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マンションの大規模修繕工事でベランダの片付けは必要?注意点や準備も解説

マンションにお住まいの皆様にとって、定期的に行われる大規模修繕工事は建物の維持管理において非常に重要なイベントです。
多くのマンションで、大規模修繕工事にはバルコニーやベランダの工事が含まれます。
ベランダは日常的に使用する空間ですが、法律上は共用部分に位置づけられており、修繕計画に基づき必要な工事が行われます。
新築工事とは異なり、居住者が生活しながら行われる工事のため、円滑に進めるためには居住者の協力が不可欠です。

本記事では、マンションの大規模修繕におけるバルコニー工事に焦点を当て、なぜ工事が必要なのか、どのような工事が行われるのか、そして居住者が事前に知っておくべき準備や注意点、大規模修繕前に確認しておきたいバルコニーのチェックポイントについて、詳しく解説していきます。
大規模修繕を控えている方や、これから計画を立てる管理組合の方にとって、この記事が準備の一助となれば幸いです。

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目次

大規模修繕におけるバルコニーの重要性

マンションのバルコニーは、各住戸が専用で使用できる「専用使用権」が認められていますが、区分所有法上は「共用部分」に該当します。
そのため、バルコニーは大規模修繕工事の対象範囲に含まれることが一般的です。

バルコニーは常に雨風や紫外線にさらされており、床の防水性能や室内側の壁の劣化が進みやすい箇所です。
特に、床の防水層が劣化すると雨水が建物内部に浸入し、下地の傷みや雨漏りの原因となるため、定期的な防水工事が不可欠です。
また、外壁部分の色あせやひび割れなども、美観を損なうだけでなく、雨水の浸入経路となる可能性があります。
こうしたバルコニーの劣化を補修し、建物の安全性と資産価値を維持するために、大規模修繕工事にはバルコニー工事が含まれるのです。

マンションの大規模修繕工事は、居住者が生活しながら行われます。
そのため、特に日常的に利用するバルコニーの工事においては、居住者側の理解と協力が必要不可欠となります。
施工会社は居住者の安全を最優先に生活の負担を軽減する対策を行いますが、工事を円滑に進めるためには、居住者と施工会社が協力しあうことが求められます。

バルコニーは専有部分?共用部分?

前述の通り、バルコニーは、特定の区分所有者のみが使用できる「専用使用権」が認められているものの、法律上は「共用部分」に該当します。
国土交通省が定めるマンションの標準管理規約でも、バルコニーは共用部分とされています。

この「共用部分である」という点が重要です。
共用部分の修繕計画は管理組合で決定されるため、居住者が個別に「自分のバルコニーだけは工事をしないでほしい」と拒否することは基本的にできません。
大規模修繕の工事対象にバルコニーが含まれると決定された場合、原則として全戸で工事が行われます。

バルコニーで行われる主な工事内容

マンションの大規模修繕でバルコニーに関連して行われる主な工事は以下の通りです。
これらの工事によって、バルコニーの防水性や耐久性が回復し、美観が維持されます。

外壁の下地やタイルの補修

バルコニーに面した外壁コンクリートやタイルのひび割れ・欠損・浮きなどを補修する工事です。
これらの不具合を放置すると、雨水が侵入し建物の躯体(構造部分)を傷める原因になります。
この工事は、次に行われる塗装工事や防水工事の仕上がりに大きく影響する重要な下地処理となります。

作業中にコンクリートを削ったり穴を開けたりするため、騒音やホコリ、チリがどうしても発生します。
そのため、工事期間中はバルコニーに洗濯物を干すことができません。

シーリング工事

シーリングとは、サッシ廻りや建具廻り(窓の開口部)、コンクリートの継ぎ目などに充填されるゴム状の防水材のことです。
シーリング材が劣化(剥がれ・割れなど)すると、隙間から雨水が浸入し、漏水の原因となります。
シーリング工事では、既存のシーリング材を撤去し、新しいシーリング材に打ち替えることで、サッシの気密性・水密性を保ち、漏水を防止します。

