建物を雨漏りから守るための防水工事には、さまざまな方法がありますが、中でもウレタン防水工事は屋上やベランダなど幅広い場所で利用されています。柔軟性があり、通気緩衝工法などの選択肢もあり、多くの建物で採用されています。
しかし、「ウレタン防水の単価や防水工事の単価はどのくらい?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、ウレタン防水工事の費用や相場、具体的な単価表をもとに、価格の目安を詳しく解説します。
また、材料費や工法の違いについても触れつつ、見積もりの際に注意すべきポイントや依頼先の選び方もご紹介します。
「防水工事の費用を抑えたい」「適正な価格で施工を依頼したい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください!
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目次
ウレタン防水とは?
ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を施工面に直接塗布して防水層を形成する工法です。液体状のため、複雑な形状の施工面にも対応でき、均一な防水膜を作ることができます。屋上やベランダ、バルコニーなど幅広い場所で採用されており、柔軟性と施工のしやすさが特徴です。
ウレタン防水の主な特徴
- 優れた密着性
下地との密着力が高く、防水層が剥がれにくい。 - 柔軟性が高い
温度変化や建物の動きに追従しやすく、ひび割れに強い。 - 継ぎ目のない防水層
液体状で塗布するため、継ぎ目がなく、漏水のリスクを軽減。 - 施工性の高さ
狭い場所や複雑な形状にも対応可能で、汎用性が高い。
ウレタン防水の施工箇所に応じた適用例
- 屋上防水:雨水の浸入を防ぎ、建物の内部構造を保護します。
- ベランダやバルコニー:居住空間に近い場所でも施工が可能。
- 配管周りや細かい隙間:複雑な形状でも均一な防水層を形成。
ウレタン防水のメリットとデメリット
ウレタン防水の最大のメリットは、施工面の形状を問わず対応できる柔軟性と、防水層が継ぎ目のない一体構造になる点です。さらに軽量で建物への負担が少なく、補修や部分施工がしやすい点も魅力です。一方、デメリットとしては、耐用年数が10~15年程度と短めであり、定期的なメンテナンスが必要な点が挙げられます。また、施工者の技術力によって仕上がりに差が出るため、信頼できる業者選びが重要です。
メリット
- 防水層が軽量で建物に負担をかけにくい。
- 補修や部分的な再施工がしやすい。
- 比較的短期間で施工が完了。
デメリット
- 耐用年数が10~15年程度と他の防水工法より短い場合がある。
- 施工後に定期的なメンテナンス(トップコート塗り替え)が必要。
ウレタン防水は、コストパフォーマンスの良さと施工性の高さから、多くの建物で採用されている防水工法です。ただし、適切な施工とメンテナンスを行うことで、その効果を十分に発揮できる点を押さえておきましょう。
ウレタン防水の工事にかかる費用・単価表
ウレタン防水は、1平米あたり7,500円程度の単価相場ですが、工法別、施工場所、防水材料、工事内容によって単価も変わります。
それぞれの項目別に費用・単価表をまとめました。
工法 | 平方メートルあたりの単価 | 100平方メートルの場合の費用 |
---|---|---|
密着工法 | 3,500円〜6,000円 | 350,000円〜600,000円 |
メッシュ工法 | 4,000円〜7,500円 | 400,000円〜750,000円 |
通気緩衝工法 | 5,000円〜8,500円 | 500,000円〜850,000円 |
密着工法は、下地に直接防水塗料を塗る工法です。
メッシュ工法は、下地と防水層の間にメッシュシートを挟んで補強します。
また通気緩衝工法は、下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟み、防水層に水蒸気が溜まらないようにする工法です。
それぞれ1平米あたり単価が異なるので、参考にしてみてください。
ウレタン防水の施工場所別の費用・単価表
ウレタン防水の費用・単価は施工場所によっても変わってきます。
施工場所 | 単価(平方メートルあたり) | 100平方メートルの場合の費用 |
---|---|---|
屋上 | 3,500円〜6,000円 | 350,000円〜600,000円 |
