人生最大の買い物であるマイホーム。
しかし、念願のマイホームが「欠陥住宅」だったとしたら、安全な暮らしはもちろん、経済面や精神面にも深刻な影響を与えてしまいます。
欠陥住宅は新築・中古を問わず発生する可能性があり、購入後に発覚するケースも多いため、事前の知識と対策が重要です。
本記事では、欠陥住宅の定義から具体的な見分け方、また万が一発見した場合の対処法まで、住宅購入を検討している方が知っておくべき情報について詳しく解説します。
適切な知識を身につけることで、安心して暮らせるマイホームを手に入れましょう。
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目次
欠陥住宅とは?基本的な定義と特徴
欠陥住宅とは、建物として本来備えているべき安全性や性能が欠けた住宅のことです。
具体的には、居住者の生命・身体・健康に対する安全性に問題がある住宅を指します。
この安全性には、構造上の安全性、耐火・防火上の安全性、健康に対する安全性などが含まれます。
欠陥住宅とはどのような状態を指すのか
欠陥住宅とは、以下のような状態にある住宅を指します。
- 法令等の基準を満たしていない住宅:建築基準法や関連法規に違反している状態
- 設計図通りに施工されていない住宅:意匠図・構造図・設備図などの設計図面と異なる施工がされている状態
- 安全性・快適性・使用性に支障がある住宅:居住に必要な基本的機能が損なわれている状態
重要なのは、建具の建付けが悪い、壁紙がはがれているといった軽微な不具合は欠陥住宅には該当しないということです。
欠陥住宅とは、主に基礎や土台・柱や梁・壁・床といった、住宅の骨組みに関わる重大な問題がある場合を指します。
欠陥住宅とは既存不適格や経年劣化とは異なる概念
欠陥住宅とは、建築時点で問題があった住宅のことであり、以下のようなケースとは区別されます。
既存不適格建築物との違い
建築した当時は法令を満たしていたが、法改正により現在は基準を満たさなくなった建物は「既存不適格」と呼ばれ、欠陥住宅には含まれません。
経年変化による劣化との違い
木材の乾燥収縮による狂いやひび割れ、コンクリートの乾燥収縮による軽微なひび割れ、塗料の色褪せなど、自然な経年劣化も欠陥住宅には含まれません。
欠陥住宅とは、設計ミスや施工不良など、建築時点での人為的な問題が原因となっている住宅のことを指します。
欠陥住宅とは具体的にどのようなもの?実際の事例で解説
欠陥住宅とは、さまざまな形で現れる建物の不具合です。
ここでは、欠陥住宅の相談先へ寄せられた、実際によく見られる代表的な事例について詳しく解説します。
欠陥住宅の具体例:構造上の欠陥
欠陥住宅とは、構造的な安全性に問題がある住宅が最も深刻なケースです。
構造上の欠陥事例:基礎の欠陥
- 根入れ深さが不足している布基礎(本来24cm以上必要だが浅い)
- 配筋が適切でない(鉄筋の太さや間隔が不適切)
- コンクリートの品質不良(シャブコンの使用など)
布基礎は、住宅の重さを地盤にしっかり伝えるための重要な構造です。
しかし、根入れ深さが建築基準法で定められた24cmに満たない場合、建物の安定性が損なわれ、不同沈下やひび割れが起きやすくなります。
また、基礎内部に使用される鉄筋も重要な要素であり、太さや配置の基準を守らないと、耐震性や耐久性が大きく低下します。
細い鉄筋の使用や間隔が広すぎる配筋は、コンクリートとの結合を弱め、地震時などに被害が拡大するリスクがあります。
さらに、基礎に使われるコンクリートの品質にも注意が必要です。
特に「シャブコン」と呼ばれる水の多い不良コンクリートは施工性は良くても強度が劣り、ひび割れや早期劣化の原因になります。
構造上の欠陥事例:構造金物の不備
構造金物の不備は、地震や強風に対する住宅の耐久性を著しく損なう欠陥の一つです。
中でもホールダウン金物の不足や取り付け不良は深刻な問題で、本来柱が土台から引き抜かれるのを防ぐ重要な役割を担っています。