シーリング工事と網戸取り外しの関係

サッシ廻りのシーリング工事を行う際、網戸が付いたままだと作業員が作業をしづらく、さらには網戸が破損するリスクも生じます。
そのため、シーリング工事をスムーズかつ安全に行うためには、事前に網戸を取り外しておく必要があります。

高圧洗浄

外壁の下地・タイル修繕やシーリング工事が完了した後、バルコニーの床・天井・壁などを高圧の水で洗浄します。
これは、長年の間に蓄積した汚れやコケなどをしっかり落とすことで、その後に塗布する塗装材や防水材の密着性を高めることを目的としています.
高圧洗浄中も洗浄水が飛散するため、この期間もバルコニーに洗濯物を干すことはできません。

外壁塗装

バルコニーに面した室内側の外壁に、色あせや変色・ひび割れ・剥がれなどがある場合、補修を行い、塗装を塗り直します。
この工事は美観の維持だけでなく、雨水の浸入を防ぎ、建物を紫外線や雨風から保護するという重要な役割があります。
塗装の不具合(塗りムラや浮きなど)は、建物の保護機能を果たせず、老朽化を早めることにもつながります。
また塗料のにおいについても、近年では弱溶剤系塗料や水性塗料など、比較的低刺激な塗料が使用されることも増えています。

防水工事

バルコニーの床面に防水層を新たに作る、または補修する重要な工事です。
これにより、バルコニーへの雨水の浸入や、建物内部への漏水を防ぎます。
バルコニーの床材や建物の構造に合わせて、最適な工法が採用されます。

バルコニー防水工事の種類

バルコニーで行われる主な防水工事には以下の種類があります。
それぞれに特徴や費用・耐用年数が異なります。

防水工法特徴メリットデメリット耐用年数費用目安
ウレタン防水液体状のウレタン樹脂を複数回塗布して防水層を形成どんな下地にも対応可能
複雑な形状にも施工しやすい
費用が比較的安価
均一に仕上げるのが難しい
施工に技術が必要
10~14年3,000~7,500円/㎡
FRP防水液体状の不飽和ポリエステル樹脂+補強材で形成軽くて強度のある繊維強化プラスチックを使用硬化が早く工期が短い
高い防水性・耐久性・耐候性
費用が高め
施工に技術が必要
10~12年5,000~7,500円/㎡
シート防水ゴムや塩ビシートを下地に貼って防水層を形成品質に差が出にくい
比較的簡単に施工できる
広い面積や屋上に適する
低コスト
継ぎ目ができる
耐久性が比較的低い
10~15年3,500~7,500円/㎡

どの工法であっても、防水層の表面を保護するトップコートは5年ごとに塗り直す必要があるなど、定期的なメンテナンスは不可欠です。
また施工する場所の日当たりや形状によって、施工期間・費用などは大きく異なるため、十分に見積もり内容を確認しておくことが重要と言えるでしょう。

大規模修繕前のバルコニーの事前準備

大規模修繕工事が始まる前に、居住者がバルコニーに関して行うべき事前準備は主に以下の通りです。
これらの準備を行うことで、工事をスムーズに進めることができ、自身の荷物へのホコリや塗料の飛散・破損を防ぐことができます。

バルコニーの荷物や植物を撤去する

工事期間中は作業員が頻繁にバルコニー内に出入りして作業を行います。
バルコニーに私物や植物が置かれていると工事の妨げとなり、作業効率が低下したり、荷物自体が汚れたり破損したりする恐れがあります。
そのため、基本的にバルコニーに置かれている全ての私物や植物を、事前に室内など安全な場所へ移動・撤去する必要があります。