バルコニー | 3,000円〜5,000円 | 300,000円〜500,000円 |
ベランダ | 3,000円〜5,000円 | 300,000円〜500,000円 |
テラス | 4,000円〜7,000円 | 400,000円〜700,000円 |
駐車場 | 5,000円〜8,000円 | 500,000円〜800,000円 |
浴室 | 3,500円〜6,000円 | 350,000円〜600,000円 |
プールサイド | 4,500円〜7,500円 | 450,000円〜750,000円 |
これは、施工難易度・施工面積・材料の種類などが異なるからです。
また高所作業が伴う屋上では足場の設置が必要なので、その分だけ費用は増えます。
ウレタン防水の材料別の費用・単価表
ウレタン防水工事は使用する防水材料によっても費用・単価が変動してきます。
防水材料 | 単価(平方メートルあたり) | 100平方メートルの場合の費用 |
---|---|---|
一般的なウレタン樹脂 | 3,000円〜5,000円 | 300,000円〜500,000円 |
高性能ウレタン樹脂 | 5,000円〜8,000円 | 500,000円〜800,000円 |
ウレタン樹脂+プライマー | 3,500円〜6,000円 | 350,000円〜600,000円 |
ウレタン樹脂+中塗り材 | 4,000円〜7,000円 | 400,000円〜700,000円 |
ウレタン樹脂+上塗り材 | 4,500円〜7,500円 | 450,000円〜750,000円 |
シーリング材込み | 3,500円〜6,000円 | 350,000円〜600,000円 |
これは劣化状況や、施工場所の必要な耐久性に応じて防水材料を検討する必要が出てきます。
例えば、ベランダよりも紫外線・風雨にさらされる時間が長い屋上は、その分だけ高い耐久性が求められるので、高品質な施工を行うために単価が高くなりやすいです。
ウレタン防水工事に付随する作業の単価相場
ウレタン防水工事の費用だけでなく、それに付随する作業にも費用が発生します。
具体的には、作業内容によって以下のような費用がかかるでしょう。
高圧洗浄 | 200~300円 |
---|---|
下地処理 | 200円 |
下地補修 | 200~300円 |
足場の設置、撤去 | 700~900円 |
改修ドレンの設置 | 15,000円/箇所 |
脱気筒の設置(通気緩衝工法の場合) | 10,000~12,000円/箇所 |
材料処分費 | 10,000~30,000円 |
管理費 | 10,000~30,000円 |
諸経費 | 10,000~30,000円 |
諸経費 | 10,000~30,000円 |
付随の作業についても、単価相場は業者によって異なります。
単価が適正かをチェックするには
業者が提示した単価が適正かどうかチェックするには、以下のポイントを確認しましょう。
- 保証年数は何年か
- 材料のメーカー名や材料名、工法名が記載されているか
- 下地処理についての記載があるか
- 定期点検の年数が記載してあるか
- 諸経費や管理費が適切か
見積もりは、複数の業者に依頼し比較検討をしましょう。
そうすることで見積書が適正かチェックでき、業者を選ぶ判断基準になります。
ウレタン防水工事の見積書で見るべきポイント
ウレタン防水工事を依頼する際、見積書の内容を細かく確認することが重要です。特に、「一式」と記載されている見積書は、内訳が不透明であるため注意が必要です。工事内容の詳細を把握し、適正価格かどうかを判断するために、以下のポイントを確認しましょう。
ウレタン防水工事の見積書で見るべきポイント1. 数量や単価が明確に記載されているか
見積書には、施工面積や単価が明確に記載されている必要があります。「一式」表記では、どのような作業が含まれているのかが分かりにくく、不要な追加費用を請求される可能性があります。
- 防水工事の施工面積(㎡)が明確に記載されているか
- 材料費・施工費などの単価が細かく記載されているか
- 必要な工程ごとに費用の内訳が分かれているか
ウレタン防水工事の見積書で見るべきポイント2. 高圧洗浄の項目が含まれているか
ウレタン防水工事の前には、高圧洗浄を行い、下地を整える工程が不可欠です。適切な下地処理を行わなければ、防水層の密着性が低下し、耐久性が著しく落ちる可能性があります。見積書にこの項目が含まれているか確認しましょう。
