マンションやビルの大規模修繕は、建物の寿命を延ばし、美観や機能を維持するために欠かせない作業です。
その中でも特に重要な役割を果たすのが「足場」だと言われています。
足場は工事中における作業員の安全を守るだけでなく、作業の効率や工事の品質・建物の周辺環境への影響にまで関わってきます。
しかし、多くの管理組合やオーナーにとって、足場の重要性や業者選びのポイントは十分に理解されていないことも少なくありません。
この記事では、大規模修繕における足場の役割や種類・設置のポイント・足場業者の選び方など、詳しく解説していきます。
修繕工事の計画を立てる際の、参考にしてみてください。
大規模修繕・防水工事・外壁塗装なら
新東亜工業へ!
マンション修繕の顧客満足度98%
マンション・アパート・ビルの大規模修繕や防水工事の最適な工法を提案し、プロの技術で安心した施工をお約束!
- 自社施工で高品質な仕上がり
- 中間マージンを排除、適正価格を実現
- 大規模修繕・防水工事の豊富な実績
- 最長10年の保証付、安心のアフターフォロー
- 関東エリアを中心に幅広い地域へ対応
\中間マージン0だから他社よりも低コスト/
目次
大規模修繕における足場の役割とは?
大規模修繕では、高層の外壁や屋根・バルコニー・手すり・窓枠・防水シート・排水設備など、建物のあらゆる部分に手を加える必要があります。
こうした作業を進めるにあたり、高所作業用の仮設構造物=足場は欠かせません。
足場の役割として、主に以下のことが挙げられます。
安全の確保
足場における第一の役割は、作業員の安全を確保することです。
外壁の補修や塗装作業は高所で行われることが多く、万が一足を滑らせれば大事故につながりかねません。
足場はそのような事故を防ぐための「命綱」のような存在です。
作業の効率を上げる
足場は高所作業や外壁工事の現場で、作業効率を大幅に上げる重要な役割を果たします。
作業員が安全かつ安定した場所で作業できるため、余計な移動が不要になり、作業時間の短縮にもつながります。
また、工具や資材を置けるスペースが確保されるので、効率的な作業の流れが生まれ、結果として工期の短縮と品質向上を実現します。
建物や周辺環境を保護する
足場には通常、養生シートが張られ、塗料やコンクリートの破片・粉塵などが周囲に飛散するのを防ぎます。
これにより、居住者の生活環境や隣接する建物・歩行者や車両への被害を最小限に抑えることが可能です。
足場はただの作業用の枠組みではなく、工事の安全・品質・環境のすべてを支える土台となり、建物や周辺環境を保護する重要な役割を果たします。
大規模修繕で使われる足場の種類
枠組足場
最も一般的なのは、枠組足場(わくぐみあしば)です。
鉄製のフレームを組み立てて作る足場で、高層マンションやビルなどによく使用されます。
強度と安定性に優れており、重量のある材料や機材を使う工事でもしっかり耐えられるのが特徴です。
くさび式足場
くさび式足場とは、くさび状の金具を使って部材同士を接続するタイプで、組み立て・解体が比較的スピーディです。
中低層の建物や狭いスペース・部分的な補修工事などに向いています。
ただし、枠組足場に比べてやや強度が劣るため、使用できる条件は限られます。
吊り足場
吊り足場は、地面に足場を立てられない場合に、上部の構造物から足場を吊り下げる方式です。
橋梁の裏側やビルの吹き抜け部分、川や海に面した建物などで使われ、作業空間を広く確保できるメリットがあります。
足場作業の流れ
大規模修繕工事における足場作業は、安全性と効率性を確保するために、綿密な計画と段階的な作業が求められます。
以下に、足場作業の一般的な流れを説明します。
- STEP
現地調査と計画立案
足場作業の第一歩は、現地調査です。
施工業者は建物の形状・周囲の環境・敷地の広さ・交通状況などを詳細に調査し、最適な足場設計を行います。
この段階で、足場の種類や配置・高さ・作業動線などを計画し、必要な資材や人員を見積もります。 - STEP
近隣住民への挨拶と周知
工事開始前には、近隣住民への挨拶と工事内容の周知が重要です。
足場の設置や解体時には騒音や振動が発生するため事前に説明し、理解と協力を得ることで、トラブルを未然に防ぐことができます。 - STEP
資材の搬入と仮置き
計画に基づき、必要な足場資材を現場に搬入します。
