保護モルタルが施工されている屋上における防水工事では、そのモルタルの状態や劣化の進行度合い、選択する防水工法によって費用に大きな差が生じます。
特に、既存のモルタルを撤去してから新たに防水層を施工するか、既存のモルタルを活かして再防水するかによって、工事工程や材料費、廃材処分費などが変わってきます。
また、ウレタン防水、アスファルト防水、シート防水、FRP防水といった防水の種類によっても㎡単価が異なるため、建物の状況に応じた適切な工法選定が費用対効果を大きく左右します。
本記事では、防水工事にかかる代表的な費用相場を工法別に表形式で紹介し、さらに撤去の有無による価格差や、コストを抑えるための実用的なポイントも整理して解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
保護モルタルとは?屋上に使われる理由
保護モルタルは、防水層の上に設けられるモルタル層で、紫外線や物理的な損傷から防水層を守る役割を担います。屋上での歩行や設備設置に耐える必要がある場合に採用されることが多く、特に古い建物では一般的です。
保護モルタルの基本構造と防水層との関係
一般的に、防水層(アスファルトシート・ウレタンなど)の上に設けられ、厚さは30〜50mm程度。防水層の保護材でありながら、逆に劣化が進むと水を溜め込み、防水層を痛めるリスクも。
なぜ屋上に使われる?メリット・デメリットとは
メリット:
- 防水層の長寿命化:紫外線や熱、風雨によるダメージから防水層を守るため、防水層自体の劣化が遅くなり、改修サイクルを延ばすことが可能です。結果として、長期的なメンテナンスコスト削減にもつながります。
- 歩行や荷重に強い:屋上を人が歩く場合や空調機器・太陽光パネルの設置などで荷重がかかるケースでも、保護モルタルが衝撃を吸収・分散し、防水層へのダメージを防ぎます。
デメリット:
- 劣化時に水が滞留しやすい:モルタルのひび割れや浮きが進行すると、隙間から雨水が侵入しやすくなります。水はけが悪くなることで、内部に水が溜まり、知らないうちに防水層の劣化が進行してしまうことがあります。
- 撤去・再施工に費用がかかる:保護モルタルを撤去してからの防水工事は、廃材処理や人件費がかさみ、通常の防水工事よりも高額になる傾向があります。特に広面積の場合、コストインパクトが大きくなります。
保護モルタル上の防水工事の必要性とタイミング
表面の状態が良好に見えても、内部では防水層の劣化が静かに進行していることが多くあります。保護モルタルは見た目で判断しづらく、軽微な劣化サインを見逃すと、雨漏りや構造体へのダメージに発展する恐れがあります。そのため、計画的な点検と改修が不可欠です。
劣化が進むとどうなる?見逃しがちなサイン
保護モルタルの劣化は表面からでは判断しにくく、気づかぬうちに防水層にまで影響を及ぼしていることがあります。ここでは、特に見落としやすい代表的な劣化サインを解説します。
モルタルのひび割れ
表面に細かなひびがある場合でも、内部まで浸水している可能性があります。水分が防水層に達すると、防水機能が著しく低下します。
表面の白華現象(エフロ)
モルタル内部の水分が表面に押し出され、白く固まる現象です。含水率が高くなっている証拠で、防水層の耐久性に影響を与えるサインとなります。
雨後に水たまりが長時間残る
保護モルタルが浮いていたり勾配不良になっていたりする兆候です。滞水により、長時間水分が防水層に接触し、劣化を早めます。
点検と改修の目安年数
保護モルタルや防水層の劣化は、進行してからでは補修範囲が広がり、費用も膨らむ可能性があります。適切なタイミングでの点検と改修が、建物の寿命を守るうえで重要です。
モルタル保護防水は約10〜15年で点検・補修が必要