- 高圧洗浄の施工面積が、防水工事の施工面積と一致しているか
- 高圧洗浄の費用が適切に記載されているか
ウレタン防水工事の見積書で見るべきポイント3. 下地処理の内容が詳細に記載されているか
防水工事の品質は下地処理の精度によって大きく左右されます。下地処理の工程が見積書に明記されていない場合、施工後にひび割れや剥離が発生するリスクが高まります。
- ひび割れ補修や不陸調整(表面の凹凸を均す処理)が含まれているか
- 必要な下地処理の内容が明確に記載されているか
ウレタン防水工事の見積書で見るべきポイント4. プライマー処理が行われるか
プライマー処理は、下地とウレタン防水材の接着を強化するために必要な工程です。この作業を省略すると、ウレタン層が剥がれやすくなり、耐用年数が短くなります。
- プライマー処理が単独の項目として記載されているか
- 「一式」に含まれていないか
ウレタン防水工事の見積書で見るべきポイント5. 塗り重ね回数が明記されているか
ウレタン防水は、複数回の塗り重ねによって防水層を形成します。塗り回数が不足すると、防水性能が不十分になり、早期の劣化につながります。
- プライマー塗布1回、ウレタン塗膜2回、トップコート塗布1回の基本工程が記載されているか
- 工程ごとの塗布回数が明確に記載されているか
ウレタン防水工事の見積書で見るべきポイント6. 費用の安さだけで業者を選んでいないか
価格の安さだけで業者を選ぶと、施工不良やアフターサポートの不備につながる可能性があります。適正価格と施工内容を比較し、バランスの取れた業者を選ぶことが重要です。
- 相場より極端に安い見積もりではないか
- 工事内容と費用のバランスが適切か
ウレタン防水工事の見積書で見るべきポイント7. 工法の種類が明記されているか
ウレタン防水には「密着工法」「メッシュ工法」「通気緩衝工法」の3種類があり、それぞれ特性や耐用年数が異なります。適した工法が明記されているか確認しましょう。
- 採用される工法が記載されているか
- 工法の特徴や適用条件が明示されているか
ウレタン防水工事の見積書を確認する際は、工事の品質と費用のバランスを見極めることが重要です。「一式」と記載された見積書は詳細が不透明なため、数量や単価、工法などの内訳をしっかりとチェックしましょう。適切な施工を行うことで、防水性能を長期間維持し、建物の寿命を延ばすことができます。
ウレタン防水工事の依頼先はどう選定する?防水業者の選び方
ウレタン防水工事の依頼先は、どのように選択すると良いのでしょうか。
ここでは、依頼先の選び方をご紹介していきます。
施工実績の豊富な業者を選ぶ
施工実績の豊富な業者だと、安心感があります。
技術力が高く、知識が豊富な傾向にあるからです。
国家資格を持つ業者を選ぶ
国家資格を持つ業者なら、適切に施工してくれる場合が多いです。
資格を持たない業者は施工不良が起こる可能性もあるため、注意しましょう。
施工中の写真を見せながら説明してくれる業者を選ぶ
施工中の写真を見せながら、丁寧に説明してくれる業者も信頼できるでしょう。
実際に行われている工事の様子を見ることで、どのようにして作業が進んでいるのか把握できるため安心です。
業者の種類で選ぶ
ウレタン防水工事は、さまざまな業者が行っています。
ハウスメーカー・リフォーム業者・塗装工事業者・防水工事業者の4種類が一般的です。
業者によって特徴が異なるため、以下を参考にしてみてください。
- ハウスメーカー…新築時の業者に依頼することが多いため品質にムラが少ないが、中間マージンが発生するので料金は高め
- リフォーム業者…防水工事以外のリフォーム工事も依頼できるが、自社施工でなければ中間マージンが発生する
- 塗装工事業者…比較的安価で依頼できるが、規模の大きな防水工事に対応していない場合がある
- 防水工事業者…技術力が高く比較的安価だが、防水工事業者自体が少なめ
それぞれメリット・デメリットがあるため、建物の状態や状況に適した業者を選ぶと良いでしょう。
ウレタン防水工事の費用を抑える方法
ウレタン防水工事は、多くの費用が発生します。
費用をどうにかして抑えるには、どうしたらいいのでしょうか。
ここでは、ウレタン防水工事の費用を抑える方法についてご紹介します。
定期的にメンテナンスを行う
定期的にメンテナンスすると、防水層が長持ちして費用の節約につながります。
少しでも不具合が発生したら、放置せずに補修しましょう。
