木造住宅における防水工事とは、建物を水の侵入から守り、湿気や水分による劣化を防ぐための工事です。
特に、屋根やベランダ、バルコニーなどの防水対策が不十分だと、湿気に弱い木材はカビや腐朽の原因となり、結果的に大きな修繕費用がかかることもあります。
屋上や陸屋根においては、FRP防水、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水など、さまざまな方法が選択可能です。
本記事では、木造住宅の防水工事の基本や方法、使用する材料について詳しく解説し、特に木造陸屋根や屋上防水、ベランダ防水のポイントを紹介します。
この記事を読んで、大切な住まいを守るための知識を深めましょう。
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目次
木造住宅に防水工事は必要?
木造住宅では、防水工事は必須です。
これには、以下のような理由があります。
建物の寿命を延ばせる
木造住宅で防水工事を行うと、建物の寿命を延ばせます。
雨漏りにより腐食した建物は、地震・台風による倒壊のリスクもあるため、注意が必要です。
木造住宅では、具体的にはベランダ・バルコニー・屋上に防水工事を施します。
建物において風雨にさらされる箇所には、必ず防水工事を行いましょう。
屋上を有効活用できる
屋上のある家の場合、屋上防水が必要です。
しっかりと防水できていれば、屋上でバーベキューを楽しんだり子ども用プールで遊んだりできます。
見晴らしの良い屋上を有効活用できるでしょう。
平らな陸屋根は、三角屋根よりも雨漏りのリスクが高いので、防水工事が欠かせません。
屋上の防水層が劣化していると、水たまりや雑草などが発生しやすくなり、防水層にダメージを与えてしまいます。
健康被害を防げる
室内で雨漏りが起こると、湿気によりカビが発生しやすくなります。
見た目は問題がなさそうな室内の壁でも、壁紙を剥がすとカビだらけだったというケースも少なくありません。
カビは空気中に胞子を飛ばし、気管支喘息・アレルギー性鼻炎などにつながる原因のひとつです。
また、カビを栄養とするダニも発生しやすくなります。
ダニは室温20~30℃、湿度60~80%の環境だと増殖しやすくなると言われています。
雨漏りにより湿度が上がってしまうと、カビやダニが発生しやすい環境が揃ってしまい危険です。
そのため、子どもや年配の方がいらっしゃる家では、特に注意が必要と言えるでしょう。
防水工事を行って雨漏りを防ぐことにより、カビ・ダニによるアレルギーを避けられます。
シロアリの発生を防げる
雨漏りにより、シロアリも発生しやすくなります。
シロアリは、湿気を含んだ木材が大好物です。
また、断熱材や電線をかじることもあるので、劣化の進行が早まりかねません。
家の資産価値も下がるだけでなく、台風や地震にも弱い家になるので、しっかりと防水工事を行う必要があります。
すでに雨漏りが発生している場合は、劣化が広がる前に早急に対応しなければなりません。
木造住宅で起こる雨漏りの原因
木造住宅では、さまざまな原因で雨漏りが起こります。
屋根からの雨漏りだけでなく、サッシ回りやベランダなどのさまざまな箇所で雨漏りが起こる可能性があるでしょう。
以下では、木造住宅で起こる雨漏りの原因を挙げていきます。
屋根の仕上げ材の不具合
屋根表面にある仕上げ材の劣化・破損などが原因で、雨漏りが発生するケースがあります。
木造住宅でよく使われるスレート屋根は、経年によりひび割れを起こしやすいのが特徴です。
このひび割れから雨水が入り込み、雨漏りを引き起こします。
また瓦屋根でも、経年によりひび割れが発生するので注意しましょう。
仕上げ材の下に敷かれている防水シートも、雨水が入り込むと劣化していくため、防水工事が欠かせません。
板金の劣化
屋根の接合部分を覆っている板金が劣化することによっても、雨漏りが発生します。
板金が錆びたり変形したりすると、その部分から雨水が入り込みます。
釘穴から雨水が浸入したり、板金が強風によりめくれたりするケースもあるでしょう。
このように、板金が劣化してきた場合も、防水工事による補修が必要です。
サッシの不具合
窓のサッシ部分から雨漏りが発生することもあります。
これはサッシと外壁の間に施工されている、シーリングの劣化による場合が多いでしょう。
シーリングは紫外線や風雨の影響で徐々に劣化し、痩せたり剥げたりしてしまいます。
5~10年に1度はシーリングの再施工を行わないと、雨漏りが発生しやすくなるため注意が必要です。
外壁の劣化
外壁の劣化によっても雨漏りは発生します。
さまざまな原因により外壁に発生したひび割れ部分や、外壁材同士の間のシーリングの劣化部分から雨水が入り込みます。
外壁塗装の剥がれがある箇所からも、雨水が浸入するケースもあり、わずかな隙間からも雨水は入り込むので注意が必要です。
また外壁にタイルが使われている場合は、下地の劣化によりタイルの浮き・剥がれが発生する場合があります。
この場合もタイルの隙間から雨水が浸入するため、雨漏りを引き起こしかねません。
ベランダの排水口の詰まり
ベランダの排水口が詰まることでも、雨漏りが発生します。
排水口の詰まりによりベランダに雨水が溜まると、外壁の隙間に浸入しやすくなります。