目視では劣化が見えづらいため、10年を超えたあたりからは定期点検を推奨します。浮きやクラックなどが確認された場合、部分的な補修や防水層の再施工を検討しましょう。
防水層(ウレタン・アスファルト)の寿命は15〜20年が目安
モルタルの下にある防水層も、素材に応じて劣化が進行します。ウレタン防水やアスファルト防水の場合、おおよそ15〜20年で性能が低下するため、寿命を迎える前の再施工が望ましいです。
放置すればするほど施工範囲が広がり、工事期間や費用の負担も増してしまいます。早めの対処が、結果的にコストを抑える近道となります。ど施工範囲が広がり、コストも上昇するため、「早めの診断と判断」が最良の防水対策となります。
保護モルタルがある屋上の防水工事方法を種類・工法ごとに解説
保護モルタルがある屋上では、防水層を直接見ることができないため、劣化状況の診断や工法の選定が非常に重要になります。施工方法を誤ると、防水効果が発揮されず、数年で再施工が必要になることも。
ここでは、保護モルタル付き屋上に対応した防水工事の種類・工法について、代表的な4種類(ウレタン防水、アスファルト防水、シート防水、FRP防水)を中心に解説します。
防水工事の主な種類と特徴
防水の種類 | 特徴 | 耐久年数 | 保護モルタルとの相性 |
---|---|---|---|
ウレタン防水 | 液状で複雑な形状にも対応。密着・絶縁どちらも可能 | 約10〜15年 | ◎ 柔軟性があり再施工にも適応 |
アスファルト防水 | 熱工法が中心。下地との相性を選ぶが高耐久 | 約15〜20年 | ◯ 既存モルタル撤去後に有効 |
シート防水(塩ビ・ゴム) | 工期が短く、広面積に適した軽量工法 | 約10〜15年 | △ 密着には不向き、下地調整が必要 |
FRP防水 | 軽量で強靭。硬質仕上げで歩行用途にも対応 | 約10〜12年 | △ 防水層の動きに追従しづらい場合あり |
工法の選び方:密着工法 vs 絶縁工法
保護モルタルのある屋上では、防水材をどのように施工するかで「密着工法」または「絶縁工法(通気緩衝工法)」の選択が求められます。
- 密着工法:モルタル上に直接ウレタン防水材を塗布。コストを抑えられるが、下地の含水率や状態により施工リスクがある。
- 絶縁工法:モルタルと防水層を通気シートで絶縁。膨れリスクが低く、長寿命だが撤去や工程が増える分、コストは高め。
どの防水材が向いている?
- ウレタン防水:柔軟性と施工自由度の高さから、保護モルタル付き屋上でも広く用いられます。特に密着・絶縁どちらの工法にも適応できる点が大きな強みです。
- アスファルト防水:耐久性に優れ、撤去後の新設に適します。高温作業が必要なため、周辺環境への配慮が必要です。
- シート防水:脱気装置の設置や平滑な下地整備が必要で、既存モルタル上への直接施工には不向きなケースが多いです。
- FRP防水:軽量で耐衝撃性に優れますが、下地の動きに弱く、ひび割れが起きやすいモルタル層との相性には注意が必要です。
最適な工法は「調査結果」で決まる
同じ保護モルタル付き屋上でも、モルタルの浮きやひび割れの程度、含水率、防水層の種類によって選択すべき工法は変わります。そのため、まずは専門業者による調査を行い、適切な工法と防水材の選定を進めることが失敗を防ぐ第一歩です。
予算や用途、耐久性のバランスを取りながら、建物の状態に最も適した防水方法を選びましょう。
保護モルタル付き屋上の防水工事費用相場
保護モルタルがある屋上の防水工事では、選ぶ工法や既存モルタルの状態によって費用が大きく異なります。とくにモルタルを撤去するかどうかで、工事内容や工程が増減し、単価にも差が出ます。
以下では工法ごとの㎡単価や撤去費用の目安、費用を抑えるための工夫について表にまとめました。
工法別・㎡単価の目安
防水工法 | 単価(目安) | 特徴 |
---|---|---|
