチとして、積立金を利用する方法は、支出を把握しやすい点や、資金調達が行いやすいなどのメリットが考えられます。
特に、積立金を利用する見積もりアプローチは、支出をしっかりと把握し、そのタイミングや予算がある程度予測できるので、見積もりの作成や予算の立案にも役立つでしょう。
ただし、積立金を利用する場合は定期的に残高や利用状況を確認しておくことや、積立額や積立期間を設定して入居者への理解を得る必要があります。
特に、積立金をどのように利用するのかを明確化させないと「どこにお金が使われているのかわからない」「説明が足りない」などクレームに発展する可能性があるからです。
今後、大規模修繕工事の費用見積もりアプローチとして積立金の利用を検討している場合は、これらのメリットとリスクをしっかりと理解して適切に積立金を利用しましょう。
一括見積り
一括見積もりは、複数の業者に見積もりを依頼してその中から業者を選ぶ方法です。
費用見積もりのアプローチとしては、非常に有効な方法と言えるでしょう。
多くの業者から見積もりを取ることで、比較対象が作れることや、相手の業者側からすれば「ぜひともうちに仕事をさせてほしい」と競争心を働かせる効果も期待できます。
また、見積もりを取る側としても、適正な価格を提示する業者の選択に役立ちます。
ただし、中には相場よりも圧倒的に安い費用を提示して契約させようと考える業者もいるので、費用以外にも信頼できると感じるか、実績はあるのかなども併せてチェックしてください。
その他にも、見積もりの作成する際は工事内容をしっかりと理解し、正確な費用が算出できるよう意識することで、大規模修繕工事開始後の金銭トラブルや工事内容に関するトラブルを防ぎます。
部位別見積り
部位別見積もりは「外壁」や「内装」「設備」など部位ごとに必要となる工事内容とかかる費用を見積もる方法です。
部位別見積もりは「どの部位に」「どれだけの費用がかかるのか」がとてもわかりやすいので、大規模修繕工事の優先順位や期間を決定しやすいというメリットがあります。
また、部位別見積もりを複数の業者で行うことで適正な金額で業者を選べる点もメリットでしょう。
コスト削減のためのアイデア
次は、これから大規模修繕工事の計画を立てている方へ。
高額なコストを削減するためのアイデアを3つ紹介します。
- 最適な修繕時期の選択
- 良質な材料と効率的な施工手法
- 複数の業者から見積もりを取る
最適な修繕時期の選択
大規模修繕工事の最適な時期は、建物の構造や建築素材によって異なります。
一般的には15年に1度、18年に1度の周期が推奨されているので「自分もこの位の時期に大規模修繕工事を行わなければ」と思っている方もいるのではないでしょうか。
しかし、多くのニーズが急増する時期は業者の手間賃や資材費、そして人材費が高くなるケースも考えられますので、管理組合や専門家と相談して修繕時期をズラすことも、コスト削減の方法です。
良質な材料と効率的な施工手法
大規模修繕工事で良質な材料を使用することは、建物の寿命や耐久力を伸ばす効果が期待できます。
建築材料費だけを見ると高く感じますが、長期的なスパンで見た場合、頻繁に機器が壊れたり、外壁が剥がれたりするようでは、多額の経常修繕がかかってしまいます。
そのため、大規模修繕工事後のメンテナンス費用や、経常修繕費用を含めた支出と考えて良質で建物の構造に適した材料を選ぶことも、コスト削減アイデアです。
複数の業者から見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取ることは時間の節約にも繋がる点がメリットです。
またコスト削減に関しても、複数の業者から適正な価格を提示する業者を選ぶことができます。
その他にも、複数の業者から見積もりを取ることで相手に対して交渉することもできるでしょう。
例えば「もう1社はこの値段で仕事を請け負ってくれる」など、相手に競争心を与えることで最初に提示された見積もり額よりも、お得な費用で大規模修繕工事を依頼できる可能性が高まります。
大規模修繕の具体例
次は、実際に大規模修繕工事で行われる仕事内容の具体例を5つ紹介します。
- 外壁塗装
- 屋上修復
- 配置交換
- エレベーターの更新
- 共用スペースのリニューアル
外装塗装
外壁塗装は大規模修繕工事で重要とされる仕事内容の1つです。
外壁塗装は建物の外観保護や美観を維持するために大切な仕事内容で「雨風」や「紫外線」「汚れ」など劣化の原因となり得るものから建物を守る役割を持っています。
外観保護や美観維持以外にも、木造住宅の外壁を塗装する場合は木材の保護を目的として行うなど外壁塗装を行う建物によって目的も変わるのです。