エアコンの室外機は原則そのまま

多くのケースで、エアコンの室外機はバルコニーに置いたままで大丈夫です。
室外機は簡単に取り外せないため、工事の際に移動が必要な場合は、施工業者が対応してくれるのが一般的です。
ただし、室外機を移動させた場合は、一時的にエアコンが使用できなくなることがあります。
また、床の防水工事を行っている期間は、室外機の移動の有無にかかわらず、エアコンの使用ができなくなる場合があるので注意が必要です。

自分で設置した物干し竿掛けやタイル・人工芝も撤去が必要

マンションの設備として備え付けられている物干しや竿掛けは、施工業者が撤去や再設置を行ってくれる場合がほとんどですが、自分で後から設置した自立式の物干し掛けなどは、居住者が移動または撤去を行う必要があります。
同様に、自分で設置したタイルや人工芝なども、工事の妨げになる場合は撤去が必要となる可能性が高いでしょう。
「タイルがうまく剥がせない」「重くて持ち運べない」といった自力での移動が困難な場合は、施工会社に相談して期日までに撤去しておきましょう。

BS/CSアンテナの確認・撤去

各家庭で個別に設置したBS/CSアンテナも、工事の範囲によっては撤去や再設置が必要になる場合があります。必ず事前に施工会社に確認してください。
もし撤去の方法が分からない場合は、設置を依頼した業者に相談することも検討しましょう。

バルコニーの網戸を取り外し保管する

シーリング工事でサッシ廻りの作業を行う際、網戸が付いたままだと作業の支障になったり、工具や作業員が接触して網戸が破損したりする可能性があります。
そのため、大規模修繕工事の前には、バルコニーに面した掃き出し窓などの網戸を事前に取り外して、室内で保管しておく必要があります。
網戸の保管用に袋が支給されることも多いです。

網戸の一般的な取り外し方

網戸の取り外し方は多くのタイプで共通しており、以下の手順が一般的です。

  1. STEP

    ドライバーなどを使って網戸についている「外れ止め」を解除する

  2. STEP

    網戸を少し上に持ち上げる

  3. STEP

    網戸の下部をレールから外して室外側へ倒すように引き出す

  4. STEP

    網戸上部をレールから外す

ただし「外れ止め」の位置や「脱輪防止機構」の有無・操作方法などは、メーカーによって違いがあります。
事前にメーカーのウェブサイトなどで確認しておくか、不明な場合は管理会社や施工会社に問い合わせておくと安心です。
なお、タワーマンションなどの高層階でまれに室内側に網戸がついているタイプは、工事に影響しないため取り外す必要はありません。

荷物の撤去や処分は自費でおこなう

バルコニーに置かれた居住者の私物や植物の撤去・移動、および処分にかかる費用は、基本的に居住者の自費となります。
普段から不要なものを置かない、大きなものを置かないように心がけることが、修繕時の負担を軽減することに繋がります。

荷物の保管場所に困ったときの対処法

室内で全ての荷物を保管するのが難しい場合や、一時的に預けたい荷物がある場合の対処法としては、いくつか選択肢があります.

トランクルームや知人への預け

室内に入りきらない荷物や、一時的に保管場所が必要な荷物のために、トランクルームを契約して一時的に預けるという方法があります。
また、観葉植物など定期的な水やりが必要なものは、親族や友人に一時的に預かってもらうことも検討しましょう。

管理組合や施工会社に相談(仮置き場・専門業者紹介など)

マンションによっては、管理組合の承認を得て、鉢植えやプランターなどを共用部に一時的に保管できる場所(仮置き場)を設ける場合があります。
大規模修繕が始まる前に、管理組合で話し合っておくのがおすすめです。
また、施工会社によっては、バルコニー内の不要物について、指定期間内に荷物を入れられる「ごみコンテナ」を設置してくれることもあります。

自力で荷物を移動できないときの対処法

大きな物置や、自分で設置したタイルの撤去など、自力で荷物を移動・撤去するのが困難な場合も、施工会社にすぐに相談することが重要です。
施工会社によっては専門業者を紹介してくれたり、オプション料金で荷物の移動を請け負ってくれたりなど、何かしらの対処を行ってくれる可能性があります。
「施工開始までに撤去が進まない」という事態に陥らないよう、あらかじめ相談しておきましょう。

バルコニーの片付けや網戸の撤去はいつまでに行う?

