屋根は、建物を風雨から守る重要な役割を担っています。
しかし、経年劣化によって防水性能が低下し、雨漏りをはじめとするさまざまな問題が発生することがあります。
多くの場合は屋根の塗装を行うことで防水性能を回復させることができますが、ノンアスベスト屋根材の場合は、塗装ができない特徴があります。
そこで本記事では、ノンアスベスト屋根材の特徴・問題点・リフォーム方法などについて、詳しく解説します。
ノンアスベスト屋根材の住宅をお持ちの方や屋根のリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
ノンアスベスト屋根材とは?屋根塗装はできる?
ノンアスベスト屋根材は、アスベストを含まない屋根材のことを指します。
アスベストは、天然の鉱物繊維で耐熱性・耐火性・断熱性に優れた材料ですが、発がん性があることが明らかになり、現在では使用が禁止されています。
従来のスレート屋根材には、アスベストが含まれていましたが、1970年代後半からアスベストを使用しないノンアスベスト屋根材が開発され、普及し始めました。
ノンアスベスト屋根材には、繊維強化セメント板やガラス繊維強化セメント板などがあります。
ノンアスベスト屋根材は、アスベストの健康被害を防ぐために開発された安全な屋根材ですが、従来のスレート屋根材とは異なる特性を持っています。
なかでも塗装ができないという点は、大きな特徴の一つです。
ノンアスベスト屋根の問題点
ノンアスベスト屋根材は、アスベストによって起こる健康被害のない屋根材です。
しかし、以下のような問題点があります。
塗装できない
ノンアスベスト屋根材は、表面が緻密で塗料の吸収性が低いため、塗装ができません。
このため、経年劣化により防水性能が低下した場合、塗装で対応することができません。
脆弱性
ノンアスベスト屋根材は、従来のスレート屋根材と比べて強度が低く、衝撃に弱い特徴があります。
そのため、屋根上を歩いた際に破損や飛来物によって起こる損傷のリスクがあります。
劣化の進行
ノンアスベスト屋根材は、紫外線や雨水の影響を受けて、表面が劣化しやすい傾向があります。
劣化が進行すると、防水性能の低下や外観の悪化につながります。
リフォームの選択肢が限られる
屋根の塗装は、屋根から発生するさまざまな問題をカバーできる工事です。
しかしノンアスベスト屋根材は、塗装ができません。
そのため、劣化した場合のリフォーム方法が限定されており、大規模なリフォームが必要な場合があります。
これらの問題点を理解したうえで、適切なメンテナンスとリフォームを行うことが重要です。
定期的な点検によって劣化の兆候を早期に発見し、必要な対策を講じることが、ノンアスベスト屋根材の長寿命化につながります。
ノンアスベスト屋根の特徴を年代別で紹介
ノンアスベスト屋根といっても、長い期間販売されており、その時期によって持っている特徴が異なります。
以下では、2005年までと2006年以降に販売されたノンアスベスト屋根による特徴を解説します。
2005年までに製造されたノンアスベスト屋根
アスベストに対する規制強化を受けて、急遽アスベストを含まない製品が発売されました。
しかし、品質の製品を作る技術が未熟なまま製造されたため、耐久性が低い物が多いです。
なかには、築10年ほどで割れや欠けなどの重大な劣化症状が現れた製品もあります。
現在ではリコールされている商品もありますので、この時期製造された屋根材は、築後15〜20年を目安に屋根の葺き替え工事や屋根カバー工法による本格的な改修工事を行うことが推奨されています。
2006年以降に製造されたノンアスベスト屋根
2006年以前に製造されたノンアスベスト屋根の不調を受け、改良されたものが出回りました。
これまでの製品より耐久性が向上して問題のある製品は減ったものの、以前のようなアスベストを含む屋根に比べると耐久性は劣ります。
そのため築20〜25年を目安に、本格的な改修工事を検討することが推奨されています。
どちらの製品もアスベストによる問題は無くなったものの、2005年前後で品質に大きな差があります。
また、耐用年数は2006年以降の製品が明らかに良いですが、どちらもある程度の年数が経過したら改修工事が推奨されています。
ノンアスベスト屋根のリフォーム方法
ノンアスベスト屋根材は塗装ができないため、劣化した場合のリフォーム方法が限られます。
ここでは、主なリフォーム方法である屋根の葺き替え工事と屋根カバー工法について解説します。
屋根の葺き替え工事
屋根の葺き替え工事は、古い屋根材を撤去し、新しい屋根材に交換する工事です。
ノンアスベスト屋根材の場合、劣化が進行して防水性能が大幅に低下した場合や破損が広範囲に及ぶ場合に選択されます。
葺き替え工事の主な手順は、以下の通りです。
① 古い屋根材の撤去
古いノンアスベスト屋根材を撤去します。
撤去した屋根材は、適切に処分する必要があります。
② 下地の点検と補修
屋根材を撤去した後、下地の状態を点検します。
必要に応じて、下地の補修や防水シートの交換を行います。
③ 新しい屋根材の設置
新しい屋根材を設置します。
ノンアスベスト屋根材からは、他の材料に変更することも可能です。
④ 仕上げ
棟・谷・雨樋などの部分の仕上げを行い、工事を完了します。
屋根の葺き替え工事は、大規模な工事となるため、工期や費用が大きくなる傾向があります。
しかし、屋根の防水性能や外観を大幅に改善することができ、建物の価値向上につながります。
屋根カバー工法
屋根カバー工法は、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる工法です。