これが設計通りに取り付けられていない場合、地震時に柱が浮き上がり、建物が倒壊するリスクが高まります。
また、ホールダウン金物が建物の四隅にしか設置されていない例も見受けられますが、実際には揺れの影響を受ける全体のバランスを考慮し、必要な箇所すべてに配置する必要があります。
さらに、通し柱のみに金物を取り付け、管柱には設置されていないケースも問題です。
構造全体としての強度を保つためには、柱の種類にかかわらず適切に設置されていることが重要です。
構造上の欠陥事例:釘・ビスの不適切な使用
住宅の構造部分における釘やビスの不適切な使用は、重大な欠陥住宅の原因となります。
特に構造用合板に使用する釘には、強度や耐震性を確保するための厳格な基準が設けられていますが、これを守らない施工例も少なくありません。
釘やビスの施工不良は完成後に見えなくなるため、建築中の写真記録や第三者の検査によってチェックすることが欠陥住宅を防ぐ鍵となります。
欠陥住宅の具体例:防水・雨漏り関連の欠陥
欠陥住宅とは、雨水の侵入を防げない住宅も含まれます。
雨漏りはカビの発生や室内設備への影響だけでなく、駆体部分の劣化や腐朽にも関係するため、見逃せない欠陥です。
防水・雨漏り関連の欠陥事例:外壁からの雨漏り
- 防水シートの施工不良
- サイディングのシーリング不良
- 窓周辺の防水処理不備
外壁からの雨漏りは、住宅の寿命を縮める深刻な欠陥の一つです。
防水シートは外壁の内側に張り巡らされ、雨水の侵入を防ぐ重要な役割を果たしますが、重ねしろの不足や破れ・たるみがあると、雨水が内部へ浸入する恐れがあります。
また、外壁材として使われるサイディングの継ぎ目や開口部に施されるシーリングが劣化していたり、施工不良で隙間が生じていたりすると、そこからも雨水が浸入します。
特に紫外線や風雨の影響を受けやすい場所では、シーリングの劣化が早く、定期的な点検と補修が欠かせません。
さらに、窓周辺の防水処理が不十分な場合、開口部の隙間から雨水が入り込み、壁内部や室内への雨漏りにつながることもあります。
防水・雨漏り関連の欠陥事例:屋根からの雨漏り
- 屋根勾配の不足
- 防水材の施工不良
- 複雑な屋根形状による雨仕舞いの問題
屋根からの雨漏りは、住宅の耐久性や快適性を損なう重大な欠陥です。
適切な傾斜があることで雨水をスムーズに排水できますが、勾配が緩すぎると水が滞留しやすく、雨漏りのリスクが高まります。
特に屋根材の継ぎ目や接合部から水が浸入しやすくなるため、設計段階での勾配設定が重要です。
また、ルーフィングシートやアスファルトルーフィングなどの防水層が正しく施工されていない場合、屋根材の下に水が入り込み、野地板や構造材の腐食を招く恐れがあります。
さらに、屋根の形状が複雑な場合、谷部や取り合い部分などの「雨仕舞い」が難しくなり、そこから水が浸入するケースも多く見られます。
防水・雨漏り関連の欠陥事例:ベランダ・バルコニーからの雨漏り
- 防水工事の立ち上がり部分の不良
- ドレン周りの処理不良
- 端部の納まり不良
ベランダやバルコニーは雨風に直接さらされるため、防水対策が不十分だと雨漏りのリスクが非常に高くなります。
特に多い欠陥の一つが、防水工事における立ち上がり部分の施工不良です。
立ち上がりとは、床面から壁にかけて防水層を巻き上げる部分で、この高さや接着が不十分だと、雨水が壁の隙間から浸入してしまいます。
また、排水口であるドレン周辺の処理が甘いと、水がスムーズに排水されずに溜まり、防水層の劣化や雨漏りを引き起こします。
特にゴミ詰まりや勾配不足などがあると、慢性的に水がたまり漏水の原因となります。
さらに、シートや塗膜防水の端がしっかりと固定・処理されていないと、そこから水が侵入し、下階の天井や壁にまで被害が及ぶこともあります。
ベランダやバルコニーの防水施工は見た目では判断が難しいため、信頼できる業者による施工と、定期的な点検・メンテナンスが欠かせません。
欠陥住宅の具体例:設備関連の欠陥
欠陥住宅とは、生活に必要な設備に問題がある住宅も含まれます。
設備関連の欠陥事例:給排水設備の不良
