住宅の年数が経つと外壁のリフォームが必要になります。定期的なメンテナンスで家を長持ちさせるだけでなく、新鮮な外観へとリニューアルするチャンスでもあります。選択肢に迷う方のために、外壁塗装やサイディングの張替えに活用できる、人気の配色や素材選びのポイントを解説します。
目次
外壁塗装とは
外壁塗装は、さまざまな役割や目的を持っています。以下では、外壁塗装の役割や塗料の種類と特性について詳しく紹介します。
外壁塗装の役割と重要性
外壁塗装は、住まいを守るために欠かせないメンテナンス工事です。多くの人は「見た目を変えるだけの工事」と思っているかもしれませんが、実際には外壁や屋根の機能を改善し、快適な住空間を維持するために重要なものです。
外壁塗装には、以下の4つの役割があります。
美観の保持
外壁塗装によって、新築時のような美しい外観を保つことができます。また、外壁色を変更することで、住まいの雰囲気を一新することも可能です。
耐久性の向上
塗料が壁面を保護し、外壁の耐久性を向上させるため、建物自体の寿命を延ばすことができます。
断熱・遮熱性の向上
一部の塗料には断熱・遮熱効果があり、それらを使用することで室内の温度上昇や低下を軽減し、冷暖房の効果を高めることができます。これにより省エネ効果も期待できます。
防汚性の向上
多くの塗料には防汚性を向上させる機能が備わっており、外壁を汚れにくくすることで美しい壁面を長く維持することができます。
これらの役割を理解し、適切な専門業者を選び、適切な素材や工法を選択することが外壁塗装の成功につながります。
流行と個性を兼ねた外壁の色彩
それでは、外壁を魅力的に映えさせる方法についてご紹介していきます。外壁を魅力的に見せるには、色の選び方とその配色の調和が鍵となります。それぞれの主要なカラーが与える印象はどのようなものでしょうか。ここでは、流行りつつも個性的な5色をご覧いただけます。
ベージュの魅力
ベージュはホワイトにほんの少しのイエローを加えた、外壁塗装で最も人気の高い色と言われています。その万能性から、和風の住宅から洋風の家まで、あらゆるスタイルに適用できます。ベージュの特長として、ホワイトやブラックの外壁と比べて汚れが目立ちにくいことが挙げられます。
外壁の色選びでは、周囲の街並みに自然に溶け込む色か否かが重要なポイントとなります。ベージュはそんな心配を一掃する色で、緑豊かな庭木とも相性が良いことが特徴です。
そしてベージュは組み合わせる色によってさまざまな表情を見せます。同系色のブラウンやホワイトと組み合わせると落ち着いた雰囲気が生まれ、ピンクやグレー、カーキをアクセントに加えることで、より若々しくおしゃれな外観を演出できます。
ネイビーの風格
ネイビーは近年の外壁塗装トレンドカラーとして注目を集めています。上品で爽やかな印象を持つネイビーは、ダークトーンの外壁色の中でも人気があります。「落ち着いた雰囲気の住宅が好きだけど、ブラックは重すぎる」という方には、ネイビーがピッタリです。
ブルー系の色には心身をリラックスさせる効果があります。そのため、明るいトーンの住宅が多い街並みでも、ネイビーの外壁の住宅は清潔感があり、自然と目を引きます。
また、ネイビーはツートンカラーやフラットな屋根との組み合わせでも選びやすい色です。ホワイトや淡い水色と合わせると爽快感が増し、グレーとの組み合わせでは洗練された大人の印象が生まれます。
ホワイトの清潔感
高い明度を持つホワイトは光を反射しやすく、新鮮で清潔なイメージを与えます。また、光を反射することで、外壁の温度上昇も抑制します。
膨張色であるホワイトを外壁に使用すると、視覚的に広々とした印象を与えます。ホワイトはその表現力の広さが魅力で、ホワイト系の色は様々な種類があります。