バルコニーの片付けや網戸の取り外しを行う目安となる時期は、足場の組立が完了するまでです。
ただし、建物の形状や工事の進捗状況によって具体的な期限は異なるため、必ずマンションの掲示板や配布される通達などを確認しておきましょう。

大規模修繕の計画自体は、かなり前から総会などで議題に上がり、工事時期がおおよそ把握できるよう計画されることが通常です。
通達文書は工事開始の2〜3週間前に配布されるのが一般的ですが、居住者間で情報共有を行い、余裕を持って片付けや網戸の取り外しを行うことが推奨されます。

大規模修繕期間中のバルコニーに関する制限と注意点

大規模修繕工事期間中は、工事内容や工程に応じてバルコニーの使用が制限されます。
居住者が知っておくべき制限や注意点は以下の通りです。

工事期間中はバルコニーの使用が制限される

バルコニーに関連するさまざまな工事(下地補修・塗装・防水など)が行われる期間中は、作業のためにバルコニーへの出入りが制限されます。
特に壁面の塗装工事が行われている間は、塗料の飛散を防ぐためにサッシ窓がビニールで完全に覆われてしまい、窓を開けて換気をすることや、バルコニーへの出入りが一切できなくなる期間があります。

バルコニーに入れない期間はどのくらい?

バルコニーへの立ち入りが完全に制限される期間は、一般的には約1〜2週間程度となるケースがほとんどです。
これは主に、下地補修や防水材・塗料などの材料が硬化するのに必要な期間です。

ただし、片付けた荷物をバルコニーに戻せるようになるのは、ベランダ工事が全て終わった後になります。
目安としては、工事終了から約3ヶ月後というケースが多いようです。
工事終了後も数日間は入れない場合もあるため、工事のスケジュールやバルコニーの使用制限については、管理組合や施工会社からの通達をあらかじめしっかり確認しておくことが重要です。

洗濯物は室内干しが必要

工事期間中は、バルコニーでの作業に伴うホコリやチリ・塗料・洗浄水などの飛散が考えられます。
これらの付着を防ぐため、基本的に工事期間中は洗濯物をバルコニーに干すことができず、室内干しが必要となります。
工事内容や工程によっては外干しできる期間が発生する場合もあるため、事前に管理会社や施工会社に確認すると良いでしょう。

騒音や振動・塗料のにおいが発生する可能性がある

大規模修繕工事では、下地補修でコンクリートを削る・タイルの補修・外壁塗装などで、騒音や振動・塗料のにおいが発生する可能性があります。
これらの発生は避けられない場合が多いため、あらかじめ時期や期間を把握しておくことが重要です。

ただし近年では、塗料のにおいを抑えた塗料が使用されることも多くなっています。
しかし、においに敏感な方や体調によっては影響が出ることがあります。
万が一、においがきつく気分が悪くなってしまった場合には、すぐに病院を受診するとともに、管理組合や施工業者へ対策を講じてもらうようにしましょう。

施工後すぐに触らない

塗装や防水工事が完了した箇所は、材料が完全に乾くまで時間がかかります。
作業が終わって作業員がいなくなっても、すぐに触ったり荷物を置いたりしないことが重要です。
十分な施工品質を確保するためにも、事前に提示された期間を守るようにしましょう。

足場には絶対に上がらない

工事期間中、建物の外壁などに沿って作業用の足場が仮設されます。
この足場は非常に危険であり、関係者以外の立ち入りは厳禁です。
また、1階周りなども資材や工具などが置かれている場合があり危険が伴うため、十分注意して歩行するようにしましょう。

工事期間中は戸締りの協力を

大規模修繕工事期間中は、施工会社の作業員や管理会社の担当者など、さまざまな外部の人間がマンションに出入りします。
施工に関わるスタッフは腕章などを身につけて分かりやすくしていますが、それでも不審者が紛れ込む可能性はゼロではありません。
防犯のため、工事期間中は窓などの戸締りを徹底し、安全に留意することが重要です.