- 配管の接続不良による水漏れ
- 勾配不良による排水不良
- 配管材質の不適切な選択
欠陥住宅とは、目に見えない設備部分にも重大な問題を抱えることがあり、特に給排水設備の不良は日常生活に直結する深刻な欠陥です。
たとえば、配管の接続が不十分だと水漏れが発生し、床下の腐食やカビの原因になります。
また排水管の勾配が適切でない場合、水が逆流したり流れにくくなったりする排水不良が起こります。
さらに、配管に不適切な材質を使うと破損や劣化が早まり、再施工が必要になるケースも少なくありません。
設備関連の欠陥事例:電気設備の不良
- 配線の不適切な施工
- 分電盤の容量不足
- アース工事の不備
配線の施工が不適切だと、コンセントの位置や数に問題が出たり、漏電や火災のリスクが高まったりします。
また分電盤の容量が不足していると、ブレーカーが頻繁に落ち、生活に支障をきたします。
さらにアース工事が不十分だと、感電や機器の故障といった危険も生じます。
こうした電気設備の不備は見えにくいぶん、特に注意が必要です。
欠陥住宅の具体例:断熱・気密性の欠陥
欠陥住宅とは、快適性や省エネ性能に問題がある住宅も含まれます。
以下のような不備がある住宅は、欠陥住宅であると言えるでしょう。
断熱材の不備
- 断熱材の厚さ不足
- 隙間だらけの施工
- 床下や天井部分の省略
- 袋入りグラスウールの不適切な取り付け
断熱・気密性の欠陥は、欠陥住宅の代表的な問題のひとつです。
中でも断熱材の不備は、住環境の快適性やエネルギー効率に大きく影響します。
断熱材の厚さが不足していたり、施工時に隙間が多く生じていたりすると、外気が室内に伝わりやすくなり、冷暖房効率が低下します。
また、床下や天井といった見えにくい部分で断熱材の施工が省略されているケースも見受けられます。
とくに袋入りグラスウールを使用した際、正しい方向での取り付けがされていない、もしくは隙間が空いているなどの不適切な施工があると、断熱効果が大きく損なわれます。
これらの欠陥は、完成後すぐに気づきにくい点も多いため、注意が必要です。
気密性の不良
- 防湿層の施工不良
- 隙間風の発生
- 結露の多発
気密性の不良は、欠陥住宅の中でも住み心地や建物の耐久性に大きな影響を与える問題です。
特に防湿層の施工不良があると、室内外の空気の出入りを十分に遮断できず、冷暖房効率が低下し、光熱費がかさむ原因となります。
また、壁や窓まわりに隙間があることで隙間風が発生し、室温が安定しない不快な住環境になります。
さらに、気密性が低いと内部に湿気が入り込みやすくなり、結露が多発するリスクも高まります。
これにより、カビの発生や構造材の劣化など、建物全体の寿命を縮める結果にもつながります。
気密性の確保は、見た目では分かりにくいぶん、施工段階での丁寧な作業と検査が重要です。
欠陥住宅とはなぜ生まれるのか?原因と背景
欠陥住宅とは、さまざまな要因が複合的に作用して生まれる問題です。
その根本的な原因を理解することで、適した予防策を講じることができます。
施工業者の技術力や知識の不足
欠陥住宅が発生する大きな要因のひとつが、施工業者の技術力や知識不足です。
住宅建築には多くの専門的な知識と技術が求められますが、職人の高齢化や人手不足の影響で、経験の浅い作業員が現場に配置されるケースも増えています。
基礎工事や配管・配線といった重要な工程でミスが起きやすく、完成後に不具合が発覚することも珍しくありません。
例えば、コンクリートの打設が不適切だった場合、見えない部分で劣化が進行し、数年後に重大なトラブルとなることがあります。
過度なコスト削減による品質低下
過剰なコストダウンを追求することも、欠陥住宅を生む原因です。
工期短縮や材料費の削減を優先するあまり、必要な工程を省略したり、安価で品質の劣る資材を使用したりする施工が行われる場合があります。
例えば、鉄筋の本数を減らす、断熱材の厚みを減らす、設備配管を最低限の仕様で済ませるといった行為は、表面的には問題が見えにくくても、長期的には住宅性能の低下を招きます。