資材は、作業の進行に支障がないよう、適切な場所に仮置きされます。
この際、通行人や車両の安全を確保するため、カラーコーンやバリケードを設置し、誘導員を配置することもあります。 - STEP
基礎部分の設置
足場の安定性を確保するため、まず基礎部分を設置します。
地面に敷板やジャッキベースを配置し、その上に支柱を立てていく流れです。
この作業では、水平性と垂直性を正確に保つことが求められます。 - STEP
支柱と横架材の組立
基礎の上に垂直方向の支柱を立て、水平方向の横架材を取り付けていきます。
この際、各接続部は確実に固定し、全体の強度と安定性を確保します。
また、作業床となる足場板を設置し、作業員が安全に移動できるようにします。 - STEP
手すりや筋交いの設置
作業員の墜落を防止するため、足場の外周には手すりを設置します。
また、足場全体の剛性を高めるために、斜め方向の筋交いを取り付けて構造を強化します。 - STEP
養生シートの取り付け
塗料や粉塵の飛散を防ぐため、足場の外側に養生シートを張ります。
これにより、周囲の建物や通行人への影響を最小限に抑えることが可能です。 - STEP
安全点検と最終確認
足場の組立が完了したら、施工責任者による安全点検を実施します。
接続部の緩みや部材の欠損がないか、作業床の強度が十分かなどを確認し、問題がなければ作業開始の準備が整います。 - STEP
作業中の安全管理
修繕作業中も足場の安全管理は継続され、定期的な点検や清掃などを行い、異常があれば速やかに対応します。
また、作業員には安全帯の着用や工具の落下防止措置など、安全対策の徹底が求められます。 - STEP
足場の解体と撤去
修繕作業が完了したら、足場の解体作業に移ります。
解体は組立と逆の手順で慎重に行い、部材の落下や周囲への影響を防ぎます。
解体後は資材を搬出し、現場の清掃を行って作業は終了です。
設置前に確認すべきポイント
足場設置を始める前に、現場で次のような確認を行う必要があります。
現場環境の確認
建物周囲の地面は平坦か、傾斜や凹凸はないかを確認します。
特に地盤が柔らかい場所では、敷板やベースプレートなど、基礎の補強が必要です。
周囲に電線が張り巡らされている場合は、感電防止のための絶縁措置や電力会社との連携も求められます。
建物の形状・高さの確認
建物の高さや形状に応じて、単管足場・くさび緊結式足場・枠組足場など、最適な種類を選ぶ必要があります。
例えば、高層建物には強度の高い枠組足場が適し、狭小地では単管足場の柔軟性が役立ちます。
作業内容と必要設備の確認
塗装や修繕工事では、作業員が荷物を持ちながら移動するため、幅広の作業床が必要です。
また、飛散防止のためのメッシュシートや防音対策・照明設備なども事前に計画します。
設置作業中の注意点
基礎部分の安定性
足場は、ジャッキベースや敷板を確実に設置し、水平・垂直を正確に保つことが重要です。
少しの傾きやガタつきが、上層部では大きなズレやぐらつきにつながるため、基礎部分の安定性には細心の注意が求められます。
組立手順の厳守
足場の組立には、国の定める労働安全衛生法や組立等作業主任者による監督が義務付けられています。
決められた手順を省略したり、仮設固定のまま作業を進めることは厳禁です。
天候・風速の確認
足場組立中に強風が吹くと、資材の飛散や足場の転倒リスクがあります。
天候を事前に確認し、風速によっては作業を中止する判断が必要です。
設置後・使用中の注意点
安全点検の徹底
設置完了後は必ず、安全点検を行いましょう。
接続部の緩みや足場板の破損・筋交いや手すりの欠損がないかを確認し、使用中も定期的な点検が必要です。
特に台風・地震後は足場が見た目以上にダメージを受けている可能性があるため、作業前の再確認が重要です。
適切な使用ルールの徹底
作業員には安全帯の着用や資材の落下防止措置・積載荷重の厳守など、基本ルールを徹底させる必要があります。
これらは足場設置時だけでなく、使用中も事故を防ぐための必須条件です。
防犯対策
足場設置後は、防犯対策が非常に重要です。
簡単に高所へ侵入できる経路となるため、夜間や無人時には特に注意し、足場周囲の施錠やセンサーライト・防犯カメラの設置などを検討し、不審者の侵入を防ぎましょう。
また、足場自体に登りにくくするカバーを設置するのも有効な方法です。
近隣住民や周辺環境への配慮は?