テレビやエアコンなどの家電は基本的に使用可能

工事期間中であっても、テレビやエアコン・換気扇・給湯器などの家電は基本的に通常通り使用可能です。
ただし、バルコニー床面の防水工事を行っている期間は、エアコンの使用ができなくなる場合があるので注意が必要です。
万が一、工事期間中にテレビが見れなくなった・エアコンの調子が悪いなど、設備のトラブルが判明した際は、管理会社や施工会社に問い合わせましょう。

バルコニーの大規模修繕に関するその他の注意点

大規模修繕におけるバルコニー工事に関して、その他にも重要な注意点があります。

バルコニーの大規模修繕は拒否できない

マンションのバルコニーは「専用使用権のある共用部分」です。
大規模修繕工事は、建物の安全性や資産価値を維持するために管理組合が計画し、区分所有者全体の合意(総会決議など)に基づいて実施されるものです。
そのため、バルコニーが工事対象となった場合、居住者が個別に「自分の部屋のバルコニーだけは工事をしないでほしい」と拒否することは、原則として認められません。
全戸で同時に行うことで、工事の効率化やコスト削減を図っている側面もあります。

工事の進捗は随時確認が必要

工事内容や期間については、施工開始前に共有されることがほとんどですが、天候や思わぬトラブルなどにより計画と実際の進捗にズレが生じることもあります。
荷物の保管期間にも影響するため、工事の進捗は随時確認しておくようにしておくと安心です。

大規模修繕に伴うバルコニーの事前チェックポイントとは?

大規模修繕工事の前には、建物の劣化状況を把握したり、工事計画に反映させたりするために、居住者に対して事前アンケートが実施されることがあります。
このアンケートは、専門家による診断と合わせて、建物の状態をより正確に把握するための重要な情報源となります。

アンケートの際に「自分のバルコニーのどこを確認すればよいのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
以下のチェックポイントを参考に、ご自身のバルコニーの状態を確認し、正確に報告することが重要です。
また不具合を見つけたら、写真に撮っておくと状況を伝えやすいでしょう。

柱や梁・床・天井にひび割れがないか?

バルコニーを支える柱や梁、そして床や天井といったコンクリート部分にひび割れがないかを確認しましょう。
ひび割れには、コンクリートの乾燥収縮によるものや、地震・地盤沈下などの外部からの力によって生じるものなど、さまざまなものがあります。
ひび割れを放置すると、そこから雨水が浸入し、建物の劣化を早める可能性があります。
ひび割れの幅や位置・向き・形状などによって原因や緊急度が異なるため、専門家(マンション管理士や建築士など)による判断が必要となります。
アンケートでは、ひび割れの場所や程度を具体的に報告しましょう。

排水溝に傷や膨れがないか?

降った雨水を排水するための排水溝(側溝)部分の防水材に、傷や剥がれ・膨れがないかを確認しましょう。
排水溝にはウレタン塗膜防水などの防水材が塗られていることが多いですが、この防水材が劣化していると、そこから雨水が浸入し、漏水の原因となります。

排水溝、床の勾配が確保されているか?