外壁塗装は通常、足場を設置した後「外壁の洗浄」「下地処理」「外壁塗装」の流れで行い、フッ素系・アクリル系などの塗料を使用して行われます。
外壁塗装を行う際は、まず塗装面の状態確認を兼ねて下地と塗膜の付着力検査から開始します。
このとき、付着力に問題がなければその上から塗料を重ねていく流れとなりますが、付着力が弱くなっている場合には、一度塗膜ごと剥がして塗りなおしを行うのが一般的です。
また先ほど紹介した塗料に関して、適切な量を均一に塗ることが重要なポイントとなります。
塗料で期待できる効果をしっかりと発揮させるためには、職人の技術力も大切なのです。
その他にも、外壁塗装と似た仕事内容には「鉄部塗装」もあります。
鉄部塗装は、外壁塗装の塗料とは異なり、錆や腐食などを防ぐための塗装を施します。
しっかりと錆止め塗装を行うことで、塗料との密着度を高め、保護力を高められるでしょう。
屋上修復
屋上修復は「防水」などを目的として行われることが多い大規模修繕工事の仕事内容です。
一般的には「ウレタン」「シート」「アスファルト」などの素材を使用して行われます。
屋上修復の仕事内容としては「劣化した部分の修繕・防水」はもちろんのこと、屋上を清掃して建設当初の状態まで回復させることや、屋上に設置されている機器の整備も含まれます。
屋上は建物の中でも特に天候や太陽からの紫外線を受けている状態です。
そのため、年数が経過すれば防水材などの建築材料は劣化し、防水性能が弱くなります。
防水性能が弱くなってしまうと雨漏りの原因にも繋がり、雨漏りによって雨水が屋内へ浸水するようになると建物自体を支えているコンクリートなどにも影響するリスクが考えられるでしょう。
マンションやオフィスビルなどあまり人が出入りしない建物の屋上は基本的にメンテナンスなどが行われる頻度も少ないことから、上で解説したような状態になりやすくなっています。
そこで大規模修繕工事の機会を利用して防水材などの劣化状況を調査して修繕することで、建物自体の健康を守ることに繋がるのです。
配管交換
大規模修繕工事で行われる配置交換は、建物全体の機能や性能面を向上する効果が期待できます。
例えばドアの修繕工事を行う際、ドアの向きをいままでとは異なる向きで設置してドアの開閉をしやすくさせるなど使用者の利便性を意識した配置交換が行われるケースもあります。
また大規模修繕工事の場合は、壁を取り払って部屋を広くしたり、元々あったものを別の場所へ配置交換したりすることで、利便性のために建物自体の構造を変更するケースも考えられるでしょう。
エレベーターの更新
マンションや高層ビルに欠かせない存在であるエレベーター。
エレベーターは安全対策として定期点検やメンテナンスが義務付けられているので、経費がかかる設備の1つとも言えます。
またエレベーターも機械なので耐用年数があり、長期的に使用していれば部品は消耗し、劣化してくことは防げません。
しかしエレベーターの修繕工事をなかなか単体で行うことも少なく、大規模修繕工事のような建物の全体的な修繕工事で更新されることが多いです。
エレベーターの修繕工事には以下のような3つの更新方法があります。
- 全撤去型リニューアル方式:エレベーター自体を全て新しくする
- 準撤去型リニューアル方式:エレベーターの巻上機や制御版、ロープ、扉などを新しくする
- 制御部品型リニューアル方式:エレベーター制御に関する部品交換・方式を変更する
この中で最も費用が安く、工期も短いのは③の制御部品型リニューアル方式で、エレベーターの制御に関連する制御盤などをメインにして部品の交換や制御方式を更新します。
工期は7日〜15日程度、かかる費用も1機あたり500〜700万円となっており、手続きも不要なので全てを新しくするリニューアル方式や、確認申請の届け出が必要な準撤去型リニューアル方式よりも比較的取り掛かりやすいエレベーターの修繕工事と言えるでしょう。
共用スペースのリニューアル
共用スペースとは、エントランスや廊下、階段、エレベーター、駐車場などが該当します。
この他にもベランダやルーフバルコニー、管理人室、そして玄関ドアも共用スペースです。
これらの共用スペースは、もしも震災などが発生した場合の避難経路として想定されているケースが多いので、定期点検や整備をしっかりと実施する必要があります。
そんな共用スペースの大規模修繕工事内容としては「老朽化・陳腐化の修繕」や、入居者が求める昨今のニーズを反映させるものが多いでしょう。
例えば、共用スペースが老朽化して安全性に不安があったり、外観を損ねたりしている場合、新たな入居者が増えず空き家増加に拍車をかける可能性も考えられます。