足場設置工事は騒音や振動・視界の遮断など、周辺環境に影響を与える場合があります。
そのため近隣住民や周辺環境への配慮が求められます。
養生と飛散防止
足場の外周には、メッシュシートや防音パネルを取り付け、塗料や粉塵の飛散を防ぎます。
この養生作業が不十分だと、車両や隣家の外壁に汚れや傷をつけ、賠償問題に発展する可能性があるので注意しましょう。
工事前の周知と挨拶
工事開始前には、近隣住民への説明と挨拶を行いましょう。
事前に工事の目的や期間・騒音が発生する時間帯を伝えることで、理解と協力を得やすくなります。
足場費用の目安と内訳
大規模修繕における足場費用は、全体の工事費用の2~3割を占めると言われています。
これは決して小さな金額ではありません。
例えば、マンション1棟の修繕工事費用が1億円だとすると、足場関連費用だけで2000万~3000万円程度がかかる計算になります。
この費用には、足場の設計・設置・養生シート・安全設備・解体・運搬など、さまざまな工程のコストが含まれています。
足場の費用は建物の高さや面積・使用する足場の種類・敷地の条件・作業期間などによって、大きく変動します。
見積もりを取る際は単に「総額」だけを見るのではなく、内訳が明確に示されているか、追加費用の可能性がないかをしっかり確認することが重要です。
足場業者選びのポイント
足場の品質や安全性は、業者の技術と管理能力に大きく依存します。
そのため、足場業者を選ぶ際は次のポイントを重視しましょう。
実績や資格の確認
足場業者を選ぶ際は、まず過去の実績を確認することが大切です。
特にマンションや高層ビルの大規模修繕の実績が豊富な業者は、現場特有の課題に対応できるノウハウを持っています。
特に、同じような建物規模・作業内容での経験があれば、現場特有のリスクを理解している可能性が高いです。
また、足場の組立等作業主任者が在籍しているかも確認しておきましょう。
安全管理体制
安全管理体制を見極めることも、重要なポイントです。
例えば、作業員の安全教育を定期的に行っているか、現場での安全管理マニュアルが整備されているか、事故発生時の対応体制が明確になっているかなどがあります。
見積もりの明確さ
見積もりの明確さも重要なため、足場業者を選ぶ際はしっかり確認しましょう。
「一式」表記が多く、材料費・人件費・運搬費・解体費などの具体的な数量や単価が書かれていない見積書の場合は要注意です。
複数の業者から相見積もりを取り、内容を比較検討することで、トラブルを回避しやすくなります。
また、業者の対応における丁寧さや、管理組合や居住者への説明・配慮の姿勢も重要な判断基準となるでしょう。
資格や保険加入の有無
労災保険や賠償責任保険など、保険加入の有無も確認しておくと安心です。
工事中の事故や破損が発生した際に、業者がきちんと責任を負える体制であることは、管理組合にとっても大きな安心材料となります。
万が一事故が発生した場合、適切な保険がなければ発注者側が負担を負うリスクがあります。
アフター対応の確認
足場設置後の定期点検や緊急時対応が明確かどうかも、業者選びの重要な基準です。
解体後の現場清掃や資材撤去など、最後まで責任を持ってくれる業者を選びましょう。
足場設置のよくあるトラブルと回避策
足場設置工事は建物の大規模修繕や塗装・改修などに欠かせない重要な工程ですが、適切な管理がなされないと大きなトラブルを引き起こす可能性があります。
ここでは、足場設置現場で実際によく発生するトラブルを具体的に解説し、それぞれの回避策を紹介します。
工事中の足場の揺れ・ぐらつき
足場は高さがある構造物のため、わずかな揺れや歪みが上層では大きく感じられます。
これにより、作業員が恐怖を感じ作業効率が低下するだけでなく、転落や足場倒壊といった重大事故に発展する恐れがあります。
よくある原因としては、地盤が柔らかく沈下した・設置時にジャッキベースや支柱の固定が甘かったなどが挙げられます。
また、筋交いや控え材(建物側の固定)が不足していることや、強風による揺れが構造全体に伝わることでも、足場が不安定になるため注意しましょう。
足場設置前に地盤の強度を確認し、必要に応じて敷板や鉄板で補強することが大切です。 設置中は作業主任者が各部の水平・垂直を確認し、必要な箇所に筋交いや控え材を確実に取り付けます。