また適切な職人を確保できず、経験の浅い外注業者に任せることで施工精度が落ちることもあります。
住宅は見た目の美しさだけでなく、構造や機能の安全性が第一なため、適切なコスト管理と品質確保のバランスを見極める業者選びが重要です。
現場監理体制の不備
住宅建築において、現場監理は欠陥を未然に防ぐ最前線の役割を担います。
しかし、現場監督が常駐していなかったり、監理業務が形式的だったりすると、施工中のミスや手抜きが見逃されやすくなります。
たとえば、鉄筋の配筋状態や防水シートの施工状況などは、工程中にしか確認できないため、現場での細かなチェックが欠かせません。
ところが、同時に複数の現場を担当する監督が一日に一度しか立ち寄らないようなケースもあり、その間に起こった施工不良が放置されてしまうことがあります。
また、現場と施主の連絡体制が不十分だと、進捗や仕様変更についての認識ズレが生じ、後のトラブルに発展しかねません。
設計段階での不備や配慮不足
欠陥住宅は施工だけでなく、設計段階の不備によっても生まれます。
たとえば、土地の地盤や周辺環境を考慮せずに設計された建物は、不同沈下や雨漏りなどの原因となります。
また、構造的に無理な間取りや過度な開口部の設計は、耐震性の低下や断熱性能の不足を招きます。
設計士の経験や判断力によって、同じ建物でも大きく性能が異なることがあります。
特に注文住宅では、施主の希望を重視するあまり、構造的なバランスが崩れる場合もあるため、プロとしての適切な助言と調整が求められます。
図面だけでは判断しづらい細かな納まりや施工性にも配慮できる設計者であるかが重要です。
検査・確認体制の甘さ
住宅建築には、設計図通りに施工されているかを確認するための検査体制が不可欠です。
しかし、検査が形式的であったり、チェック項目が不十分だったりすると、施工ミスがそのまま見過ごされてしまいます。
行政の中間検査や完了検査もありますが、短時間での目視確認が中心のため、すべての欠陥を把握することは困難です。
そのため、第三者機関による詳細な検査を導入することで、基礎や構造、設備などの品質をより確実に確認することができます。
また写真による工程記録や、各段階での社内チェック体制が整っている業者は、信頼性が高いと言えます。
検査体制が甘い現場では、将来的な不具合のリスクが高まるため、検査の質と体制を事前に確認することが大切です。
欠陥住宅とはどうやって見分けるのか?チェックポイント
欠陥住宅は、専門知識がなくても基本的なチェックポイントを知ることで、ある程度見分けることができます。
欠陥住宅の見分け方:外観チェックのポイント
建物の外観は、ご自身でもチェックしやすい部分です。
以下のようなポイントを中心に、気になる部分がないかチェックしてみましょう。
チェック箇所 | 確認ポイント |
---|---|
基礎部分 | ・ひび割れの有無と大きさ ・不同沈下による傾き ・鉄筋の露出 ・基礎と土台の接合部の状態 |
外壁の状態 | ・大きなひび割れやクラック ・シーリングの劣化や剥離 ・外壁材の浮きや剥がれ ・雨だれや水染みの跡 |
屋根の状態 | ・屋根材のずれや破損 ・雨樋の変形や破損 ・棟部分の不具合 ・屋根の著しい変形 |
欠陥住宅の見分け方:室内チェックのポイント
欠陥住宅では、室内でもさまざまな症状が現れます。
購入前・入居前に、以下のような部分をチェックしておきましょう。
チェック箇所 | 確認ポイント |
---|---|
床の状態確認 | ・ビー玉転がしテストでの傾き確認 ・歩行時のきしみや沈み ・フローリングの隙間や反り ・床鳴りの有無 |
壁・天井の状態 | ・ひび割れの有無と方向 ・雨漏りによる水染み ・壁紙の剥がれや浮き ・カビや結露の発生 |
建具の動作確認 | ・ドアや窓の開閉の滑らかさ ・鍵の開閉確認 ・建具と枠の隙間 ・閉まり具合の確認 |
欠陥住宅の見分け方:設備関連のチェック
欠陥住宅とは、設備面でも問題が現れることがあります。
まず水回りでは、以下の部分をチェックしましょう。