静かな安心感を与えるナチュラルなホワイト、クールでスタイリッシュな印象の青みがかったホワイト、あたたかみのあるソフトなホワイトなど、その選び方は無限です。さまざまな色との組み合わせが可能で、外観に爽やかさや清潔感をプラスします。周囲の環境を明るく見せるホワイトは、選びやすいカラーの一つです。
ブラウンのナチュラルな美しさ
ブラウンはナチュラルな外観スタイルに最適なベースカラーです。レンガやタイルなどの自然に近い素材との組み合わせは、理想のスタイルを具現化するのに一役買います。
外壁をブラウンにすると、汚れが目立ちにくいというメリットがあります。アースカラーの一つであるブラウンは、安心感や温かみを与える色として広く知られています。日本の木造住宅やインテリアでもよく使用される色なので、親近感があります。
素材や色の濃淡によって、ブラウンは上品な雰囲気から明るくナチュラルな印象まで、さまざまなイメージを生み出します。色の濃淡がイメージを大きく左右するため、実際の色見本や建材を見て、施工後の住宅イメージを確認することをおすすめします。
グレーのモダンな印象
グレーはその濃淡によって大きく印象が変わる色で、汚れや経年劣化が目立ちにくいという特徴があります。また、周囲の環境にも馴染みやすく、調和をもたらします。
ベージュと比較すると、グレーの外壁はシンプルでモダンな印象を与えます。ダークグレーはアクセントとして部分的に取り入れてスタイリッシュな外観を作るのにおすすめです。一方、ライトグレーは優雅で洗練された雰囲気を外観にプラスします。
グレーは他の色との相性が良く、暖色系のカラー、寒色系のカラーともに配色が可能です。サンプルを用いて色を確認する際には、できるだけ広い面積で見ることをおすすめします。
おしゃれな外壁デザインの種類
外壁のデザインは、住宅の外観スタイルを決定付ける重要な要素です。リフォームする際には、どのようなスタイルにしたいのか、事前にイメージを決めておくことが推奨されます。それぞれのスタイルの特徴と、相性の良い色や素材を見ていきましょう。
モダン、シンプル
モダンスタイルの住宅の外観デザインは、機能的で合理的な幾何学的な要素が取り入れられています。すっきりとしたモダンスタイルの住まいにマッチする外壁の色は、「ホワイト」「グレー」「ブラック」やダークトーンのカラーです。また、使用する色の数を2色以内に限定し、シンプルに保つことが推奨されます。
カーキやベージュなどのアースカラーを用いるとモダンスタイルの印象が薄れてしまいます。色の明度の差を大きくするか最小限にとどめることで、よりモダンな雰囲気を演出します。キューブタイプの住宅やシャープな片流れ屋根の住宅では、ダークグレーやブラックの外壁が良く合います。
スタイリッシュ
スタイリッシュな外壁は、流行の最先端をいく洗練されたイメージを持っています。この意味では、最近のトレンドであるシンプルモダンな外観スタイルに近いデザインといえるでしょう。スタイリッシュな外観のキーワードとしては、「幾何学的」「ワントーン」が挙げられます。
スタイリッシュなデザインの外壁に相応しい色も、「ホワイト」「グレー」「ブラック」が人気です。色彩を持つ色を選ぶ場合は、ダークトーンの一色がおすすめです。さらに、無機質な金属系の鋼板などメタリックな質感を持つ素材を選ぶと、より一層スタイリッシュな外壁に仕上がります。
ナチュラル
ナチュラルスタイルの住宅では、自然素材を使用したデザインが多く見られます。そのため、木や土を思わせる、いわゆるアースカラーの外壁が最もマッチします。具体的には、「アイボリー」「ベージュ」「ブラウン」など、彩度を落とした色調を組み合わせると、ナチュラルスタイルの住宅にぴったりの外壁色になります。
