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アスベスト調査報告義務化とは?専門会社に依頼・検体採取・分析・報告書までの流れを解説

アスベスト(石綿)は、かつて建材として広く使用されていましたが、現在は使用が禁止されています。
しかし、古い建物にはまだ残っている可能性があるため、工事の前にはアスベスト調査が必要です。

この事前調査は法律で義務化されており、専門の会社が行います。
含有分析は建材の検体を採取し、アスベスト調査分析株式会社などの専門機関がARA(アスベスト分析評価制度)に基づいて検査を実施します。

調査結果は報告義務があり、アスベストが含まれていない場合でも報告が必要です。

アスベスト調査の重要性と流れについて、これから詳しく解説していきます。
建物所有者や工事関係者の方々にとって有益な情報ですので、ぜひ最後までお読みください。

アスベストとは?

アスベストとは、天然の鉱物繊維で、耐熱性、絶縁性、耐摩耗性に優れていたため、20世紀初頭から建材や断熱材、ブレーキライニングなど多くの製品に使用されてきました。

しかし、アスベストを吸入すると深刻な健康被害を引き起こすことが判明したため、その使用が禁止されています。アスベストの特性や健康リスク、現在の状況を詳しく見ていきましょう。

アスベストの特性と使用

アスベストは高い耐久性、耐熱性、絶縁性があるため、特に建材や断熱材、工業製品などに広く使用されていました。特に「ブルーアスベスト」「ホワイトアスベスト」など、さまざまな種類があり、その優れた特性から、屋根材、床材、天井材、壁材、パイプ保温材などに使われていました。

しかし、アスベストの微細な繊維が空気中に浮遊しやすく、吸入することで肺に蓄積されてしまいます。このため、アスベストの取り扱いには慎重な対策が必要です。

アスベストはかつてその耐久性や断熱性、絶縁性を活かし、建材や工業製品などさまざまな用途で利用されていました。

ここでは特に代表的な3つの用途、吹き付けアスベスト、吹き付けロックウール、保温材や断熱材について紹介します。これらはアスベストによる健康被害のリスクが高いものの、依然として多くの建物で見つかるため、適切な調査と処理が必要です。

吹き付けアスベスト

吹き付けアスベストは、アスベストを含む粉末状の物質を水で練り、鉄骨構造や配管、ボイラー室の壁などに吹き付けて耐火性や断熱性を高めるために使われていました。この工法は施工が簡単で効果的なため、多くの建物で使用されましたが、アスベストの飛散リスクが非常に高いため、特に注意が必要です。現在では使用が禁止されているものの、取り壊し時や改修工事で飛散するリスクがあるため、十分な調査が必要です。

吹き付けロックウール

吹き付けロックウールは、耐火性や吸音性を持つ断熱材として広く使われてきました。アスベストが含まれていない製品もありますが、アスベストを含むものは「アスベスト含有吹き付けロックウール」と呼ばれ、吹き付けアスベストと同様に飛散リスクが高いです。特に古い建物で使用されていることが多く、解体や改修工事の際には事前に適切な調査を行う必要があります。

保温材や断熱材

アスベストは、高い耐熱性と断熱性を持つため、ボイラーや配管の保温材、建物の断熱材として使用されていました。アスベスト含有の保温材は、長期使用により劣化が進むと繊維が飛散しやすくなります。特に古い配管や設備には、アスベスト含有の保温材が使用されている可能性があるため、改修や点検の際には十分な注意と対策が求められます。

アスベストによる健康リスク

アスベストを吸入すると、肺がん、中皮腫、アスベスト肺などの重大な疾患を引き起こします。これらの疾患は、アスベスト繊維の蓄積により引き起こされるため、長期間の曝露が健康リスクを高めます。症状が出るまでに数十年かかることもあり、定期的な健康診断が重要です。また、アスベストのリスクは周囲の家族にも及ぶ可能性があるため、対策が必要です。

アスベストでの健康問題の現状

2006年以降、日本ではほぼすべてのアスベスト製品が製造・使用禁止となっていますが、過去に使われた建材は依然として多くの建物に残っています。これらの建材が解体や改修工事で損傷することで、アスベスト繊維が飛散し、再び健康被害のリスクが生じます。

そのため、工事関係者や建物所有者には、事前に調査し、適切に管理することが義務付けられています。

2023年からアスベスト調査報告義務化|調査のポイントは?

2023年4月から、アスベスト含有建材の調査報告が義務化されました。具体的なポイントを詳しく見ていきましょう。

建築物石綿含有建材調査者の役割とは?

「建築物石綿含有建材調査者」は、アスベスト含有建材を特定し、飛散防止の対策を提案する専門知識を持つ資格者です。彼らは工事前に建材を調査し、報告書にまとめて工事計画に反映させます。アスベストの飛散を防ぐためには、調査者による正確な検査と提案が必要です。

アスベスト調査報告義務化の開始時期は?

アスベスト調査報告の義務化は2023年4月1日から全国で施行されました。これにより、解体や改修工事の計画時にアスベスト含有建材を調査し、所定の報告書を提出することが必須となりました。報告書の提出は都道府県知事宛に行われます。

建築物石綿含有建材調査者講習の受講資格について

建築物石綿含有建材調査者になるためには、所定の講習を受ける必要があります。建築、衛生、工業系の学科を修了した者、または建物の維持管理や改修に3年以上の実務経験を持つ者が対象です。講習ではアスベストの特性や法的規制、調査手法などが学べます。

アスベスト調査報告の対象となる工事は?

