ベランダは雨風の影響を受けやすく、経年劣化によって防水機能が低下することがあります。
放っておくと雨漏りや構造躯体の損傷につながり、修繕費用が高額になる可能性も。
このページでは、ベランダ防水の補修について、劣化症状や補修方法、DIYでの補修方法などについて詳しく解説しています。
ベランダの防水が心配な方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ベランダに防水補修工事が必要な理由
ベランダは雨風や紫外線にさらされるため、経年劣化によって防水機能が低下し、雨漏りやひび割れなどのトラブルが発生しやすくなります。
放置すると建物全体に被害が及ぶ可能性もあるため、防水補修工事は早急に対処することが大切です。
防水補修工事は劣化箇所を補修し、防水機能を回復させることで、雨漏りやひび割れを防ぎます。
また、定期的なメンテナンスを行うことで、ベランダの寿命を延ばし、建物の資産価値を維持することができます。
ベランダに防水補修工事が必要な理由を理解し、適切なメンテナンスを行うことで、快適な住環境を維持しましょう。
雨漏りが発生する
ベランダの防水機能が低下すると、雨漏りが発生し、室内にまで被害が及ぶ可能性があります。
雨漏りが発生すると、天井や壁のシミ、カビの発生、床の腐食、建物の構造躯体の劣化など、様々な被害が考えられます。
最悪の場合、建物全体の強度が低下し、倒壊の危険性も出てくるため、早急な補修が必要です。
ベランダの防水工事は、一般的に10~15年程度で劣化が発生するため、定期的なメンテナンスが必要です。
防水機能が低下したと感じたら、専門業者に相談することをおすすめします。
劣化や損傷が広がる
ベランダの防水機能が低下すると、ひび割れや膨れ、剥離などが発生するようになります。
放置すると、劣化や損傷が広がり、雨漏りのリスクが高まるだけでなく、見た目の美観も損なわれます。
また、劣化が進むと補修費用も高額になるため、早めの対策が重要です。
ベランダの防水工事別の劣化症状
ベランダの防水工事には、主に「塗膜防水」と「シート防水」の2種類があります。それぞれの防水工法によって、劣化症状も異なります。
塗膜防水の場合の劣化症状は、
- 塗膜のひび割れや剥がれ
- チョーキング現象(塗膜表面の粉化)
- 色褪せ
- 防水層の膨れ
などです。一方シート防水の場合の劣化症状は、
- シートの破れや剥がれ
- シートの膨れやシワ
- ジョイント部の破損
- 防水層の膨れ
などがあります。
これらの劣化症状は、放置しておくと雨水が浸入して建物の構造を傷める原因となるため、早めの補修が必要です。
では、それぞれの劣化症状について詳しく説明します。
塗膜防水の場合の劣化症状
塗膜防水は、ウレタンやアクリルなどの樹脂を塗布して防水層を作る工法です。
塗膜防水は比較的安価で施工が簡単ですが、経年劣化によって防水性能が低下する傾向があります。
塗膜防水の劣化症状としては、以下のようなものが挙げられます。
塗膜のひび割れや剥がれ
ひび割れは、小さなものから大きなものまでさまざまなサイズで発生します。
小さなものは放置しても問題ありませんが、大きなものはそこから雨水が浸透し、雨漏りの原因となります。
剥がれは、塗膜が一部または全部剥がれ落ちてしまう状態を指します。
剥がれた部分からも雨水が浸透し、雨漏りや下地の腐食につながります。
チョーキング現象
チョーキング現象とは、塗膜表面が白亜化し、触ると白い粉が手に付着する現象のことです。
これは、塗膜に含まれる樹脂や顔料が紫外線や雨風によって劣化し、粉状になって表面に浮き上がってくることが原因です。
チョーキング現象は、見た目が悪くなるだけでなく、防水性能の低下にもつながります。
粉状になった塗膜は、防水層の保護機能を果たさなくなるため、雨水が浸入しやすくなってしまいます。
また、チョーキング現象を放置すると、塗膜のひび割れや剥がれなどのさらに深刻な劣化症状を引き起こす可能性があります。
色褪せ・変色
ベランダの防水層は、紫外線や風雨にさらされることで、徐々に劣化していきます。その劣化症状の一つとして、色褪せや変色があります。
色褪せや変色は、防水層の表面が摩耗したり、塗料が劣化したりすることで発生します。
防水層の表面が摩耗すると、下地のコンクリートの色が見えてきて、白っぽくなったり、色が薄くなったりします。また、塗料が劣化すると、塗料に含まれる顔料が分解され、色が薄くなったり、変色したりします。
色褪せや変色は、防水層の性能低下につながるため、早めの補修が必要です。色褪せや変色が発生した場合は、防水層の補修または塗り替えを行いましょう。
水たまりや苔の発生
水たまりや苔の発生は、防水層の機能低下を示す重要なサインです。
防水層に隙間ができると、水が浸入し、表面に苔が生えるようになります。また、水たまりは防水層の劣化をさらに加速させ、最終的には雨漏りにつながる可能性があります。
ベランダの防水補修は、快適な住環境を維持するためには不可欠です。劣化症状が現れたら、早めの補修を検討しましょう。
シート防水の場合の劣化症状