バルコニーの床や排水溝に雨水が溜まったままになったり、湿った状態が続いたりすると、防水層の劣化を早める原因になります。
床が適切に排水溝に向かって緩やかに傾斜(勾配)が取られているか、そして排水溝が排水口に向かって適切に勾配が取られているかを確認しましょう。
排水溝の勾配は非常に緩やかなため、定期的な掃除を行って、枯葉や泥などが詰まらないようにしておくことが重要です。
アンケートでは、水が溜まりやすい箇所や水はけの悪さなどを報告しましょう。

手すりや隔て板はしっかり固定されているか?

バルコニーの手すりや、隣戸との境にある避難用の隔て板(仕切り板)が、ぐらつきなくしっかり固定されているかを確認しましょう。
手すりを固定しているナットやボルトに緩みがないか、手摺りや隔て板にガタツキや異音がないかを揺らすなどして確認します。
これらの固定が緩んでいると、安全性が損なわれるため重要なチェックポイントです。

シーリング材に剥がれや割れがないか?

サッシやバルコニーのコンクリートの継ぎ目などに充填されているシーリング材に、剥がれやひび割れがないかを確認しましょう。
シーリング材は防水性や気密性を保つ役割がありますが、紫外線などによって劣化し、ひび割れたり痩せたり剥がれたりします。
ここから雨水が浸入すると漏水に繋がる恐れがあるため、十分にチェックしておく必要のある部分です。

オーバーフロー管が詰まっていないか?

バルコニーの排水口の近くに、床面から立ち上がっている小さなパイプがある場合があります。
これがオーバーフロー管で、台風や集中豪雨などでメインの排水口が詰まり、雨水を排水できなくなった場合に、雨水がバルコニーから室内へ溢れ出すのを防ぐため、一時的に水を外へ排出する緊急用の排水管です。
万が一排水口が詰まり、さらにこのオーバーフロー管も詰まっていた場合、バルコニーに溜まった雨水が室内へ浸水してしまう恐れがあります。
定期的に詰まりがないか確認し、ゴミなどが溜まっている場合は掃除しておきましょう。

塗装面に塗りムラや浮きがないか?

バルコニーの内側などの塗装面に、塗りムラや色あせ、塗料の浮き(剥がれや膨れ)がないかを確認しましょう。
塗装面の不具合は、塗装前の下地処理不足・乾燥不足・塗り厚の不均一などが原因で発生します。
塗装は美観を保つだけでなく、建物を紫外線や風雨から保護する重要な役割があります。
塗装に不具合があると、この保護機能が低下し、建物の老朽化を早めることにつながってしまいます。

まとめ

マンションの大規模修繕におけるバルコニー工事は、建物の共用部分として不可欠なメンテナンスです。
日常的に使用する空間であるからこそ、工事に伴う居住者の準備や協力が工事の円滑な進行には欠かせません。

工事前にはバルコニーの荷物や植物を撤去し、網戸を取り外すといった事前準備が必要です。
これらの準備は居住者の自費で行うことが一般的であり、必要に応じて保管場所の確保や施工会社への相談も検討しましょう。

工事期間中はバルコニーへの出入りや使用が制限され、室内干しが必要になるなど、日常生活への影響があります。
騒音やにおいが発生する可能性もあるため、事前にこれらの注意点を理解しておくことが大切です。
また、バルコニーは避難経路でもあるため、日頃から整理整頓し、不要な物を置かないようにすることが、大規模修繕時だけでなく、マンションでの安全な生活のために重要となるでしょう。

大規模修繕は、マンションの寿命を延ばし、快適な居住環境と資産価値を維持するために必要な投資です。
居住者一人ひとりがバルコニー工事の重要性を理解し、適切な準備と協力を行うことで、マンション全体の大規模修繕を成功に導くことができます。
さらに事前アンケートを活用してバルコニーの状態をチェックし、不具合があれば報告するなど、積極的に大規模修繕に関わる姿勢も大切です。

建物の資産価値の維持と安全安心な暮らしのためにも、事前の情報収集や施工中の進捗の確認などを欠かさず行い、満足度の高い大規模修繕工事にしましょう。

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