チェック項目 | 確認内容の詳細 |
---|---|
水圧と水の出具合 | 蛇口からの水の勢いが適切か、異常がないかを確認 |
排水の流れ具合 | シンクや排水口からスムーズに水が流れるか確認 |
配管からの水漏れ | 配管の継ぎ目や床下などから水漏れがないか確認 |
給湯器の動作確認 | スイッチ操作でお湯が出るか、温度調整ができるか確認 |
また電気設備では、安全に使用するためにも以下の部分をチェックしておくことが大切です。
チェック項目 | 確認内容の詳細 |
---|---|
全てのコンセントの動作 | 各部屋のコンセントに電気が通っているかを確認 |
照明器具の動作 | スイッチ操作で照明が正常に点灯・消灯するか確認 |
ブレーカーの容量確認 | 家電使用時にブレーカーが落ちないか、容量に余裕があるか |
アース線の接続確認 | 感電防止のためにアース線が正しく接続されているか確認 |
欠陥住宅の見分け方:床下・天井裏のチェック
欠陥住宅では、見えない部分にも重大な問題が隠れていることが少なくありません。
床下は、以下の項目についてチェックしておきましょう。
チェック項目 | 確認内容の詳細 |
---|---|
基礎のひび割れや欠損 | 構造的な問題がないか、基礎部分に破損がないか確認 |
木材の腐食やカビ | 湿気による木材の劣化やカビの発生を確認 |
断熱材の状態 | 断熱材がずれていないか、劣化や損傷がないか確認 |
配管の状態 | 水漏れや結露、破損がないか、保温状態も含めて確認 |
さらに、屋根裏では以下の表に沿ってチェックしておくと安心です。
特に雨漏りや害虫・害獣に関するものは、建物の安全性や住む人の健康に影響を及ぼすため、十分に点検しておくことをおすすめします。
チェック項目 | 確認内容の詳細 |
---|---|
構造材の接合状態 | 梁や柱の接合部に緩みやズレがないか確認 |
金物の取り付け状態 | 耐震金物などが正しく取り付けられているか確認 |
断熱材の施工状態 | 断熱材が適切に敷設され、隙間がないか確認 |
雨漏りの跡 | 水染みや腐食の跡など、過去の雨漏りの有無を確認 |
配線の状態 | 電気配線が安全に施工されているか、損傷がないか確認 |
シロアリの被害跡 | 木材に食害の跡がないか、蟻道などの痕跡を確認 |
水溜まりや湿気 | 湿気がこもっていないか、水が溜まっていないか確認 |
セルフチェックの限界と専門家の必要性
欠陥住宅かどうかを見極めるにはセルフチェックも有効ですが、なかには専門知識や機材がなければ判断が難しい項目もあります。
たとえば、基礎内部のひび割れや配筋の不備、床下・天井裏の構造材の状態、屋根の防水処理などは、一般の人が目視で確認することが困難です。
また、給排水設備の漏れや電気配線の施工不良、断熱材の施工状態なども、見た目では異常が分かりづらく、専用の機器や経験がなければ正確な診断ができません。
これらは住宅の安全性や快適性に大きく関わる部分であるため、住宅診断(ホームインスペクション)を行う専門業者へ依頼することが重要です。
特に中古住宅の購入時や新築の引き渡し前には、第三者による客観的なチェックを受けることで、欠陥の早期発見とトラブル回避につながります。
欠陥住宅とはどのような業者選びで防げるのか
欠陥住宅とは、信頼できる業者を選ぶことで大幅にリスクを軽減できます。
業者選びのポイントについて、以下に詳しく解説します。
施工実績と評判の確認
欠陥住宅を防ぐためには、信頼できる施工業者を選ぶことが何より重要です。
そのためには、まず施工実績をしっかり確認することが求められます。
過去5年間の施工棟数や、依頼予定の建物と同じ規模・構造の施工経験があるかを確認しましょう。
次に、評判や口コミも重要な判断材料になります。
インターネット上のレビューだけでなく、地元での評判や過去の顧客からの紹介、業界内での評価も参考にしましょう。
さらに、建設業許可の種類や等級、建築士事務所としての登録、技能士の在籍状況、さらに業界団体への加盟なども信頼性を測るポイントです。