ウレタン防水(密着工法) | 4,500〜6,500円/㎡ | モルタル上から直接塗布。コスト低め、下地状態が重要 |
ウレタン防水(絶縁工法) | 6,500〜9,500円/㎡ | モルタル撤去後に通気シート設置。安定性・耐久性が高い |
アスファルト防水 | 7,000〜10,000円/㎡ | 熱工法または常温工法。長寿命だが施工コストは高め |
FRP防水 | 6,000〜9,000円/㎡ | 軽量で耐衝撃性に優れるが、下地の動きに弱く施工対象を選ぶ |
撤去あり/なしの価格差
項目 | 内容 |
---|---|
モルタル撤去あり | 工事費が約1.2〜1.5倍に増加。廃材処分費も含む |
モルタル撤去なし | 下地状況が良ければ費用を抑えられるが、施工リスクあり |
費用を抑えるためのポイント
- 火災保険や自治体の補助金を活用できるか確認する
- 劣化が軽微なうちに施工する(下地補修の範囲が少なくて済む)
- 複数業者から相見積もりを取って比較する
工事前に確認しておくべきこと
防水工事は見た目以上に専門的な工程が多く、正しい施工のためには事前の準備と確認が不可欠です。現地調査や見積もりの段階で、どこに注目すべきかを把握しておくことで、工事後のトラブルや追加費用のリスクを抑えることができます。
現地調査でチェックすべき項目
- モルタル表層の状態:ひび割れや浮きがないかを確認し、下地の健全性を判断
- ドレン周りの水はけ:排水不良は雨水滞留や漏水の原因となるため要確認
- 下地の含水率(非破壊検査):内部に水分が多いと防水材の密着不良や膨れを招く
保護モルタルの状態によって変わる施工範囲
劣化状況 | 対応方針 |
---|---|
膨れ・浮きが多い | 下地まで剥がし、全面撤去が必要になるケースが多い |
ひび割れ・中性化進行 | 範囲に応じて部分補修または撤去を検討 |
保証内容・施工実績のある業者の選び方
- 保証期間:防水工事は5〜10年の保証が一般的。工法や業者により異なるため要確認
- 実績:保護モルタル付き屋上の防水実績があるか、具体的な施工例を確認する
- 見積もりの内訳:一式表記ではなく、工程ごとの費用明細が記載されているかをチェック
保護モルタルのある防水工事でよくある質問(FAQ)
保護モルタルが関係する屋上防水工事は、一般的な防水工事よりも検討項目が多く、疑問や不安を抱く方が少なくありません。ここでは、実際の相談現場でよく聞かれる質問とその回答をまとめました。
Q
保護モルタルを撤去しないと防水できませんか?
A
状態が良ければ密着工法で施工可能な場合もあります。ただし専門家の判断が必要です。
Q
モルタルにひび割れがありますが、そのまま施工できますか?
A
表面補修で対応できる場合もありますが、下地まで損傷がある場合は撤去推奨です。
Q
保護モルタルの撤去費用はどのくらいですか?
A
1㎡あたり1,000〜2,000円が相場です。廃材の処分費も別途必要です。
まとめ:保護モルタルのある屋上は、状態を見極めた防水工事を
保護モルタルがある屋上の防水工事は、通常の施工とは異なる注意点や判断基準が求められます。表面のモルタルが健全に見えても、内部の防水層は劣化している可能性があり、見た目だけで判断すると後々のトラブルにつながることもあります。
工法の選定においては、モルタルの状態を正確に診断し、「撤去すべきか」「そのまま活かせるか」といった見極めが極めて重要です。また、工事の内容によっては費用にも大きな差が出るため、複数の業者に現地調査を依頼し、適切な見積もりを比較することが推奨されます。
建物の寿命や快適な住環境を維持するためにも、専門業者による的確な診断と適正な工事計画を立て、無理のないタイミングでの改修を進めていきましょう。早めの対応が、結果的に大きなコスト削減と安心につながります。