特に強風対策としては、気象情報の確認を徹底し、風速によっては作業を一時中断するといった、作業計画を柔軟に見直す必要があります。
飛散防止シートの破れ・劣化による近隣被害
足場の周囲を覆う飛散防止シートは、塗料や粉塵の飛散を防ぐ重要な役割を持っています。
しかし、強風や紫外線で劣化したシートが破れると、近隣の建物や車両に塗料やゴミが飛散し、損害賠償問題に発展することがあります。
固定紐やクランプの締め付け不足・古いシートの再利用・強風時にシートを巻き上げず放置することなどが主な原因です。
そのため、事前に使用するシートの状態を確認し、破れや劣化が見つかった場合は必ず交換します。
また、強風予報が出た際は事前にシートを巻き上げるか、一時的に取り外しておく対応を計画に組み込みましょう。
資材搬入・搬出時の通行人との接触事故
足場資材は長尺・重量物が多く、搬入・搬出時に通行人や車両と接触しそうになることがあります。
万が一、資材が倒れて人に当たった場合、大怪我や訴訟問題に発展するため注意が必要です。
搬入ルートの安全確保が不十分であったり、作業員の誘導・交通整理が不足していたりすると起きやすくなります。
作業前に資材搬入・搬出ルートを確保し、必要に応じて道路使用許可を取得しましょう。
通行人の多い場所では誘導員を配置し、作業中は歩行者・車両を一時的に通行止めにするなど、安全対策を徹底します。
また資材を一時置きする場合は、倒れ防止の仮置き枠やバリケードの設置が必要です。
足場資材の落下事故
高所での作業中に工具や材料・足場部材が落下すると、下にいる作業員や通行人に深刻な被害を及ぼす可能性もあります。
作業員の落下防止措置が不十分であったり、工具や材料を置きっぱなしにしていたりすると事故につながるため注意しましょう。
足場使用中は作業員全員に安全帯・工具落下防止コードの着用を義務付け、足場の手すりや落下防止ネットを設置することが大切です。
作業終了後はその場に物を残さないよう「整理・整頓・清掃」をルール化し、全員で徹底します。
近隣住民からの苦情・クレーム
工事中は騒音・振動・視界の遮断など、近隣に少なからず迷惑がかかります。
例えば、工事内容を知らせずに始めたり、対応が不誠実だったりすると、苦情・クレームが殺到し工事の中断や評判悪化につながるでしょう。
工事開始前には近隣住民へ説明会や挨拶回りを行い、工事の目的・期間・作業時間帯を誠実に伝えることが大切です。
特に騒音が発生しやすい作業は日中に限定し、防音パネルや吸音材の設置で影響を最小限に抑える努力をします。
万一クレームが入った場合は、速やかに対応・改善策を示す誠意が重要です。
追加費用の発生
足場設置後に「思ったより工期が延びた」「強風対策や養生が追加で必要になった」などの理由で、見積もり以上の費用が発生することがあります。
工期や工程を詰め込みすぎた・想定外のトラブルに対する予備費を見込んでいなかった・見積書が不明瞭だった場合は注意しましょう。
工事契約前に見積書を詳細に確認し、「追加費用が発生するケース」と「その場合の単価」を明示してもらいます。
さらに、予備費を予算に盛り込んでおき、計画にはある程度の余裕を持たせましょう。
業者選びの段階から曖昧な説明を避け、質問には誠実に答えてくれる業者を選ぶことが大切です。
まとめ
大規模修繕では、高層の外壁や屋根・バルコニーなど、建物のあらゆる部分に手を加えます。
こうした作業を進めるにあたり、安全の確保や作業の効率を上げるためにも足場の設置が欠かせません。
足場には、養生シートが張られ、塗料やコンクリートの破片・粉塵などが周囲に飛散するのを防ぎ、建物や周辺環境を保護する役割も果たします。
そのため、信頼できる足場業者を選び、必要な知識と注意点を押さえ、安心・安全な工事に取り組むことが大切です。
足場設置現場ではさまざまなトラブルが起こるリスクがありますが、事前の計画と注意・安全対策で、ほとんどの問題は未然に防げるでしょう。
現場環境や作業内容の徹底確認を行い、安全管理・施工基準の遵守しながら、周囲や関係者との円滑なコミュニケーションを図ることが求められます。
これらを徹底することで、安全・安心かつスムーズな工事が実現できるでしょう。