加えて昨今のニーズにそぐわない設備や環境である場合も同様です。
では昨今のニーズとは一体どのようなものなのか具体例を挙げると「24時間利用できるゴミステーション」や、共用スペースのバリアフリー化、宅配ロッカーなどが挙げられます。
共用スペースのリニューアルは、安全性を高めるという目的だけではなく日々求められるニーズの変化に建物を対応させたいときにも行うことが多いです。
助成金・補助金の活用方法
最後に大規模修繕工事を行うにあたって助成金や補助金を効率よく活用する方法を紹介します。
また助成金や補助金の申請手順や実際の活用例も併せて紹介しますので参考にしてください。
- 国や地方自治体の支援策
- 助成金・補助金の申請手順
- 実際の活用事例
国や地方自治体の支援策
マンションの大規模修繕工事を行う場合、かかる費用は一戸あたり100万円前後です。
そのため、戸数が多い建物だと数千万〜1億円以上の費用がかかる場合もあります。
「大規模修繕工事がしたいけれど、修繕積立金だけでは足りない」など予算不足に悩むマンションなどの管理組合も多いでしょう。
そこで紹介したいのが国や地方自治体による支援策です。
例えば、国が支援策として打ち出している「住宅リフォーム・リノベーション支援制度」は、住宅の耐震改修やバリアフリー改修などの取り組みに対して補助金が支給される場合があります。
その他にも地方創生住宅リフォーム支援事業の場合、市区町村が実施する住宅リフォーム事業に対して費用の一部を補助する制度もあります。
また、各都道府県や市区町村が独自に実施している住宅リフォーム支援制度の中には、大規模修繕工事に対して補助金を支給する制度を完備しているところもあるでしょう。
実際にどのような助成金・補助金精度があるのかは、一度お住まいの地域で確認してみてください。
助成金・補助金の申請手順
助成金や補助金を申請する手順は以下のとおりです。
- 自分が所有する建物が対象となる助成金や補助金の情報を集める
- 必要書類の準備
- 申請を行う自治体や機関に問い合わせる
- 申請書を期限までに提出する
- 書類審査や現地調査を受ける
- 審査に通れば助成金または補助金が支給される
申請条件や申請書類に記載すべき内容に関しては、助成金や補助金によって異なります。
ただし、基本的に必須となる書類は「建物の概要」や「今回行う大規模修繕工事の内容」「見積書」「申請書」「建物の登記簿謄本」「図面」などが挙げられますので、事前に準備しておきましょう。
また申請方法や期限、申請条件に関しても、助成金や補助金によって異なるので、まずは一度助成金や補助金精度を申請する国や地方自治体に問い合わせることが大切です。
申請書の申請が完了すると、書類審査や助成金・補助金の支給を行う国や自治体、機関が実際に現地へ赴いて調査を行う「現地調査」が行われます。
このとき、提出した書類に不備があったり、工事内容に対して疑問があったりすると「追加で書類を用意してください」「工事内容について改めて説明してください」と言われる場合もあります。
書類審査と現地調査をクリアすると、ついに助成金・補助金の支給です。
ただし、審査完了後すぐに支給されるかどうかは国や自治体、機関によって異なります。
そのため、事前におおよその期間を問い合わせておくと焦らずに済むでしょう。
実際の活用事例
最後に、実際に助成金や補助金を活用した事例を2つ紹介します。
事例①分譲マンション計画修繕調査支援制度
この制度はマンションの大規模修繕工事を行う際、事前に計画を立てるために必要な調査費の一部を助成してくれる補助金制度です。
制度が利用できる地域は限定されるものの、要件を満たして申請が通れば20万円〜80万円程度が助成されます。この制度を活用することで大規模修繕工事に関するコストの削減に役立ちます。
事例②防災対策整備費補助金
防災対策整備費補助金は、マンション管理組合による防災対策や安全性の向上を推進するために建物の共用部分の工事費を補助・支援してもらえる制度です。
・分譲マンション共用部分改修費用助成制度
・マンション防災マニュアル作成支援専門家派遣事業
これらの制度を活用することで、専門家の派遣や経費の補助、必要となる工事費の助成など、大規模修繕工事に関する調査から実際の工事までコストを削減しながら進めることができます。
まとめ
本記事では、大規模修繕工事に関する費用のポイントや削減方法を紹介しました。
大規模修繕工事は高額になるケースが多い修繕工事です。
本記事を参考に、効率よく大規模修繕工事を進められるよう活用できる補助金や助成金などを利用しつつ、計画を立てていきましょう。