不具合を放置すると、その箇所から徐々に劣化が広がっていきます。
例えば、定期的に排水のためのドレンの清掃や業者による定期点検、5年ごとのトップコートの塗り替えなどを行うと、防水層を良い状態で維持できるでしょう。
火災保険・補助金を活用する
火災保険・補助金を活用することにより、ウレタン防水工事の費用を抑えることが可能です。
防水工事を行った建物が、火災や自然災害によりダメージを受けた場合に火災保険が適用されます。
ただし、火災保険を利用するには条件が定められているので注意しましょう。
建物の使用目的・築年数・保険金額などにより、火災保険が適用されるかどうかが変わります。
また、補助金も一定の条件を満たすと利用できます。
条件には、所得による制限や申請可能な居住地域などが挙げられます。
補助金を利用できるかどうかは、インターネットで調べたり、自治体の補助金担当窓口に相談したりすると良いでしょう。
DIYで防水工事を行う
DIYで防水工事を行うと、費用を抑えることが可能です。
ただし、ウレタン防水工事に慣れている方でなければ難しく、施工不良も発生しやすいです。
施工不良により不具合は起こると再工事が必要になるため、ウレタン防水工事に慣れていない場合は専門業者に依頼するのがおすすめです。
相見積もりを取る
複数の業者に相見積もりを行うと相場を把握しやすくなり、費用を抑えることにつながります。
ただし安すぎる費用を提示する業者は施工品質が低下する恐れもあるため、適正価格の範囲内で施工を依頼しましょう。
ウレタン防水に関するQ&A
ここではウレタン防水についての疑問やよくある質問に回答したいと思います。それぞれウレタン防水工事に関して気になる疑問などチェックしてください。
Q.ウレタン防水工事では臭いが発生する?
A.ウレタン防水工事では、施工中や乾燥中にシンナー特有の臭いが発生します。特に、ベランダやバルコニーなど室内に近い場所での工事の場合、いつもと違う刺激的な臭いを感じることがあります。十分な換気を行うことで臭いを最小限に抑えられますが、完全に取り除くことは難しいでしょう。臭いに敏感な方は、事前に施工業者に相談し、対策を検討することをおすすめします。最近では環境配慮型の溶剤もあるので、施工前に臭いの少ない溶剤を利用することも選択肢の1つです。
Q.ウレタン防水材が乾くまでにはどのくらいかかる?
A.ウレタン防水材の乾燥時間は、気温、湿度、塗布厚さ、使用する材料などの条件によって異なります。一般的に完全乾燥には48時間から72時間程度かかります。つまり3、4日前後はかかる計算になります。ただし、気温が低い場合や湿度が高い場合は、乾燥時間がさらに長くなる可能性があります。施工後は、防水層が完全に乾燥するまで水分や荷重をかけないよう注意が必要です。
Q.ウレタン防水を長持ちさせる方法は?
A.定期的な点検とメンテナンスが重要です。年に1〜2回程度、防水層などのクラック、膨れ、剥がれや損傷、劣化がないか確認し、早期に発見・補修することで耐用年数を延ばすことができます。またトップコートを塗布することで、紫外線や外的要因からウレタン防水を保護し、寿命を延ばすことも可能です。定期的なメンテナンスとして落ち葉や砂などのゴミを掃除することも詰まりによる水たまりなどを防ぎ長持ちさせる秘訣です。
ウレタン防水工事の単価や見積もりのまとめ
ここまで、ウレタン防水工事の単価や見積もりのポイントについて解説してきました。
以下は、この記事の内容をまとめていきます。
- ウレタン防水の単価相場は、1平米あたり7,500円程度
- ウレタン防水には「密着工法」「メッシュ工法」「通気緩衝工法」の3種類がある
- 密着工法の単価は、1平米あたり4,000~6,000円、メッシュ工法は5,000~7,000円、通気緩衝工法は5,500~8,000円
- 高圧洗浄や下地処理など、付随する作業にも費用が発生する
- 材料のメーカー名や工法名などを確認し、単価が適正かを見極める
- 見積書では「下地処理の項目は正確か」「何回塗り重ねるか」「数量・単価の記載があるか」などを確認する
- ウレタン防水工事の依頼先は「施工実績の豊富な業者」「国家資格を持つ業者」「業者の種類」などの基準で選ぶ
- ウレタン防水工事の費用を抑えるには「定期的にメンテナンスを行う」「火災保険・補助金を活用する」「DIYで防水工事を行う」「相見積もりを取る」などの方法がある
ウレタン防水の単価相場を把握しておくと、工事の計画が立てやすくなります。