アスベスト調査報告が必要な工事には、建物の解体や改修、新築物への建材持ち込みなどが含まれます。特に解体工事では、建物全体にアスベストが含まれている可能性が高いため、事前調査が不可欠です。報告には、対象建材の特定や適切な処置計画が含まれます。

アスベスト調査報告の義務者と報告方法は?

調査報告の義務者は、建物の所有者や解体工事の発注者です。調査対象、調査日、結果、適切な対策案などをまとめた報告書を、指定された様式で都道府県知事に提出します。報告が不十分だと、再提出や罰則が科される場合もあります。

アスベスト調査報告に対する罰則について

アスベスト調査報告を怠ったり虚偽の報告を行った場合、建物所有者や工事の発注者に罰金や懲役などの罰則が科される可能性があります。適切な報告と対策を怠らないよう注意が必要です。

アスベスト調査報告の事前調査から分析報告までの流れは?

アスベスト調査報告は、次のような手順で行われます。

1. 書面調査

まず、建物の図面や過去の工事履歴、建材リストを基に、アスベストが含まれる可能性のある箇所を特定します。この段階でリスク箇所を把握し、現地調査の効率を高めます。

2. 現地調査

書面調査で特定した箇所を重点的に調査し、建材の特徴や現地の状況を確認します。試料を採取し、アスベストの含有有無を確認する必要がある場合もあります。

3. 試料採取・分析作業

現地で採取された試料は、専門の分析機関でアスベスト含有の有無と含有量を検査します。正確な分析のため、国の基準に従った分析手法が使われます。

4. 報告書作成

書面調査、現地調査、試料分析の結果をまとめ、報告書を作成します。報告書には、アスベストが含まれる箇所やその量、適切な処置方法などが記載されます。

5. 報告書提出

報告書は都道府県知事に提出し、建物所有者や工事関係者も内容を確認します。工事計画に反映し、飛散防止のための措置が求められる場合は専門業者に依頼して対策を行います。

アスベストの事前調査や除去工事の補助金について

アスベストの事前調査や除去工事は専門的な知識と技術が必要であり、費用も高額になるため、国や地方自治体の補助金を活用することが重要です。補助金は、調査費用と

除去費用に分かれており、申請には条件や手続きが必要です。それぞれの補助金の概要と注意点を確認しましょう。

アスベスト調査費用の補助金

アスベストが建材に含まれているかを調べるための調査費用の補助金です。主に、吹付けアスベストやアスベスト含有の吹付けロックウールなど、飛散のリスクが高い建材が対象となります。補助金の上限額は25万円/棟で、具体的な補助率や申請条件は自治体ごとに異なります。

アスベスト除去費用の補助金

アスベストを除去、封じ込め、囲い込みするための工事費用の補助金です。対象建材には、吹付けアスベストやアスベスト含有ロックウールなどが含まれ、除去費用の1/2が支給されますが、上限は100万円/棟です。自治体によって補助金の対象工事や補助率が異なるため、事前に条件を確認してください。

補助金申請と手続きの注意点

補助金の申請と承認には時間がかかる場合があるため、工事のスケジュールを考慮して早めに申請しましょう。通常、補助金の利用には後日の報告書提出が求められます。申請内容に不備があったり、不適切な手続きが行われたりすると、補助金の返還が要求される場合もあるため、専門家に相談しながら確実に進めることが重要です。

アスベストの調査報告が不要となるケースはある?

アスベストの調査報告は多くの建築物で義務化されていますが、すべてのケースで必要なわけではありません。特定の条件や状況に応じて、アスベストの調査報告が免除される場合があります。以下はそのような例です。

  1. 新築物件: アスベストが国内で使用禁止となった後に建設された新築物件では、使用されている建材にアスベストが含まれていないため、アスベストの調査報告は通常必要ありません。ただし、建設に使用された材料の生産時期や原材料の詳細を確認する必要があります。
  2. 事前調査でアスベスト非含有が確認された場合: 建築物がアスベストを含む時期前に建設された場合や、以前に行われたアスベスト調査で非含有が確認されている場合、再度の調査報告の提出は不要となることがあります。ただし、この判断は以前の調査が適切に行われ、信頼できる結果であることが前提です。
  3. 修繕や改修の範囲が非常に限定的な場合: 特定の小規模な修繕や改修作業では、アスベスト調査報告の提出が求められないことがあります。この場合、改修がアスベスト含有建材に影響を与えない、または飛散のリスクが極めて低い作業に限られます。
  4. 特定の自治体の規定による免除: 地方自治体によっては、特定の条件下での免除規定を設けている場合があります。これは自治体の条例やガイドラインによって異なるため、関連する建築物や工事に取り組む前に、地元の建築局や環境局に確認することが重要です。

それぞれのケースでアスベストの調査報告が不要とされるかどうかを確認する際には、専門家の意見を求めたり、適切な法的アドバイスを得たりすることが望ましいです。適切な判断を行うことで、不要なコストと手間を避けるとともに、建築物の安全性を確保することができます。

アスベスト調査報告についてのまとめ

2023年のアスベスト調査報告義務化により、解体や改修工事を行うすべての建築物で、アスベストの事前調査と適切な報告が必須となっています。

アスベストは重大な健康リスクがあるため、専門家の助言を受け、安全に調査と処理を行うことが重要です。建築物石綿含有建材調査者による正確な調査と適切な対策で、アスベストの飛散を防ぎ、健康リスクを最小限に抑えましょう。

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