彩度とは「鮮やかさ」を表すもので、華やかで明るい色よりも落ち着いた色を用いることで、ナチュラルな雰囲気を大切にできます。黒や鮮やかな色を使用する場合には、部分的なアクセントカラーにとどめることが推奨されます。また、サイディングを選ぶ場合はレンガ調や木目調のものを、その他の素材を選ぶ場合はタイルやレンガを用いると、よりナチュラルな雰囲気が出ます。
北欧風、ヨーロピアン
北欧風スタイルや南欧風のヨーロピアンスタイルの外観も、外壁をリフォームすることで実現できます。北欧風スタイルは、勾配のある屋根と、自然と調和した色使いが特徴です。一方、南欧風スタイルでは、すっきりとしたデザインと明るい配色が見られます。外壁の色と素材を適切にコーディネートすることで、おしゃれなヨーロピアン住宅を実現できます。北欧風の色使いの基本は彩度を落としたグレイッシュなトーンで、例えばグレーとベージュを混ぜたグレージュや、鮮やかすぎないグレージュブルー、そして濃色系のチャコールグレーなどが人気です。
このようなグレイッシュトーンのカラーは日本の街並みにも溶け込みやすいです。南欧風の外観では、明るいホワイトやベージュをベースカラーにするのがおすすめです。レンガやタイル調のサイディングを外壁素材に使用すると、明るく爽やかな南欧風スタイルが実現します。
素材の特徴を活かしたおしゃれな外壁にするには
住宅の外壁材には多くの種類があり、機能性やデザイン性が異なります。現在の住宅ではよく採用されている外壁材の特徴やメンテナンス性についてご紹介しましょう。
サイディング
近年の主流となっている外壁材がサイディングです。サイディングは外壁に張る仕上げ用の板材の総称で、窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4つに分類されます。サイディングの特徴としては、工場生産されているため品質が安定していることや施工の容易さ、豊富な種類やデザイン、耐水性や耐候性に優れている点が挙げられます。窯業系サイディングが全体の約80%のシェアを占めており、見た目もおしゃれで多様なデザインがあります。ただし、サイディングの継ぎ目部分はコーキング材でつなぎ合わせられているため、10年に一度程度、新しいコーキングの打ち替えや追加が必要です。
モルタル
モルタルの外壁は、水とセメント、砂を混ぜ合わせて湿式工法で施工されるものを指します。昔の日本の住宅ではほとんどがモルタル仕上げでした。モルタルの特徴としては、高いデザイン性やつなぎ目のない外壁の仕上がり、耐火性や耐久性があります。ただし、施工期間が長く職人の技術によって仕上がりに差が出やすいというデメリットもあります。モルタルの外壁はさまざまな仕上げ方があり、リシン、スタッコ、吹き付けタイル、左官仕上げなどがあります。これらの方法で外壁を仕上げることで、ぬくもりを感じるデザインが実現します。
タイル、レンガ
タイルとレンガは、住宅の外壁材として使用される素材です。タイルは石や土、粘土を高温で焼成したもので、レンガは粘土を主な原料として圧縮し作られる素材です。レンガは積み上げて施工し、タイルは貼り付けて施工します。タイルとレンガの大きな魅力は、高級感と重厚感です。サイディングに比べて存在感があり、見た目の劣化やメンテナンスの必要性が少ないという利点があります。ただし、施工期間が長く初期費用が高くなるというデメリットもあります。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は金属鋼板にメッキ塗装した素材です。アルミニウム、シリコン、亜鉛が使用されており、軽量でサビにくいという特徴を持ちます。ガルバリウム鋼板は屋根材や外壁材として人気があり、デザイン性も優れています。特にシンプル・モダン・スタイリッシュな外観デザインに合う素材であり、すっきりとしたスタイルを演出できます。ただし、外部からの衝撃には弱く、断熱性や遮音性が低くなること、デザインのバリエーションが限られることに留意する必要があります。