見積もりと契約内容の精査
欠陥住宅を防ぐためには、業者選びの際に見積もりと契約内容をしっかり精査することが不可欠です。
まず、見積書の内容を丁寧に確認し、材料や工法が具体的に明記されているか、単価や数量が詳細に記載されているかをチェックすることが重要です。
「一式」といった曖昧な表記が多い見積もりは、後から追加費用が発生するリスクが高まるため注意が必要です。
また、諸経費の内訳も明確に示されているか確認しましょう。
次に契約書の重要事項を把握することが大切です。
工事内容が細かく記載されていること、完成時期や工程表が明示されていることは、トラブルを防ぐポイントです。
保証内容や期間、さらに瑕疵担保責任についての明記も契約書で必ず確認しましょう。
現場管理体制の確認
欠陥住宅を防ぐためには、現場での管理体制がしっかりしている業者を選ぶことが非常に重要です。
まず確認すべきは、専任の現場監督が配置されているかどうかです。
監督には一定の資格や現場経験が求められ、さらに現場に常駐していることで、職人への指示や工程の管理が適切に行われます。
また各工程ごとに検査を行っているか、作業内容を写真で記録しているか、第三者検査を取り入れているかなども確認しましょう。
さらに、マニュアルに基づいた品質管理が行われていれば、工事のばらつきも防げます。
加えて、実際に作業する職人の管理も欠かせません。
自社職人と外注の比率、職人の技能レベル、安全管理の徹底状況、さらには技術研修を継続的に行っているかも判断材料になります。
アフターサービス体制
欠陥住宅を防ぐためには、施工時の品質だけでなく、完成後のアフターサービス体制が整っているかを確認することも非常に重要です。
住宅の構造躯体に対する保証期間がどのくらいか、給排水や電気など設備に関する保証内容が明記されているかを確認しましょう。
定期点検の実施有無や緊急時の対応体制も、入居後の安心感に大きく影響します。
加えて、メンテナンス体制がしっかりしているかも見逃せません。
定期点検がどの程度の頻度で、どのような内容で行われるか、また専任のメンテナンス部門が存在するかどうかを確認すると安心です。
これらのアフターサービスが充実している業者は、顧客との長期的な関係を大切にしている証でもあり、欠陥住宅のリスクを大きく減らすことができます。
欠陥住宅のサインを発見した場合の適切な対処法
欠陥住宅では、発見後の対応が重要です。
適切な対処により、被害を最小限に抑えることができます。
欠陥住宅が疑われるサインを発見した場合は、以下のような流れで対応を進めましょう。
- STEP
欠陥によるものと思われるサインを記録・整理する
発見したひび割れや雨漏りなどの症状を写真や動画・メモなどで記録し、発見日時や状況を明確にしておく。
また施工時や契約時の書類についても、あわせて準備しておく。 - STEP
施工会社や販売業者に連絡する
危険が伴う部分については使用を中止し、住宅の施工会社や販売元に状況を報告し、対応を依頼する。
また応急処置が必要なものについては対応を進め、さらなる被害の拡大がないようにしておく。 - STEP
保証内容を確認する
発生したものが住宅瑕疵担保責任保険やメーカー保証の対象となるかを確認し、補修の範囲や条件を把握しておく。
また補修に必要な費用について明確な見積もりを提出してもらい、責任の範囲や施工にかかる期間についても把握しておくと安心。 - STEP
専門業者や第三者機関に相談する
施工会社が対応しない場合や原因が不明な場合は、ホームインスペクターや建築士など、第三者の専門家に調査を依頼する。
- STEP
必要に応じて法的措置を検討する
深刻な欠陥や満足できる対応が得られない場合は、消費生活センターや弁護士に相談し、法的手段を検討する。
住宅の種類別対処法
欠陥住宅への対応は、住宅の購入・建築形態によって異なります。
新築注文住宅の場合
- 施工会社への連絡
- 工事監理者への報告
- 品確法に基づく修補請求
- 必要に応じて専門家への相談