シート防水は、耐用年数が12〜15年と長く、特に塩化ビニール製のシートは紫外線に強いという特徴があります。
しかし、シート防水では防水層が一枚のシートでつながっているため、一箇所でも破損があると、そこから水が染み込み、全体に影響を及ぼすというデメリットがあります。
防水シートの剥がれ
シート防水の場合、経年劣化によって防水シートが剥がれてしまうことがあります。これは、シートの継ぎ目や端部から剥がれが発生し、そこから雨水が侵入して漏水を引き起こす恐れがあります。
- 施工不良:
シートの重ね代が不足していたり、接着剤が不十分であったりすると、剥がれが発生しやすくなります。 - 経年劣化:
シートは紫外線や雨風によって劣化し、徐々に強度が低下していきます。そのため、経年劣化が進むと剥がれが発生しやすくなります。 - 物理的な衝撃:
ベランダに物を落下させたり、人が乗り上げたりすると、シートに物理的な衝撃が加わり、剥がれが発生する可能性があります。
シート防水の剥がれを放置すると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 漏水:
シートの剥がれから雨水が侵入すると、ベランダ下の部屋に漏水が発生する恐れがあります。漏水は、建物の構造や内装材を腐食させる原因になります。 - 防水機能の低下:
シートが剥がれると、防水機能が低下します。そのため、ベランダに雨水が浸入しやすくなり、防水の役割を果たさなくなってしまいます。 - 美観の低下:
シートの剥がれは、ベランダの美観を損ねてしまいます。剥がれたシートは剥がれを放置したままでいるとさらに剥がれが広がり、見た目にも悪くなります。
防水シートの硬化・収縮
硬化とは、シート素材が硬くなり、柔軟性が失われる状態のことです。収縮とは、シート素材が縮むことで、シワやよれが発生する状態のことです。
硬化・収縮が発生すると、防水シートの防水機能が低下し、雨漏りの原因となる可能性があります。
また、ひび割れや破れが発生しやすくなり、補修が必要になるケースも出てきます。
つなぎ目部分の劣化
シート防水の継ぎ目は、熱溶着や専用接着剤で隙間なく接合されていますが、経年劣化によるシートの収縮で剥がれることがあります。
特に立ち上がり部分は劣化が早いため注意が必要です。継ぎ目の剥がれは水の侵入経路となり、建物内部への水漏れを引き起こします。
水たまりや苔の発生
ベランダに常に水が溜まっていたり、藻やコケが繁殖していると、防水層の劣化が加速してしまいます。
排水溝の周辺は、水が集まりやすく、汚れも溜まりやすいため、特に注意が必要です。
排水溝が詰まっていたり、勾配が不適切だったりすると、水はけが悪くなり、水たまりができやすくなります。
水たまりができると、防水層が常に水に浸かった状態となり、劣化が早まります。また、藻やコケが生えやすい環境にもなります。
藻やコケは、防水層に根を張り、表面を傷つけることで、劣化を促進します。
ベランダ(バルコニー)の防水補修方法
ベランダ(バルコニー)の防水補修とは、経年劣化や損傷によって防水機能が低下したベランダの防水層を補修または交換することで、雨漏りや浸水を防ぐ工事のことです。
防水工事には、FRP防水、ウレタン防水、シート防水など様々な種類があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。
FRP防水
FRP防水とは、繊維強化プラスチックを用いた防水工法です。ガラス繊維などの強化材を樹脂に浸透させて積層し、硬化させることで防水層を形成します。FRP防水は、強度に優れ、耐久性が高いのが特徴です。また、軽量で施工性に優れているため、ベランダやバルコニーなどの防水工事によく用いられます。
- 強度に優れている
- 耐久性が高い
- 軽量で施工性に優れている
- 意匠性に優れている
- コストが高い
- 施工に専門技術が必要
- 防水層が硬いため、ひび割れが発生しやすい
FRP防水は、強度に優れ、耐久性が高い防水工法です。しかし、コストが高く、施工に専門技術が必要なため、DIYには不向きです。ベランダやバルコニーの防水工事をご検討の方は、専門業者に相談することをおすすめします。
ウレタン防水
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を作る工法です。塗膜防水の一種であり、ベランダやバルコニーによく用いられます。
- 高い防水性
- つなぎ目がない
- 軽量で、耐候性に優れている
- 費用が高い
- 塗布に技術が必要
シート防水
シート防水とは、塩化ビニル樹脂や合成ゴムなどのシート状の防水材をベランダの床面に直接貼り付けて防水層を作る工法です。シートは接着剤で下地に固定され、防水シート同士は溶剤や熱で接合されます。施工が容易で、工期が短いことが特徴です。
- コストが安く、工期が短い
- メンテナンスが容易
- 耐久性が低い
- 紫外線に弱い
- 施工が難しい場所がある
シート防水は、比較的平坦なベランダやバルコニーに適しています。複雑な形状のベランダや、歩行頻度の高いベランダには適していません。
