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30年先のマンション大規模修繕の計画

マンション大規模修繕工事を30年計画で行う必要性とは?周期内容や費用目安

  • マンションの中規模・大規模修繕工事の周期や費用について知りたい!
  • 1回目、2回目、3回目の修繕工事の負担額の目安はどのくらい?予算が足りない場合の対処法とは?

多くの方が日常を過ごして生活の拠点となるマンションは、安全かつ快適でなければなりません。

また美観を保ち建物の耐久性を維持するためにも、定期的な修繕が必要です。

マンションを安全な状態で維持し続け居住者を確保しておくためにも、大規模修繕工事を検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし、大規模修繕には多くの費用・時間・手間がかかるため、工事周期の長期化を目指すのがコストを抑えるにあたって望ましいと言えます。

近年では、30年先を目安に大規模修繕が計画されることも増えつつあります。

今回はマンション大規模修繕を計画する際に、30年先まで工事の周期を長期化する効果や費用の目安について説明します。

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大規模修繕の必要性

大規模修繕が必要な理由は、大きく分けて3つあるのをご存じでしょうか。

マンションにおいて大規模修繕が必要な理由を、それぞれ紹介します。

劣化を補修して資産価値を高める

マンションは、コンクリートや鉄筋などをはじめとする頑丈な資材で構築されている建物です。

しかし建築した当初は頑丈であっても、時が経つとともにさまざまな劣化が生じます。

劣化の内容としては外壁タイルの剥離をはじめ、外壁のひび割れ・鉄筋内部の腐食・屋根の防水・エレベーターの不具合などです。

外壁のひび割れには雨水の侵入によって、建物内部の耐久性が低下する場合もあります。

建物が劣化してしまうと資産価値が下がってしまい、入居者を募集しても空室が埋まらない場合も少なくありません。

マンションの状態を見極めた修繕工事を行い、資産価値を高めるためにも、定期的な規模修繕が必要です。

居住者や通行人の安全を守る

マンションやマンションの周囲には、多くの人が行き交います。

そのため、マンションの劣化からトラブルが生じる可能性は否めません。

トラブルの一つとして多いのが、タイルの剥離です。

タイルが劣化している状態を放置してしまうと、タイルの剥離によって居住者や通行人への怪我や損害などのトラブルが生じます。

また、電気関係における設備に異常があるものの、修理や点検を行わずに火災が起きるケースもあるでしょう。

通行人がけがをしたり、居住者が安全に暮らせなかったりすると、マンションの管理組合は責任を問われて賠償責任を負わなければいけません。

建物の安全を保持し、安心して暮らせるような居住環境を整えるためには大規模修繕が必要です。

居住者が快適に過ごせる環境を整える

マンションは、居住者の生活拠点です。

外壁や外廊下などのほか、入居当初は問題のなかった設備にも劣化が生じます。

生じる劣化としては、玄関のドアやインターホンなどの不調です。

また、居住者の年齢が高齢化することに伴って、バリアフリーな仕様であることも求められます。

居住者が快適に過ごせない環境だと、転居により空室が増えてマンションの経営が立ち行かなくなります。

人々が快適に暮らせる環境を整えるためにも、居住者に寄り添った大規模修繕が必要です。

修繕箇所別|修繕工事を行う目安

建物の対象部位によって、修繕を行う時期が異なります。

修繕の計画を立てるには、それぞれの対象部位における修繕目安を知っておくことが大切です。

大規模修繕で必要な施工箇所は、以下の通りです。

修繕箇所築年数
鉄部塗装4〜6年目
屋根・屋上7〜10年目
給水ポンプ・雨水排水ポンプ7〜10年目
1回目の大規模修繕工事
(建物全体)
11~15年目
鉄部
屋上
火災感知器
機械式駐車場
給水ポンプ
雨水排水ポンプ
16~20年目
2回目の大規模修繕工事
(建物全体)
21~25年目
エレベーター・インターホン26~30年目
3回目の大規模修繕工事
(建物全体)
31~40年目

1回目の大規模修繕工事における修繕の内容は、外壁塗装・タイル補修・防水補修・シーリングの打ち増しや打ち替え・鉄部塗装などです。

2回目の大規模修繕工事における修繕の内容としては、1回目の工事内容に加えて自動ドアの設置・カメラ付きインターフォンの設置など新たな設備の追加もあります。

3回目の大規模修繕工事においては、外壁塗装・タイル補修・防水補修に加えてサッシ・玄関ドア・電気関係の設備全般の取り換えが主な工事内容です。

大規模修繕の周期延長でコストダウン?

これまでの大規模修繕は建物の状態にもよりますが、12年に一度の周期で行われるケースが多くありました。

その理由としては、国土交通省が平成20年に公開した、長期修繕計画作成ガイドラインを参照したためです。

しかし、令和3年には公開されていたガイドラインが改訂され、大規模修繕工事の周期については「部材や工事の仕様等により異なるが一般的に12年~15年程度」とされています。

また、マンションの築年数30年規模で修繕工事の計画を行っていたケースが多くありましたが、ガイドライン改正後は60年先まで計画を伸ばしている管理組合も増えてきました。

12年周期から18年周期に長期化されたことで、管理会社がさまざまな対策を行っていますが、どれほどのコストダウンが叶うのか見てみましょう。

仮定として総戸数50戸のマンションだと、12年・18年周期で行う大規模修繕工事の費用の目安は以下の通りです。

12年周期:約5,000万円
18年周期:約7,000万円

コストが削減できる理由としては、工事費用の約20%を占める仮設工事の回数を減らせることによるものです。

特に仮設工事においては中小規模のマンションのほうが大型マンションよりも割高になりやすいため、できるだけ仮設工事の回数を減らしておくのがコスト削減のポイントと言えます。

マンション大規模修繕にかかる費用はどれくらい?