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)では、新たに建設され工事完了から1年以内かつ、人が住んだことがない建物を「新築住宅」と定義しています。
施工会社には新築住宅に対する10年間の瑕疵担保責任を履行を確保できるよう、資力確保措置が義務付けられています。
参考:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」PDF
新築建売住宅の場合
- 販売会社への連絡
- 宅建業法に基づく責任追及
- 品確法に基づく修補請求
- 住宅瑕疵担保保険の確認
不動産取引において、業者や関係者が契約不適合や仲介義務違反などを行った際は、責任を負う必要があります。
買主がこの事実を知ったから1年以内に売り主に通知することで、追完請求・代金の減額請求・解約解除・損害賠償請求を行うことができます。
参考:国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」
中古住宅の場合
- 売主または仲介業者への連絡
- 売買契約書の確認
- 契約不適合責任の追及
- 既存住宅売買瑕疵保険の確認
既存住宅売買瑕疵保険は住宅専門の保険会社が提供する保険で、中古住宅の検査と保証が受けられるものです。
万が一売買後に欠陥が見つかった場合でも、加入しておくことで保険金を受け取ることができます。
参考:国土交通省「既存住宅売買瑕疵保険について」
欠陥住宅に関するよくある質問
Q
欠陥住宅とは具体的にどの程度の不具合を指すのですか?
A
欠陥住宅とは、居住者の安全性に関わる重大な不具合がある住宅を指します。
主に以下のようなものが欠陥住宅にあたります。
- 床の傾きが1000分の6以上
- 構造部材のひび割れや破損
- 雨漏りによる構造材の腐食
- 基礎の重大なひび割れ
Q
中古住宅でも欠陥住宅の保証対象になりますか?
A
中古住宅の場合、売買契約の内容によって保証期間が異なります。
個人や一般的な不動産業者であれば1〜2年程度ですが、既存住宅売買瑕疵保険の対象となる物件であれば、より長い期間保証される場合もあります。
Q
欠陥住宅とは新築でも発生するのですか?
A
新築住宅であっても、欠陥住宅となるケースも決して珍しくありません。
施工不良や価格競争による安価な資材の使用など、原因はさまざまです。
このような事態に対応できるよう、品確法による10年保証や住宅瑕疵担保保険などにより、買い手が保護されています。
Q
欠陥住宅はホームインスペクションで防げますか?
A
ホームインスペクションを活用することにより、大幅にリスクを軽減できます。
専門家が経験や知識を駆使し点検するため、売り手にも買い手にも安心できる仕組みと言えるでしょう。
まとめ
欠陥住宅とは、居住者の生命・身体・健康に直接関わる深刻な問題を抱えた住宅を指します。
構造的な不備や防水・断熱の欠陥、配管・電気設備の不良など、その種類は多岐にわたり、放置すれば重大な事故や健康被害につながるおそれがあります。
こうした欠陥は中古住宅に限らず、新築住宅でも起こり得るため、物件の購入前にしっかりとチェックを行い、購入後も定期的な点検を怠らないことが重要です。
人生で最も高額な買い物とも言えるマイホーム選びにおいて、欠陥住宅を掴まないためには、住宅に関する正しい知識を持ち、信頼できる施工業者や不動産会社を見極める力が求められます。
また、契約内容の確認や第三者機関による住宅診断(ホームインスペクション)を活用することも、リスクを回避する有効な手段です。
万が一、購入後に欠陥が発覚した場合でも、冷静に対処すれば解決できるケースは多くあります。
まずは状況を正確に把握し、記録を残したうえで、施工会社や保証制度・住宅相談窓口などに相談しましょう。
必要に応じて弁護士や建築士といった専門家のサポートを受けることで、納得のいく解決へとつなげることが可能です。
一人で抱え込まず、専門知識を持つ第三者と連携しながら、安心できる住まいを守りましょう。