防水工事の費用相場を知ろう
防水工事の費用相場は、使用する工法によって異なります。代表的なFRP防水とウレタン防水の費用相場をご紹介します。
FRP防水は、ガラス繊維強化プラスチックを用いた防水工法です。
耐久性が高く、比較的安価なことから人気があります。 費用相場は、1㎡あたり2,000円~4,000円程度です。
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を作る工法です。
伸縮性が高く、複雑な形状にも対応できるのが特徴です。 費用相場は、1㎡あたり3,000円~5,000円程度です。
ベランダ防水の補修費用は、劣化状況や使用する工法によって異なります。
詳しくは、専門業者に相談することをおすすめします。
FRP防水の費用相場
FRP防水は、比較的安価で施工が簡単なため、広く普及している防水工事です。FRP防水の費用相場は、1㎡あたり2,000円~4,000円程度です。施工面積や既存の防水層の状況、作業内容などによって費用は変動します。
以下は、FRP防水の費用相場の例です。
施工面積 | 費用相場 |
10㎡以下 | 20万円~40万円 |
10~20㎡ | 40万円~80万円 |
20㎡以上 | 60万円~120万円 |
FRP防水は、費用対効果の高い防水工事です。耐久性も高く、メンテナンスも比較的容易です。ベランダの防水工事を検討している場合は、FRP防水を検討してみてはいかがでしょうか。
ウレタン防水の費用相場
ウレタン防水の費用相場は、施工面積や下地の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり2,000円~4,000円程度です。
施工面積 | 費用相場 |
10㎡以下 | 20万円~40万円 |
10~20㎡ | 30万円~60万円 |
20㎡以上 | 40万円~80万円 |
ウレタン防水のメリットは、FRP防水よりも安価なことと、複雑な形状のベランダにも施工しやすいことです。また、塗膜が薄いため、ベランダの床の高さがほとんど変わりません。
デメリットは、FRP防水よりも耐用年数が短いことと、紫外線に弱いことです。定期的なメンテナンスが必要になります。
ウレタン防水は、コストを抑えたい方や、複雑な形状のベランダに施工したい方に適した防水方法です。
DIYでベランダ(バルコニー)防水の補修は可能?
ベランダの防水機能が低下すると、雨漏りやコンクリートの劣化を招き、建物の寿命を縮めてしまう可能性があります。そこで、今回はベランダの防水補修をDIYで行う方法を紹介します。
DIYが可能なベランダについて
ベランダの防水補修をする前に、まずはベランダの現状をよく見てみることが大切です。
もしベランダにシート防水が使われているなら、古いシートをはがさないといけません。これはDIYではなかなか難しい作業なので、専門の業者にお願いするのがいいでしょう。
また、ベランダの傷みがひどい場合も、自分で補修するのはやめておいた方が無難です。
防水の補修は、正しい方法や材料を選んだり、高度な技術が必要だったりと、とてもデリケートな作業なんです。
素人の方が間違った補修をしてしまうと、かえって防水の性能が下がったり、傷みが早く進んだりしてしまう可能性があります。
ベランダの状態が良くて、ちょっとした補修ですむようなら、DIYにチャレンジしてみるのもありですが、シート防水が使われていたり、傷みがひどかったりする場合は、専門家に相談して、きちんとした補修や修理をしてもらうのが賢明だと言えます。
DIYのメリットデメリット
ベランダの防水補修をDIYで行うメリット・デメリットは次のとおりです。
- 費用を抑えられる
- 自分のペースで作業できる
- 専門知識が必要
- 時間と労力が必要
- 失敗する可能性がある
DIYで補修する際の注意点
ベランダの防水補修をDIYで行う際は、以下の点に注意が必要です。
- 作業前にしっかりと下地処理を行う
- 天候の良い日に作業を行う
- 適切な防水塗料を使用する
ベランダの防水補修は、正しい手順で行うことが重要です。分からないことがあれば、専門業者に相談することをおすすめします。
ベランダの防水補修工事まとめ
ベランダは雨や紫外線にさらされ、劣化しやすい場所です。放置すると雨漏りや構造躯体の腐食を引き起こす恐れがあるため、防水工事が重要です。
主なベランダ防水工事には、ウレタン防水、シート防水、FRP防水の3種類があります。
ウレタン防水は伸縮性が高く複雑な形状に対応でき、シート防水は耐久性が高く大規模なベランダに適しています。FRP防水は耐候性が高く、軽量で施工がしやすいのが特徴です。
工事費用は工事面積、防水の種類、施工業者によって異なり、一般的には5~20万円程度が相場です。
ベランダ防水の補修はDIYでも可能ですが、専門的な知識と技術が必要であり、失敗すると雨漏りや構造躯体の腐食を引き起こす恐れがあります。
自分で行うか専門業者に依頼するかは、劣化の程度や費用のバランスを考慮して判断する必要があります。