大規模修繕を行う際は、多くの費用が掛かります。

総戸数50戸のマンションを例にとると、12年周期の場合は1回の修繕につき約5,000万円、18年周期の場合は1回の修繕につき約7,000万円の費用が必要です。

それらの費用は、居住者の負担による修繕積立金でまかなわれます。

大規模修繕に備えるためにも一戸あたりの負担額や積立の額について知り、適正な金額を設定することが重要です。

1回目・2回目・3回目における大規模修繕の負担額の一例は、以下の通りです。

1回目の大規模修繕における負担額

周期によって負担額の誤差は生じます。

しかし、3回の大規模修繕のなかでも、共通して負担額が大きいのが1回目の大規模修繕です。

1回目に行われる大規模修繕では、一戸あたりの負担額は平均で約100万円とされています。

マンションの規模にもよりますが、毎月の積立額は約1万円ほどです。

2回目の大規模修繕における負担額

2回目に行われる大規模修繕で、一戸あたりの負担額は約97.9万円と言われています。

1回目より少し金額が下がるものの、毎月の積立額は1回目とほぼ変わりません。

3回目の大規模修繕における負担額

3回目に行われる大規模修繕で、一戸あたりの負担額は約80.9万円とされています。

1回目と2回目の大規模修繕よりも、負担額が低い設定です。

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マンション大規模修繕の周期を延ばすコツとは?

修繕工事の周期を延ばすことによって、コストを削減した大規模修繕が行えます。

周期を伸ばすためにはマンションの建築を行う際から使用する資材を吟味し、メンテナンスを行うことが大切です。

周期を伸ばすために行うこととして、下記のものが挙げられます。

  • 環境や立地を考慮したうえで、耐久性や強度の強い資材を用いる
  • 建築時に不備がないかを確認する
  • 建物への汚れに対する対策を行う
  • 掃除をはじめとする日々のメンテナンス欠かさず行う

少々費用が掛かっても、建築時に耐久性や強度の強い資材を使用すれば修繕の回数を減らすことにつながります。

また、日々のメンテナンスを欠かさず行えば、建物を長期間にわたって良い状態に保てるでしょう。

マンション大規模修繕の計画〜実行までの流れ

大規模修繕を行うにあたって、どのような流れで進めるのかご存じでしょうか。

工事をスムーズに進めていくためにも、基本的なポイントを押さえておくことが大切です。

  1. STEP

    大規模修繕委員会を発足

    大規模修繕を行う予定の数年前から、準備が必要です。

    準備の時期を迎えると、マンションの管理組合が大規模修繕委員会への参加希望者を組合員に向けて募ります。

    毎月修繕積立金を払っているマンションの区分所有者は、誰でも参加の資格があります。

  2. STEP

    建物調査の実施

    建物の現状を踏まえるために、建物調査を実施します。

    調査を実施する箇所は、建物や共用設備の状態・改修が更新の必要な箇所についての現状確認です。

  3. STEP

    大規模修繕の方針を決定

    建物調査の内容を踏まえて大規模修繕委員会にて話し合いのうえ、工事内容をはじめとする方針を決定します。

    予算が足りない場合は、一時金の徴収を検討することもあります。

  4. STEP

    見積もりを依頼

    大規模工事の内容と方針が決まったら、工事会社へ見積もりを依頼します。

    見積もりは複数の会社へ依頼し、比較検討できるようにすることが一般的です。

  5. STEP

    施工を行う会社の決定

    見積もりの内容を踏まえて、施工を行う会社を決定します。

    決定をする際には、マンションの区分所有者全体の総意を決定するための総会を開催して議決します。

  6. STEP

    工事の実施

    総会で決定した会社と契約を締結し、工事が始まります。

    工事を始める前には組合員・居住者への通知を行い、その後工事へと進みます。

大規模修繕中の注意点

大規模修繕を行っている間は、通常時とは過ごし方が異なります。

長期間にわたって移動や室内での過ごし方に不便が生じるため、いくつかの点について留意が必要です。

下記のようなポイントに気をつけて、過ごすようにしましょう。

  • 作業時間によって行き来しづらいルートを確認しておく
  • ベランダに置いているものは、室内に入れて保管する
  • 駐車場にある車を移動させる
  • 施行中は騒音・粉じん・臭いを室内に入れないように窓を閉める
  • 洗濯物をベランダで干さないようにする
  • エレベーターの使用できない時間を踏まえて行動する
  • エアコンの室外機を移動させる
  • アンテナを室内で保管する
  • 階段や廊下の工事中は建物内で迂回する

まとめ

マンションの大規模修繕において、30年先まで工事周期を長期化する効果としては下記のものが挙げられます。

  • 長期的に見て施工に掛かる時間を短縮できる
  • 手間や費用などのコスト削減が見込める
  • また、大規模修繕における費用の目安では、下記のことが言えます。
  • 18年周期で行う大規模修繕工事の方が1回の費用は高額であるものの長い目で見てコストダウンできる
  • 3回行う大規模修繕において1回目の費用が最も高く平均で月約1万円の修繕積立を行っている

マンションの大規模修繕は、建物の資産価値を高めて安全な状態に保つうえで欠かせないものです。

負担を減らしつつマンションを快適で安全な状態を保つためには、大規模修繕の周期を延ばすのが重要と言えるでしょう。

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  • タイル工事
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