雨水が溜まると、ベランダの床の劣化も進行しがちです。
排水口は落ち葉・土・虫の死骸などで詰まるので、定期的に掃除が欠かせません。
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木造住宅に適した防水槽
防水工事にはさまざまな種類がありますが、木造住宅に施工する際にはどのような工法があるのでしょうか。
ここからは、木造住宅に適した防水工事について詳しく見ていきましょう。
ウレタン防水
ウレタン樹脂を塗り重ねて、防水層を形成する工法です。
液体状のウレタン樹脂を塗っていくので、複雑な形状の場所でも施工できます。
継ぎ目のない、綺麗な仕上がりになることもメリットです。
またウレタン素材は柔軟性があるので、木造住宅が多少揺れても追従できます。
ウレタン防水は既存の防水層の撤去が必要なく、その上から施工できるのも良い点です。
ただし、施工する職人の技術力が反映されるので、施工業者は慎重に選ぶ必要があるでしょう。
FRP防水
繊維強化プラスチックの防水層を形成する防水工事です。
ベランダに採用されるケースが多く、軽量で複雑な形状の箇所にも施工できるメリットがあります。
また、施工も1~2日で完了するのでスピーディです。
ただしFRP防水は紫外線の影響を受けやすいため、硬化後はトップコートを塗る必要があります。
5年に1回ほど、トップコートの塗り替えを行うと良いでしょう。
また、木造住宅のなかでもFRP防水が不向きの場合もあるので、注意が必要です。
FRP防水の防水層は柔軟性がないため、柔軟に動く木造住宅ではひび割れが発生しやすいためです。
FRP防水を行いたい場合は、まずは専門業者に相談してみると良いでしょう。
シート防水
塩化ビニールシート、またはゴムシートを使って防水する方法です。
シート防水は耐久性が高く、紫外線や熱にも強いのが特徴で、リーズナブルに施工できる点もメリットでしょう。
また、シート防水は広い範囲を一気に施工できるので、工期も短くなります。
ただし防水層がダメージを受けた際、部分的な補修はできないため、シート全体を交換する必要があるでしょう。
シート防水は既製品の幅の広いシートを敷いていくので、ある程度面積がある屋上防水で多く採用されています。
専用の接着剤でシートを直接下地に貼り付ける密着工法と、シートを固定する器具を用いた機械固定工法の2種類があります。
密着工法は施工時に機械が必要ないので、比較的狭い箇所にも施工できるでしょう。
また機械固定工法はシートと下地が密着していないので、下地の状態が悪くても施工できます。
シートの下に水蒸気が溜まりにくい点も、機械固定工法のメリットといえるでしょう。
雨漏りが起きた際の応急処置
雨漏りが発生した場合は、すぐに専門業者に連絡しましょう。
しかし、業者はすぐに駆けつけてくれるとは限りません。
業者が駆けつけるまで、依頼主側で何らかの応急処置を行っておく必要があります。
具体的には、以下のような応急処置を行いましょう。
防水テープを貼る
防水テープを雨漏りがある箇所に貼ると、雨水が浸入しているひび割れ・穴などを塞げます。
粘着性のあるものであれば、アルミテープでも代用可能です。
まずは目視で雨漏りがある場所を特定し、その部分に防水テープを貼って雨漏りが止まるかどうかをチェックしてみましょう。
防水テープを貼る場所が濡れたり汚れたりしている場合は、防水テープが密着しにくくなるため、水分や汚れを拭き取ってから使いましょう。
ブルーシートを被せる
屋根やベランダなど雨水が浸入している場所にブルーシートを被せると、雨漏りをストップできます。
雨水の浸入経路が分からない場合は、広範囲にブルーシートを被せてカバーすると良いでしょう。
この時、ブルーシートが風で飛ばされないようにすることも大切です。
土のうや重りを使い、しっかりとブルーシートを押さえましょう。
バケツを置く
天井から水滴が落ちてきている場合は、バケツを置いて水を受け止める必要があります。
バケツを置かないと床が水浸しになり、建物の劣化を進めてしまいます。
バケツの中に落ちた水滴が周囲に跳ねることもあるので、雑巾やブルーシートなども活用して建物を守りましょう。
まとめ
今回の記事では、木造住宅の屋根から雨漏りを防ぐための防水工事について紹介してきました。
記事の大まかな内容をまとめると、以下の通りです。
- 木造住宅に防水工事を施すと建物の寿命を延ばすことができる
- 防水工事でカビやダニ・シロアリの発生も防げる
- 木造住宅では屋根の仕上げ材の不具合・板金の劣化・ベランダの排水口の詰まりなど、さまざまな原因で雨漏りが発生する
- 木造住宅ではウレタン防水・シート防水が行われる
- 柔軟性がないFRP防水は木造住宅には不向き
- シート防水には密着工法と機械固定工法の2種類がある
- 雨漏りが起きた際は防水テープを貼る・ブルーシートを被せる・バケツを置くという方法で応急処置をする
木造住宅では、防水工事が欠かせません。
適切に防水工事を行うと、長く快適に暮らせる家にできるでしょう。
建物の資産価値を高めたい場合も、防水工事を行うことが必要といえるでしょう。
この記事を参考に、ぜひ木造住宅の防水工事を検討してみてください。
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