ノンアスベスト屋根材の劣化が軽度から中程度であれば、選択できます。
屋根カバー工法の主な手順は、以下の通りです。
① 既存屋根材の点検と補修
既存のノンアスベスト屋根材の状態を点検し、必要に応じて補修を行います。
② 防水シートの設置
既存屋根材の上に防水シートを敷設し、雨水の浸入を防ぎます。
③ 新しい屋根材の設置
防水シートの上に新しい屋根材を設置します。
金属屋根材をはじめ、軽量な材料が選択されることが多いです。
④ 仕上げ
棟・谷・雨樋などの仕上げを行えば、工事は完了です。
屋根カバー工法は、葺き替え工事と比べて工期が短く費用を抑えられ、既存の屋根材を撤去しないことで廃棄物を減らせます。
また屋根の高さが上がるため、外観が変化する場合があり、既存屋根材の状態によってはカバー工法ができない場合があります。
リフォーム方法の選択は、ノンアスベスト屋根材の劣化状態・建物の状況・予算などを総合的に考慮して決定する必要があります。
専門家のアドバイスを参考に、最適な方法を選択することが重要です。
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ノンアスベスト屋根を見分ける方法
ノンアスベスト屋根材は、見た目だけではアスベスト含有の屋根材と区別が難しい場合があります。
ここでは、ノンアスベスト屋根材を見分ける方法について解説します。
図面仕様書を確認
建物の築年数を確認することで、ノンアスベスト屋根材かどうかを推測することができます。
1970年代後半以降に建てられた建物の場合、ノンアスベスト屋根材が使用されている可能性が高いです。
建物の図面仕様書には、どこにどのような材料を使ったのかが書かれています。
屋根材の項目にある材料名を調べ、ノンアスベスト屋根材であるかどうかを確認しましょう。
屋根材の外観
ノンアスベスト屋根材は、従来のスレート屋根材とは異なる外観を持つ場合があります。
表面に模様や凹凸がある場合は、ノンアスベスト屋根材の可能性があります。
屋根材の厚み
ノンアスベスト屋根材は、従来のスレート屋根材よりも薄い傾向にあります。
屋根材の端部の厚みを確認することで、判断の手がかりになります。
磁石の反応
アスベスト含有の屋根材には、磁石が吸い付く場合がありますが、ノンアスベスト屋根材では磁石が付きません。
ただし、この方法は確実ではないため、他の方法と組み合わせて判断することが重要です。
専門家への相談
最も確実な方法は、専門家に相談することです。
屋根材の種類を特定するために、サンプルを採取して分析することができます。
ノンアスベスト屋根材かどうかを判断するのは、リフォームを行ううえで重要です。
適切な判断を行うために、複数の方法を組み合わせて総合的に判断することが大切です。
ノンアスベスト屋根を業者に依頼する際の注意点
ノンアスベスト屋根のリフォームを業者に依頼する際は、以下のような点に注意が必要です。
専門性の確認
ノンアスベスト屋根のリフォームには、専門的な知識と技術が必要です。
業者の実績や専門性を確認し、信頼できる業者を選 びましょう。
適切な工法の提案
ノンアスベスト屋根の状態や建物の特性に応じて、適切な工法を提案できる業者を選ぶことが大切です。
安易な工法の提案や過剰な工事の提案は、注意が必要です。
詳細な見積もりの取得
リフォーム工事の内容・使用する材料・費用などは、詳細なものが必要です。
見積もりの内容を確認し、疑問点があれば確認することが大切です。
工事の工程と期間の確認
工事の工程や期間について、業者から詳しい説明を受けることが重要です。
工事中の生活への影響や天候による工事の遅延の可能性などについて、事前に確認しましょう。
アフターサービスの充実
工事完了後のアフターサービスは、充実している業者を選びましょう。
保証内容・修理対応・定期点検などのサービスについて確認し、長期的なサポート体制が整っている業者を選ぶことが大切です。
複数の業者の比較
複数の業者から見積もりを取得し、提案内容や費用を比較することが重要です。
価格だけではなく、工事内容・材料・品質・アフターサービスなどを総合的に判断して、最適な業者を選ぶことが大切です。
ノンアスベスト屋根のリフォームは、建物の長期的な保護と価値の維持に直結する工事です。
信頼できる業者を選び、建物を長持ちさせましょう。
ノンアスベスト屋根材のまとめ
ノンアスベスト屋根材は、アスベストを含まない安全な屋根材ですが、さまざまな問題があります。
屋根の機能を長期間維持するには、以下の内容を把握しながら管理することが大切です。
- ノンアスベスト屋根材は安全だが、塗装できないため防水性能が経年劣化で低下する
- 従来のスレート屋根材に比べて強度が低く、紫外線や雨水で劣化しやすい
- 2005年以前と2006年以降の製品では、品質に大きな差がある
- 劣化が進行すると葺き替え工事や屋根カバー工法が必要
- 葺き替え工事は大規模で工期・費用が大きいが、防水性能と外観を改善できる
- 屋根カバー工法は既存の屋根材に新しい屋根材を重ねるため、工期が短く費用が抑えられる
- ノンアスベスト屋根材の見分け方は、仕様書の内容・築年数・外観・厚み・磁石の反応などで判断される
- 業者にリフォームを依頼する際は、専門性・工法の提案・詳細な見積もりなどをチェックする
ノンアスベスト屋根材は塗装できませんが、適切なメンテナンスとリフォームによって屋根を長期的に保護できます。
ノンアスベスト屋根材の特徴と問題点を理解し、専門家と協力しながら、最適なリフォームを行うことが大切です。
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